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4-4 記録の継承――永遠に残る約束
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第4章 新王国の黎明――記録は未来を紡ぐ
4-4 記録の継承――永遠に残る約束
――それから、幾年もの時が流れた。
かつて王都の腐敗を正した“アルヴェン改革”は、
いまや新しい時代の礎として国中に浸透していた。
各地の役所には透明な記録制度が導入され、
税の流れは誰もが確認でき、
貴族も平民も同じ帳簿を共有する――そんな奇跡のような国が、
本当に実現していた。
王国はもう“王”を持たない。
代わりに、**「記録院」**という機関が国の中枢を担っていた。
そして、その初代院長が――グレイ・アルヴェン。
副院長を務めるのが、その妻、レティシア・アルヴェンだった。
---
記録院の庁舎は、かつて王城だった場所に建てられていた。
白い石造りの柱が立ち並び、広間には光が降り注ぐ。
しかし、そこには王座も王冠も存在しない。
あるのはただ、一枚の木の机と、
積み上げられた書類の山。
「今日も書類が山のようですね。」
レティシアが呆れたように言う。
「書類が山であるうちは、国が動いている証拠だ。」
グレイは淡々と返しながら、ペンを走らせていた。
「あなたが倒れたら、この国は静止しますわね。」
「その時は、君が動かせばいい。」
「……そんな簡単に言わないでください。」
レティシアは小さくため息をつきながらも、微笑んだ。
十年前、王都に戻ったばかりの頃は、
この男が一日に処理する書類の量に圧倒されていた。
だが今では、自らも同じ速度でペンを動かすことができる。
「閣下、ではなく、“院長”と呼ばれるのには慣れましたか?」
「どうにも違和感があるな。」
「では、私はこれからも“閣下”と呼びます。」
「好きにしろ。だが公の場では控えろ。」
「それはつまり、私的な時には許されるということですね。」
グレイの手が止まった。
「……その解釈は、少々危険だ。」
「いいえ、とても合理的ですわ。」
そう言って、レティシアは楽しそうに笑った。
---
午後。
若い書記官が慌てて部屋に駆け込んできた。
「院長! 副院長! 各地からの報告が届きました!」
「落ち着け。報告内容を要約して。」
「は、はい! 各地方の記録官たちが“民による申請書”の数を集計した結果……
昨年の三倍です!」
レティシアの目が輝いた。
「つまり、それだけ多くの人が“自分の声”を制度に届けようとしているのね。」
「はい! 農民も、職人も、女性たちも!」
「……そうか。」
グレイは静かにペンを置いた。
「この国の人々は、ようやく“記録を持つこと”の意味を理解し始めたんだ。」
「はい!」
若い書記官は胸を張った。
その瞳には、かつての自分たちと同じ理想の輝きがあった。
「君のような人間が増えるのは嬉しいことだ。」
グレイは微笑む。
「だが、書くことは責任を伴う。
記録とは、未来への約束だ。
――そのことを忘れるな。」
「はいっ!」
若者が去ると、レティシアは静かに言った。
「あなた、最近少し丸くなりましたね。」
「歳を取っただけだ。」
「いえ、優しくなったんですわ。」
「優しさなど必要ない。」
「では、なぜあの子の肩に手を置いたんです?」
グレイは答えなかった。
だが、唇の端にわずかな笑みが浮かんでいた。
---
その日の夕方。
レティシアは記録院の屋上に立っていた。
遠くまで見渡せる高台から、王都の灯りが見える。
赤く沈む夕日が、街の屋根を黄金色に染めていた。
そこに、書類を抱えたグレイがやってきた。
「君がここにいると思った。」
「ええ。少しだけ風に当たりたくて。」
グレイは隣に立ち、夕暮れの空を見上げる。
「……君がここにいると、いつも思い出す。
初めて出会った日のことを。」
「まさか、断罪の夜会の話?」
「そうだ。君はあの夜、私の前で笑っていた。
周囲が非難しても、静かに微笑んでいた。」
「だって、“婚約破棄”って言葉、あのときの私には救いでしたもの。」
レティシアは少しだけ遠くを見るように目を細めた。
「でも、あの夜がなければ、こうして並んでいられなかったでしょうね。」
「皮肉な話だな。」
「人生なんて、皮肉の積み重ねですわ。
でも、その一枚一枚を“記録”として残していけば、きっと意味が生まれる。」
グレイは黙って頷いた。
「君の言葉は、いつも報告書よりも正しい。」
「まあ、珍しい褒め言葉ですこと。」
---
夜。
書斎の机に、一枚の古い紙が置かれていた。
それはリオネル元王が残した私信――
「王国の始まりの記録」として厳重に保管されているものだった。
グレイはそれを開き、静かに読み返した。
> 『王は去り、人が国を創る。
> だが、忘れるな。
> 国を支えるのは、記録を書く“手”である。』
読み終えた後、彼はそっと封を閉じ、
ペンを取り上げて新しい帳簿を開いた。
「――“後継者育成記録”。」
