婚約破棄された私を拾ったのは、冷徹領主様でした。——不器用なのに過保護で、どうしてそんなに愛してくるんですか!?

鷹 綾

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第22話 ミリア、連れ去られる

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第22話 ミリア、連れ去られる

玄関扉を破って押し入ってきた黒ずくめの男たち。
数は——六名。

アーロンは即座にミリアを背にかばい、敵の動きを鋭く見据えた。

「ミリア、絶対に離れるな」

「……はい!」

ミリアはアーロンの背にしがみつくように立つ。

だが——敵は明らかにアーロンではなく、ミリアを見ていた。

「標的確認。少女を確保しろ」

「え……私!?」

ミリアの顔が青ざめる。

アーロンの眉が跳ね上がった。

「……ミリアを狙っている……だと?」

昨日とは違う、もっと“敵意むきだし”の声だった。


---

◆一瞬の交錯

黒ずくめの男の一人が、ミリアへ向かって網を投げた。

「危ない!」

アーロンはミリアを抱き寄せ、横へ跳ぶ。
網は床を擦り、焦げた匂いを残して弾け飛んだ。

(いまの……拘束魔法!?)

ミリアが息を呑む。
アーロンは低く唸る。

「……俺からミリアを奪う気か」

その声には、普段見たことがないほどの怒気が込められていた。


---

◆“ミリアを奪う”という宣言

黒ずくめたちは武器を構え直し、一斉にミリアへ接近する。

「アーロン=ファング、公爵家後継候補。
貴殿の排除は後だ。
まずは少女を連れていく」

「誰が……許すかよ」

アーロンが踏み込んだ瞬間——

背後からもう一人が回り込み、ミリアを押し倒した。

「きゃっ!」

「ミリア!」

アーロンが振り向くが——
四人の男がアーロンの進路を塞ぐ。

「どけ!!」

アーロンの拳が一人の顎を打ち抜き、男が吹き飛ぶ。

しかし——

別の男がミリアに麻布をかぶせた。

「っ!!」

(息が……できない……!)

ミリアの視界は暗転し、体が動かなくなる。

「ミリアァ!!」

アーロンの叫び声が響いた。

それと同時に、男の一人が魔術符をミリアの足元に押しつけた。

「転移術式、起動」

光が爆ぜる。

アーロンが必死に飛び込む。

手を伸ばす。

もう少しでミリアの指先に触れる——

しかし。

ミリアの姿は光に飲み込まれ、消えた。

「ミリア!?
ミリアァァァァッ!!」

アーロンの声が屋敷中に響き渡った。


---

◆アーロンの怒り

残った黒ずくめの男が笑う。

「“理想の王”に逆らう貴殿が悪い。
少女は、彼らの手に渡った」

次の瞬間——

アーロンの瞳が、人間のものではなくなっていた。

金色に細く輝く、獣の目。

獰猛な、人狼の本能をむき出しにした瞳。

「……お前ら、絶対に許さない」

アーロンの爪が伸び、男たちを薙ぎ倒す。

誰も抵抗できなかった。

その胸の奥には、ただ一つの想いだけがあった。

(ミリアを……返せ…………!!)


---

◆ミリアの状態

光に包まれたミリアは、冷たい石床の上に落とされた。

(……ここ……どこ……?
アーロン……?)

体がまだ動かない。

薄暗い地下のような場所。
周囲には石壁と鉄の扉。

「確保完了。少女を“理想の王”のもとへ」

その声を最後に、ミリアの意識はゆっくりと沈んでいった。


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