イシュタムに会うのはまた今度

もとした 影

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第Ⅱ章

26/11

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 歴史を感じる重々しい正門を通り抜けると、昇降口に久しぶりに見る担任や副担が挨拶をしている。
「◯◯さん、おはよう」
「おはようございます」
 僕は地面に向かって小さく言う。
 七年前に立て直した学校は、綺麗とも汚いとも言えない曖昧な校舎だ。
 僕は一組。智也は四組だ。
 「じゃあ、終わったらまたここでな」と智也が言い、僕らは軽く手を振って別れた。
 一組の教室には、僕以外に誰もいない。
 黒板は丁寧に磨かれている。見るとチョークは全て未使用のものだ。
 その真新しく人工じみた環境が気持ち悪いと思った。
 タバコは新品よりも吸い殻の方が良い。空きカンは少し潰れていた方が良い。革靴は踵が擦り切れていた方が良い。「ありがとう」よりも「さようなら」の方が良い。神様はいるよりもいない方が良い。
 新しいものがあるから、古いものがある。ヒーローがいるから、悪者がいる。救われる人がいるから、救われない人がいる。
 そういうもの、全部消えてしまえば良いのに、と思う。
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