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第二十五話 なのであとは、一生遊び倒します
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第二十五話 なのであとは、一生遊び倒します
朝。
ユニリーバ公爵邸は、
静かで、穏やかな一日の始まりを迎えていた。
鐘も鳴らない。
号令もない。
誰かを急かす声もない。
ただ、
いつもの朝。
ティモテ・ユニリーバは、
自室の窓を開け、
ゆっくりと深呼吸した。
「……いい朝ですわね」
昨日の夜、
あれほどはっきりと
「区切り」をつけたはずなのに。
不思議と、
胸の奥に残るのは
軽さだけだった。
(後悔も、
未練も、ありません)
むしろ――
清々しい。
朝食は、
テラスで取ることにした。
豪華ではない。
だが、丁寧に作られた料理。
「お嬢様、
本日は特にご予定は……?」
執事が、
いつもの確認をする。
その問いかけに、
ティモテは一瞬だけ考え――
そして、はっきりと答えた。
「ありませんわ」
言い切る。
「今後も、
基本的には入れません」
執事は一瞬、
目を見張ったが、
すぐに静かに頭を下げた。
「かしこまりました」
そこに、
困惑はない。
(……受け入れられていますわね)
それが、
何よりだった。
朝食後。
庭を歩き、
昨日話したブランコの件を
使用人たちに伝える。
「子供たちにも、
大人にも開放します」
「危なくないよう、
整備だけはお願いしますわね」
「はい!」
返事は、明るい。
(……命じているようで、
違いますわね)
これは、
指示ではなく――
共有。
昼前。
テニスコートでは、
すでにメイドたちが
ラケットを手に集まっていた。
「お嬢様、
本日もなさいますか?」
「ええ、もちろん」
軽く準備運動をしながら、
ティモテは思う。
(働かない、というのは)
(何もしない、という意味ではありませんのね)
やりたいことを、
やりたいだけ。
誰かの期待でも、
役割でもなく。
午後は、
読書をして、
昼寝をして、
気が向けば散歩。
夕方には、
また誰かと一緒に食事をする。
そのすべてが、
「自由」だった。
日が傾き、
空が茜色に染まる頃。
ティモテは、
テラスの椅子に腰掛け、
静かに空を見上げる。
(……王都では)
(こんな時間に、
必ず書類がありましたわね)
思い出しても、
もう胸は痛まない。
ただ、
遠い記憶。
「……なので」
ぽつりと、
独り言のように。
「なのであとは、
一生遊び倒します」
声に出すと、
それは宣言ではなく、
決定だった。
誰に許可を取るでもなく。
誰に認められる必要もなく。
自分で選んだ人生。
「……いいですわよね」
答えは、
夕暮れの空だけ。
だが、
その沈黙は、
否定ではなかった。
こうして。
ティモテ・ユニリーバは、
完全に決めた。
王太子妃候補でもなく。
有能な代行者でもなく。
誰かの“都合のいい存在”でもない。
――遊ぶことを、
人生の主軸に据える。
それは、
逃げでも、怠慢でもない。
十分に働き、
十分に尽くした者にだけ
許された選択。
そしてその選択は、
これから始まる
王都側の“崩壊”をよそに――
揺るがないものとなっていく。
朝。
ユニリーバ公爵邸は、
静かで、穏やかな一日の始まりを迎えていた。
鐘も鳴らない。
号令もない。
誰かを急かす声もない。
ただ、
いつもの朝。
ティモテ・ユニリーバは、
自室の窓を開け、
ゆっくりと深呼吸した。
「……いい朝ですわね」
昨日の夜、
あれほどはっきりと
「区切り」をつけたはずなのに。
不思議と、
胸の奥に残るのは
軽さだけだった。
(後悔も、
未練も、ありません)
むしろ――
清々しい。
朝食は、
テラスで取ることにした。
豪華ではない。
だが、丁寧に作られた料理。
「お嬢様、
本日は特にご予定は……?」
執事が、
いつもの確認をする。
その問いかけに、
ティモテは一瞬だけ考え――
そして、はっきりと答えた。
「ありませんわ」
言い切る。
「今後も、
基本的には入れません」
執事は一瞬、
目を見張ったが、
すぐに静かに頭を下げた。
「かしこまりました」
そこに、
困惑はない。
(……受け入れられていますわね)
それが、
何よりだった。
朝食後。
庭を歩き、
昨日話したブランコの件を
使用人たちに伝える。
「子供たちにも、
大人にも開放します」
「危なくないよう、
整備だけはお願いしますわね」
「はい!」
返事は、明るい。
(……命じているようで、
違いますわね)
これは、
指示ではなく――
共有。
昼前。
テニスコートでは、
すでにメイドたちが
ラケットを手に集まっていた。
「お嬢様、
本日もなさいますか?」
「ええ、もちろん」
軽く準備運動をしながら、
ティモテは思う。
(働かない、というのは)
(何もしない、という意味ではありませんのね)
やりたいことを、
やりたいだけ。
誰かの期待でも、
役割でもなく。
午後は、
読書をして、
昼寝をして、
気が向けば散歩。
夕方には、
また誰かと一緒に食事をする。
そのすべてが、
「自由」だった。
日が傾き、
空が茜色に染まる頃。
ティモテは、
テラスの椅子に腰掛け、
静かに空を見上げる。
(……王都では)
(こんな時間に、
必ず書類がありましたわね)
思い出しても、
もう胸は痛まない。
ただ、
遠い記憶。
「……なので」
ぽつりと、
独り言のように。
「なのであとは、
一生遊び倒します」
声に出すと、
それは宣言ではなく、
決定だった。
誰に許可を取るでもなく。
誰に認められる必要もなく。
自分で選んだ人生。
「……いいですわよね」
答えは、
夕暮れの空だけ。
だが、
その沈黙は、
否定ではなかった。
こうして。
ティモテ・ユニリーバは、
完全に決めた。
王太子妃候補でもなく。
有能な代行者でもなく。
誰かの“都合のいい存在”でもない。
――遊ぶことを、
人生の主軸に据える。
それは、
逃げでも、怠慢でもない。
十分に働き、
十分に尽くした者にだけ
許された選択。
そしてその選択は、
これから始まる
王都側の“崩壊”をよそに――
揺るがないものとなっていく。
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