イシュタムに会うのはまた今度

もとした 影

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第Ⅱ章

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 見た目とは裏腹に、優しく透き通った声だ。空気の湿度を通り越して、直接耳に届いてくる。
 僕はひどく驚いて、身体から体温がサアッと抜けていくのが分かった。
 僕が想像していた姿よりずっと大人っぽい。六年前はいつも笑顔で笑い声に溢れていたのに、今は氷のように静かで冷たい。六年前と唯一の共通点は細く滑らかで長い黒髪だけだ。
 僕は女の子を鋭く睨みつける。怒りで身体が震えた。理性は吹っ飛び、今にも強く握り締めた拳が彼女の肉と骨を砕こうとしていた。今すぐこいつを殺してやりたい。ボコボコに殴って、骨を折って、関節を破壊して、爪を剥がして、首を絞めて殺してやりたい。
「何で……。何で……」
 先走る感情のせいで、思考が停止して言葉が出てこない。
 他に口にするべき言葉はたくさんあるはずなのに「何で?」「どうして?」という間抜けな言葉ばかりが思考の海に浮かんでは沈む。
「貴方の言いたいことは分かるよ」
 女の子は俯いていて、六年前は綺麗だった瞳が陰っている。
 パンッと空気を切るみたいに、女の子が本を閉じる。栞を挟まなかったから次に読むときは大変だろうな、と場違いに思った。僕は大いに混乱していた。
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