婚約破棄された公爵令嬢は、漆黒の王太子に溺愛されて永遠の光を掴む

鷹 綾

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第22話: 暴露の始まり

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第22話: 暴露の始まり

アストリア王宮の玉座の間は、厳かな空気に満ちていた。黒い大理石の床に、影の結晶が埋め込まれ、淡い青い光を放っている。セイルは漆黒のマントを纏い、玉座の前に立っていた。ヴィオラは彼の隣に、紫のドレスを着て並び、胸に影の結晶のペンダントを下げている。味方たちが周囲を固め、儀式の準備が整っていた。

「今日、俺は漆黒の王として、王位を継ぐ」

セイルの声が、広間に響く。ガルドが前に出て、予言書を掲げた。

「殿下、継承者様。影の神殿の予言が、成就する時です」

ヴィオラはセイルの手を握り、静かに微笑んだ。

「セイル……私も、あなたの隣で」

セイルはヴィオラの額に軽くキスをし、皆に告げた。

「儀式の前に、アルディオンとセリナを連れてこい。偽りの同盟を、暴く」

味方たちが動き、地下牢からアルディオンとセリナを連れてきた。二人は鎖に繋がれ、憔悴した姿で広間に立たされた。アルディオンは金髪を乱れさせ、セリナは茶色の髪を下ろし、瞳に絶望を浮かべていた。

「アルディオン……セリナ」

ヴィオラの声が、静かに響く。アルディオンはヴィオラを睨んだ。

「ヴィオレッタ……お前は、俺の婚約者だったはずだ」

ヴィオラは首を振り、影を広げた。

「もう、違うわ。私は、漆黒の王妃になる」

セイルが前に出た。

「アルディオン、お前は同盟の名目で、この国を乗っ取ろうとした。セリナの偽りの聖女の力で、影の結界を破壊しようとしたな」

セリナが震える声で言った。

「偽り……じゃないわ」

ヴィオラは影の結晶を掲げた。黒い光が広がり、セリナの体に触れる。偽りの光が剥がれ落ち、彼女の体から黒い霧が漏れ出した。

「これは……!」

セリナが膝をついた。結晶の力が、薬の偽装を暴く。広間にいる皆が、息を呑む。

「セリナの力は、影の結晶を溶かした薬だった。聖女など、偽りだ」

セイルの声が、冷たく響く。アルディオンが叫んだ。

「そんな……俺は、信じていた!」

セリナは地面に額を押しつけ、泣き崩れた。

「ごめんなさい……私は、ただ、愛されたくて……」

ヴィオラはセリナに近づき、優しく手を差し伸べた。

「セリナ……あなたも、傷ついていたのね。でも、偽りで埋めようとしても、虚しいだけよ」

セリナは涙を流し、ヴィオラの手を取った。

「ヴィオレッタ……ごめんなさい」

ヴィオラはセリナを抱きしめた。

「許すわ。あなたの本当の心を、見つけて」

セイルはアルディオンを見下ろした。

「アルディオン、お前の野心は、ここで終わりだ。王位を剥奪し、追放する」

アルディオンは地面に崩れ落ち、絶望の表情を浮かべた。

「俺は……王太子だったのに……」

味方たちがアルディオンを連れ去り、セリナは静かに牢へ戻された。広間に、静けさが訪れた。

セイルはヴィオラの手を取り、玉座へ向かった。

「儀式を始めよう。俺と君の、王国を」

ヴィオラは頷き、セイルの隣に立った。ガルドが予言書を開き、儀式を執り行った。

「漆黒の王、セイル・フォン・シャドウ。影の継承者、ヴィオラ・フォン・セレスティア。予言の成就により、王位を継承せよ」

影の結晶が輝き、二人の体を包んだ。黒い光が広がり、王宮全体を覆う。皆が膝をつき、歓声を上げた。

「王様! 王妃様!」

セイルはヴィオラを抱きしめ、耳元で囁いた。

「ヴィオラ……俺の王妃」

ヴィオラは涙を浮かべ、セイルにキスをした。

「セイル……私の王様」

儀式は終わり、王宮は平和な光に包まれた。暴露の始まりは、二人の新しい始まりでもあった。

だが、追放されたアルディオンとセリナは、まだ諦めていなかった。闇の中で、復讐の炎を燃やしていた。
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