前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ

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第八十話 回り道

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「あーー、もう。授業参観なんてクソ喰らえだわ!」

 そんな悪態をつきながら、一人とぼとぼと教室へと向かう。

 先程まで私は両親と共に学園長との面談だったのだが、面談時間がそれはもうとてもとても長く憂鬱な時間だった。
 というのも、私のやらかしたあらゆることを暴露され、褒め称えられて、学園長からなぜか「今後、もしよければ我が校の職員としても欲しい人材です。もちろん、美しいマルティーニさんには私の妻としての枠も空いてますので、そちらもぜひ!」と冗談なのか本気なのかもわからないアピールまでされて、私はあの場から逃げ出したくなったが、もちろんそんなことは許されるはずもなく。
 身を縮めつつ、両親の表情がだんだん凍りついて行くのを感じながら「あ、死ぬ」と精神的な死を察した。

 そして案の定、面談後からは両親による詰問詰問詰問の連続で、元々擦り減っていた精神がさらに削られた。
 ちなみに詰問の内容としては想定してた通りの手紙のことから始まり、「普段の貴女は式服を着てるそうじゃない?」という、どこから仕入れたんだその情報という話から、「エディオンさまとは一体どういう関係なの!?」「国王夫妻がご挨拶しにくるってどういうことなの!?」「アイザックくんが魔法統括大臣の息子だとなぜ先に言わなかったんだ」などという質問やら苦言やらまで、延々と耳に痛い話のオンパレード。
 あまりの質問の多さに、私もうヘロヘロであった。

 しかも予めバレないように気をつけていたことが全て漏れていて、一瞬「マリアンヌから情報が漏れているのか?」とも思ったが、どうやら事前に私が知らぬ間にクラスメートから色々と情報を仕入れたらしい。

 そういうとこだけは余念がないなと思いつつ、一瞬でも疑ってしまったことを心の中でマリアンヌに謝罪する。
 両親からは、今後こういった情報漏れなどがないように逐一手紙を書くこと、手紙が来ないなら両親の方から毎日手紙を送ると脅され、私は渋々手紙をきちんと出すことを約束させられたのだった。

 まだまだ両親は私に対して言い足りなさそうではあったが、話の途中で教室に忘れ物をしたことを思い出し、これは両親から離れられるいい口実になると、そそくさと両親と別れて教室へと向かう。

 やっと両親から解放されてホッとしたものの、あまりにストレスがかかったせいで、気分はなかなか晴れそうになかった。

(早く戻って寮に行っても手紙書かされるだけだし、ちょっと気分転換に寄り道して行こーっと)

 私はあえてゆっくりと回り道をしながら、普段ならショートカットのために利用する転移魔法陣のところは通らずに、ゆっくりと散歩がてら校内を歩く。
 いつもは通らない道を歩くのはなかなか新鮮で、こんなところに妖精がいるのだとか、珍しいモニュメントや草花を見つけては、ちょっとずつ擦り減っていた気持ちを浮上させるのだった。
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