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第十七話 連合の影
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第十七話 連合の影
西部二州半の再編が完了してから、わずか二十日。
王都に奇妙な動きが生まれ始めた。
「侯爵家より使者が」
「伯爵家も面会を希望」
執事が淡々と報告する。
私は視線を上げる。
「理由は?」
「制度視察との名目でございます」
騎士団長が低く笑う。
「視察、ですか」
「様子見です」
私は即答する。
王家が土地を削った。
それは象徴だった。
王家は絶対ではない。
責任を払う存在。
その事実が、貴族社会に波紋を広げている。
最初に現れたのは、北方侯爵だった。
「公爵閣下」
深く礼をする。
以前なら、婚約者への形式的な挨拶だった。
今は違う。
「西部の税凍結、商業保護令……実に大胆でございますな」
「合理的なだけです」
私は微笑む。
「大胆さは不要です」
侯爵は探るような目をする。
「王家のご意向に反する恐れは?」
「反しておりません」
即答。
「王家の責任清算の結果でございます」
一拍。
「秩序回復を補完しているだけ」
侯爵は小さく頷く。
「……もし」
声を落とす。
「王家がさらに揺らげば」
私は言葉を待つ。
「貴族連合という選択肢も」
騎士団長の手がわずかに動く。
だが私は制する。
「連合?」
私は首を傾ける。
「王家を排除するおつもりで?」
「そこまでは」
「ならば不要です」
静かな断言。
「私は王家を倒す気はございません」
侯爵の目が揺れる。
「ですが」
私は続ける。
「秩序を守れぬ場合、代替機能は必要です」
言葉が重く落ちる。
「代替……」
「連合ではなく」
一拍。
「制度の共有でございます」
私は書類を差し出す。
「司法監査院の設立趣意書」
「貴族家も参加可能」
侯爵が目を見開く。
「王家を通さず?」
「王家に報告はいたします」
「ですが承認は不要」
騎士団長が小さく息を吐く。
侯爵は理解した。
これは反逆ではない。
だが。
王家を介さない秩序網。
「……賢い」
侯爵は小さく呟く。
「連合を作らず、機能を作る」
「感情ではなく、構造です」
私は淡く微笑む。
「華やかさは不要でございます」
侯爵は深く礼をした。
「参加を検討いたします」
彼が去ったあと。
騎士団長が問う。
「連合を拒否したのは?」
「旗を掲げれば、王家は敵になります」
「ですが制度共有なら」
「王家も否定しづらい」
一拍。
「敵を作らず、依存を減らす」
窓の外。
王城は変わらず立っている。
だが。
貴族の視線は、少しずつこちらへ向いている。
私は机に向かう。
次の文書を書く。
“司法監査院共同設立案”
王家を排除しない。
だが王家がいなくても回る。
それが本物の力。
静かに。
確実に。
根は広がっていく。
西部二州半の再編が完了してから、わずか二十日。
王都に奇妙な動きが生まれ始めた。
「侯爵家より使者が」
「伯爵家も面会を希望」
執事が淡々と報告する。
私は視線を上げる。
「理由は?」
「制度視察との名目でございます」
騎士団長が低く笑う。
「視察、ですか」
「様子見です」
私は即答する。
王家が土地を削った。
それは象徴だった。
王家は絶対ではない。
責任を払う存在。
その事実が、貴族社会に波紋を広げている。
最初に現れたのは、北方侯爵だった。
「公爵閣下」
深く礼をする。
以前なら、婚約者への形式的な挨拶だった。
今は違う。
「西部の税凍結、商業保護令……実に大胆でございますな」
「合理的なだけです」
私は微笑む。
「大胆さは不要です」
侯爵は探るような目をする。
「王家のご意向に反する恐れは?」
「反しておりません」
即答。
「王家の責任清算の結果でございます」
一拍。
「秩序回復を補完しているだけ」
侯爵は小さく頷く。
「……もし」
声を落とす。
「王家がさらに揺らげば」
私は言葉を待つ。
「貴族連合という選択肢も」
騎士団長の手がわずかに動く。
だが私は制する。
「連合?」
私は首を傾ける。
「王家を排除するおつもりで?」
「そこまでは」
「ならば不要です」
静かな断言。
「私は王家を倒す気はございません」
侯爵の目が揺れる。
「ですが」
私は続ける。
「秩序を守れぬ場合、代替機能は必要です」
言葉が重く落ちる。
「代替……」
「連合ではなく」
一拍。
「制度の共有でございます」
私は書類を差し出す。
「司法監査院の設立趣意書」
「貴族家も参加可能」
侯爵が目を見開く。
「王家を通さず?」
「王家に報告はいたします」
「ですが承認は不要」
騎士団長が小さく息を吐く。
侯爵は理解した。
これは反逆ではない。
だが。
王家を介さない秩序網。
「……賢い」
侯爵は小さく呟く。
「連合を作らず、機能を作る」
「感情ではなく、構造です」
私は淡く微笑む。
「華やかさは不要でございます」
侯爵は深く礼をした。
「参加を検討いたします」
彼が去ったあと。
騎士団長が問う。
「連合を拒否したのは?」
「旗を掲げれば、王家は敵になります」
「ですが制度共有なら」
「王家も否定しづらい」
一拍。
「敵を作らず、依存を減らす」
窓の外。
王城は変わらず立っている。
だが。
貴族の視線は、少しずつこちらへ向いている。
私は机に向かう。
次の文書を書く。
“司法監査院共同設立案”
王家を排除しない。
だが王家がいなくても回る。
それが本物の力。
静かに。
確実に。
根は広がっていく。
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