そこには、若き記録官たちの名前が並び、
各地で新しい制度を学ぶ子どもたちの報告が添えられていた。
レティシアが紅茶を持って入ってくる。
「また新しい帳簿ですか?」
「ああ。今度は“未来”のための書類だ。」
「あなたの辞書には“引退”という言葉がありませんね。」
「君の辞書にも“休暇”がないだろう。」
「それはあなたが仕事を持ってくるからですわ。」
二人は笑い、机の上に新しい紙を重ねた。
---
翌日。
朝の会議室。
若い書記官たちが並び、緊張した面持ちで立っている。
グレイが一歩前に出て言った。
「今日から君たちは、王国の“記録の民”として働く。
私たちの制度は、完全ではない。
だが、不完全だからこそ成長できる。
失敗を恐れず、記録し、学べ。」
レティシアが続ける。
「そして忘れないでください。
書類に書くのは数字や言葉だけではありません。
そこには“人の思い”も刻まれるのです。」
若者たちは真剣に頷いた。
その中には、十年前の自分たちのような情熱が確かに息づいていた。
---
夜。
記録院の灯が消え、静けさが戻る。
グレイとレティシアは、最後の書類を閉じた。
「今日も一日が終わりましたね。」
「ああ。
だが、明日もまた新しい記録が始まる。」
窓の外には、星空が広がっていた。
レティシアはその光を見上げ、静かに言った。
「ねえ、あなた。
もし私たちがいなくなっても、この制度は残ると思いますか?」
「残る。」
グレイの答えは即答だった。
「記録は、人より長く生きる。
だが、記録を守る者がいなければ意味がない。
だから私は、君が残した言葉を未来に渡す。」
レティシアは微笑む。
「それでは私は、あなたの記録を残します。」
「君は本当に……書類を愛しているな。」
「ええ。だって――書類とは、あなたの言葉そのものですから。」
グレイは短く息をつき、
その手を彼女の上に重ねた。
「ならば、これも記録に残しておこう。
“最も信頼する共同執政官に、感謝を。”」
レティシアの瞳が柔らかく光った。
「それは、私の人生でいちばん美しい書類ですわ。」
---
――数十年後。
新たな世代が「記録院」を継ぎ、
壁に掲げられた一枚の額が今も輝いていた。
> 『白い契約、黒い誓い。
> 記録こそ、愛の形なり。
> アルヴェン公爵夫妻の信義、ここに永遠に刻まん。』
国を導いた二人の名は、
王の名を越えて、永遠に“記録”の中で生き続けている。
そして今も、
その記録の余白には――
彼らが残した“朱の印”が、静かに輝いていた。
---
4-4 記録の継承――永遠に残る約束
――それから、幾年もの時が流れた。
かつて王都の腐敗を正した“アルヴェン改革”は、
いまや新しい時代の礎として国中に浸透していた。
各地の役所には透明な記録制度が導入され、
税の流れは誰もが確認でき、
貴族も平民も同じ帳簿を共有する――そんな奇跡のような国が、
本当に実現していた。
王国はもう“王”を持たない。
代わりに、**「記録院」**という機関が国の中枢を担っていた。
そして、その初代院長が――グレイ・アルヴェン。
副院長を務めるのが、その妻、レティシア・アルヴェンだった。
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記録院の庁舎は、かつて王城だった場所に建てられていた。
白い石造りの柱が立ち並び、広間には光が降り注ぐ。
しかし、そこには王座も王冠も存在しない。
あるのはただ、一枚の木の机と、
積み上げられた書類の山。
「今日も書類が山のようですね。」
レティシアが呆れたように言う。
「書類が山であるうちは、国が動いている証拠だ。」
グレイは淡々と返しながら、ペンを走らせていた。
「あなたが倒れたら、この国は静止しますわね。」
「その時は、君が動かせばいい。」
「……そんな簡単に言わないでください。」
レティシアは小さくため息をつきながらも、微笑んだ。
十年前、王都に戻ったばかりの頃は、
この男が一日に処理する書類の量に圧倒されていた。
だが今では、自らも同じ速度でペンを動かすことができる。
「閣下、ではなく、“院長”と呼ばれるのには慣れましたか?」
「どうにも違和感があるな。」
「では、私はこれからも“閣下”と呼びます。」
「好きにしろ。だが公の場では控えろ。」
「それはつまり、私的な時には許されるということですね。」
グレイの手が止まった。
「……その解釈は、少々危険だ。」
「いいえ、とても合理的ですわ。」
そう言って、レティシアは楽しそうに笑った。
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午後。
若い書記官が慌てて部屋に駆け込んできた。
「院長! 副院長! 各地からの報告が届きました!」
「落ち着け。報告内容を要約して。」
「は、はい! 各地方の記録官たちが“民による申請書”の数を集計した結果……
昨年の三倍です!」
レティシアの目が輝いた。
「つまり、それだけ多くの人が“自分の声”を制度に届けようとしているのね。」
