婚約破棄された公爵令嬢は、漆黒の王太子に溺愛されて永遠の光を掴む

第27話: 溺愛の日々

第27話: 溺愛の日々

アストリア王宮の私室は、朝陽がカーテンを透かし、柔らかな光を落としていた。ヴィオラはベッドに腰掛け、鏡台で髪を梳いていた。黒髪に紫がかった瞳が、鏡に映る。隣の部屋から、セイルの足音が近づいてくる。

「ヴィオラ……おはよう」

セイルはドアを開け、優しい笑みを浮かべて入ってきた。漆黒の髪を後ろで軽く束ね、銀の瞳が朝の光に輝く。ヴィオラは立ち上がり、セイルの胸に飛び込んだ。

「おはよう、セイル」

セイルはヴィオラを抱き上げ、くるりと回した。

「今日も美しいな、俺の王妃」

ヴィオラは頰を赤らめ、セイルの首に腕を回した。

「もう……朝から、そんなこと言わないで」

セイルはヴィオラをベッドに下ろし、優しくキスをした。唇が触れ合い、甘い時間が流れる。キスが終わり、二人は額を合わせた。

「君がいると、毎朝が幸せだ」

ヴィオラはセイルの胸に顔を埋めた。

「私も……セイルがいるから、毎日が輝くわ」

セイルはヴィオラの手を取り、部屋の窓辺へ導いた。外には、王都の街並みが広がっている。影のランプが朝の光に溶け込み、穏やかな一日が始まろうとしている。

「今日は、謁見がない日だ。二人で、庭園を散歩しよう」

ヴィオラは頷き、セイルの腕に寄りかかった。

「ええ……ずっと、二人きりがいいわ」

二人は手をつなぎ、王宮の庭園へ向かった。花々が咲き乱れ、影の魔法で優しく揺れる木々が、二人を迎える。セイルはヴィオラの腰に腕を回し、ゆっくり歩いた。

「ヴィオラ……最近、君の影の力が、さらに強くなったな」

ヴィオラは結晶のペンダントを触った。

「結晶のおかげよ。でも、本当の力は、セイルの愛だわ」

セイルは立ち止まり、ヴィオラを抱き寄せた。

「俺も、君がいなければ、何もできない。君は俺の光だ」

ヴィオラはセイルの胸に顔を埋め、囁いた。

「セイル……愛してる」

セイルはヴィオラの唇にキスをした。庭園の風が、二人の髪を優しく揺らす。キスが深くなり、二人は互いの温もりを感じた。

庭園のベンチに座り、二人は語り合った。

「セイル……子供ができたら、どんな名前がいい？」

セイルは微笑んだ。

「君に似た名前がいい。ヴィオラの紫の瞳を継ぐ子に」

ヴィオラは笑った。

「セイルの銀髪の子も。強い子に育てたいわ」

セイルはヴィオラの手を握った。

「どんな子でも、俺たちは愛する。君と一緒に、家族を築く」

ヴィオラは頷き、セイルの肩に頭を預けた。

「セイル……時々、不安になるの。こんな幸せが、続くのかって」

セイルはヴィオラを抱きしめた。

「続くよ。俺が、君を守る。永遠に」

ヴィオラは涙を浮かべ、微笑んだ。

「ありがとう……セイル」

二人は庭園で、長い時間を過ごした。影の花が、優しく揺れる。溺愛の日々は、二人を幸せで満たした。

夕方、王宮に戻り、二人は私室で夕食を取った。セイルはヴィオラの膝に頭を乗せ、甘えるように言った。

「ヴィオラ……今日も、君の膝枕がいい」

ヴィオラは笑い、セイルの髪を撫でた。

「もう……王様なのに、そんなこと言って」

セイルは目を閉じ、幸せそうに微笑んだ。

「王様でも、君の前では、ただの男だ」

ヴィオラはセイルの額にキスをした。

「私のセイル……ずっと、甘えてね」

夜、二人はベッドで抱き合い、互いの温もりを感じた。セイルはヴィオラの耳元で囁いた。

「愛してる、ヴィオラ」

ヴィオラはセイルの胸に顔を埋め、囁いた。

「私も……永遠に、愛してる」

溺愛の日々は、王宮を優しい光で包んだ。二人の愛は、王国を永遠に照らす。