「はい! 農民も、職人も、女性たちも!」
「……そうか。」
グレイは静かにペンを置いた。
「この国の人々は、ようやく“記録を持つこと”の意味を理解し始めたんだ。」
「はい!」
若い書記官は胸を張った。
その瞳には、かつての自分たちと同じ理想の輝きがあった。
「君のような人間が増えるのは嬉しいことだ。」
グレイは微笑む。
「だが、書くことは責任を伴う。
記録とは、未来への約束だ。
――そのことを忘れるな。」
「はいっ!」
若者が去ると、レティシアは静かに言った。
「あなた、最近少し丸くなりましたね。」
「歳を取っただけだ。」
「いえ、優しくなったんですわ。」
「優しさなど必要ない。」
「では、なぜあの子の肩に手を置いたんです?」
グレイは答えなかった。
だが、唇の端にわずかな笑みが浮かんでいた。
---
その日の夕方。
レティシアは記録院の屋上に立っていた。
遠くまで見渡せる高台から、王都の灯りが見える。
赤く沈む夕日が、街の屋根を黄金色に染めていた。
そこに、書類を抱えたグレイがやってきた。
「君がここにいると思った。」
「ええ。少しだけ風に当たりたくて。」
グレイは隣に立ち、夕暮れの空を見上げる。
「……君がここにいると、いつも思い出す。
初めて出会った日のことを。」
「まさか、断罪の夜会の話?」
「そうだ。君はあの夜、私の前で笑っていた。
周囲が非難しても、静かに微笑んでいた。」
「だって、“婚約破棄”って言葉、あのときの私には救いでしたもの。」
レティシアは少しだけ遠くを見るように目を細めた。
「でも、あの夜がなければ、こうして並んでいられなかったでしょうね。」
「皮肉な話だな。」
「人生なんて、皮肉の積み重ねですわ。
でも、その一枚一枚を“記録”として残していけば、きっと意味が生まれる。」
グレイは黙って頷いた。
「君の言葉は、いつも報告書よりも正しい。」
「まあ、珍しい褒め言葉ですこと。」
---
夜。
書斎の机に、一枚の古い紙が置かれていた。
それはリオネル元王が残した私信――
「王国の始まりの記録」として厳重に保管されているものだった。
グレイはそれを開き、静かに読み返した。
> 『王は去り、人が国を創る。
> だが、忘れるな。
> 国を支えるのは、記録を書く“手”である。』
読み終えた後、彼はそっと封を閉じ、
ペンを取り上げて新しい帳簿を開いた。
「――“後継者育成記録”。」
そこには、若き記録官たちの名前が並び、
各地で新しい制度を学ぶ子どもたちの報告が添えられていた。
レティシアが紅茶を持って入ってくる。
「また新しい帳簿ですか?」
「ああ。今度は“未来”のための書類だ。」
「あなたの辞書には“引退”という言葉がありませんね。」
「君の辞書にも“休暇”がないだろう。」
「それはあなたが仕事を持ってくるからですわ。」
二人は笑い、机の上に新しい紙を重ねた。
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翌日。
朝の会議室。
若い書記官たちが並び、緊張した面持ちで立っている。
グレイが一歩前に出て言った。
「今日から君たちは、王国の“記録の民”として働く。
私たちの制度は、完全ではない。
だが、不完全だからこそ成長できる。
失敗を恐れず、記録し、学べ。」
レティシアが続ける。
「そして忘れないでください。
書類に書くのは数字や言葉だけではありません。
そこには“人の思い”も刻まれるのです。」
若者たちは真剣に頷いた。
その中には、十年前の自分たちのような情熱が確かに息づいていた。
---
夜。
記録院の灯が消え、静けさが戻る。
グレイとレティシアは、最後の書類を閉じた。
「今日も一日が終わりましたね。」
「ああ。
だが、明日もまた新しい記録が始まる。」
窓の外には、星空が広がっていた。
レティシアはその光を見上げ、静かに言った。
「ねえ、あなた。
もし私たちがいなくなっても、この制度は残ると思いますか?」
「残る。」
グレイの答えは即答だった。
「記録は、人より長く生きる。
だが、記録を守る者がいなければ意味がない。
だから私は、君が残した言葉を未来に渡す。」
レティシアは微笑む。
「それでは私は、あなたの記録を残します。」
「君は本当に……書類を愛しているな。」
「ええ。だって――書類とは、あなたの言葉そのものですから。」
グレイは短く息をつき、
その手を彼女の上に重ねた。
「ならば、これも記録に残しておこう。
“最も信頼する共同執政官に、感謝を。”」
レティシアの瞳が柔らかく光った。
「それは、私の人生でいちばん美しい書類ですわ。」
---
――数十年後。
新たな世代が「記録院」を継ぎ、
壁に掲げられた一枚の額が今も輝いていた。
> 『白い契約、黒い誓い。
> 記録こそ、愛の形なり。
> アルヴェン公爵夫妻の信義、ここに永遠に刻まん。』
国を導いた二人の名は、
王の名を越えて、永遠に“記録”の中で生き続けている。
そして今も、
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