追放された悪役令嬢は最強魔法で復讐し、隣国王子に永遠に愛される

鷹 綾

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第11話 魔物大発生と、協力の絆

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 第11話 魔物大発生と、協力の絆

ノルドフォールの空が、突然暗くなった。

朝の陽光が雲に覆われ、村全体に不気味な静寂が訪れた。鳥のさえずりが止み、風が重く感じられる。

エメロードは屋敷の屋根に立ち、北の森を睨んでいた。

「これは……ただの魔物じゃないわ」

レグナムが剣を手に、彼女の隣に立った。

「ああ。魔力の歪みが強すぎる。まるで、何かが意図的に引き起こしているようだ」

二人はすぐに村の広場へ向かった。

領民たちが不安げに集まっている。

「領主様! 森から変な音が……!」

「地面が、微かに揺れてるんです!」

エメロードは皆を落ち着かせ、声を張り上げた。

「みんな、落ち着いて! 屋敷の地下倉庫か、頑丈な家に避難して。子供とお年寄りを優先して!」

リアナが率先して避難を誘導し始める。

そのとき、北の森から──地鳴りのような音が響いた。

木々が倒れ、黒い影が大量に湧き出してくる。

ゴブリン、魔狼、オーク、そして上空を飛ぶワイバーン。

数百を超える大群。

しかも、普通の魔物ではない。目が赤く輝き、動きが統率されている。

「これは……魔王級の召喚陣の残滓か、あるいは──」

エメロードは歯噛みした。

王都からの干渉か? それとも、セラの転生チートの影響か?

考える暇はなかった。

レグナムが剣を構え、静かに言った。

「エメロード、俺が前衛を張る。君は後ろから魔法で援護してくれ」

「わかった。でも、無理はしないで」

二人は広場の前に立ち、領民を守る盾となった。

魔物たちが、咆哮を上げて突進してくる。

戦いが始まった。

レグナムは剣を閃かせ、一度に数匹を斬り伏せる。

流れるような剣舞でオークの斧を弾き、魔狼の喉を貫く。

しかし、数が多すぎる。

背後からゴブリンが回り込もうとするのを、エメロードが闇の触手で拘束し、粉砕した。

「影の楔!」

黒い杭が地面から突き出し、魔物を串刺しにする。

さらに、召喚魔法を発動。

「来て──影狼の群れ!」

巨大な影狼が五匹現れ、魔物たちに襲いかかる。

治癒魔法でレグナムの傷を即座に癒しつつ、エメロードは上空のワイバーンに闇の矢を放つ。

ワイバーンが悲鳴を上げ、墜落する。

二人の連携は、完璧だった。

レグナムが前線を押し、隙を作り、エメロードが広範囲魔法で一掃する。

領民たちは避難しながらも、遠くからその戦いを見守っていた。

「領主様とレグナム様……すごい!」

「まるで、神話の英雄みたいだ!」

しかし、魔物の数は減らない。

森の奥から、さらに湧き出してくる。

エメロードは息を整え、レグナムに声をかけた。

「このままじゃ、きりがない! 発生源を叩かないと!」

レグナムが頷く。

「俺が道を開く。一緒に来てくれ!」

二人は背中合わせで森へ突入した。

レグナムが剣で魔物を薙ぎ払い、エメロードが闇魔法で道を確保する。

森の奥深く、古い廃墟のさらに奥──巨大な裂け目のようなものが開いていた。

そこから、黒い魔力が噴き出し、魔物を生み出している。

「これは……異界の門! 誰かが、意図的に開いたわ!」

エメロードの瞳が怒りに燃える。

レグナムが剣を握りしめた。

「閉じられるか?」

「ええ。でも、時間がかかる。あなた、守って」

レグナムは微笑み、エメロードの前に立った。

「任せろ。どんな魔物が来ようと、君には指一本触れさせない」

エメロードは頷き、複雑な魔法陣を地面に描き始めた。

禁呪級の封印魔法。

前世の知識を総動員し、異界の門を閉じる呪文を唱える。

その間、レグナムは一人で魔物の大群と対峙した。

剣が閃き、血と黒い霧が舞う。

オークの巨体を斬り裂き、ワイバーンの翼を切り落とす。

傷を負いながらも、決して後退しない。

エメロードはちらりとレグナムを見て、心が熱くなった。

(この人が……私のために、命を賭けてくれている)

呪文が佳境に入る。

魔力が渦を巻き、門が収縮し始める。

最後の魔物が、レグナムに襲いかかる。

巨大なオークキング。

レグナムは剣で受け止めるが、衝撃で膝をつく。

「レグナム!」

エメロードは咄嗟に闇の触手を伸ばし、オークキングを拘束。

レグナムが立ち上がり、渾身の一撃で首を刎ねる。

門が、完全に閉じた。

魔物の湧出が止まり、残った魔物は影狼たちが片付けた。

戦いが終わった。

二人は、息を荒げながら向き合った。

レグナムの腕に、深い傷。

エメロードはすぐに治癒魔法をかけ、光で傷を癒す。

「ありがとう……本当に、守ってくれて」

レグナムは優しく微笑み、エメロードの頰に触れた。

「当然だ。君は、俺の大切な人だから」

エメロードの頰が、赤く染まる。

村に戻ると、領民たちが涙ながらに二人を迎えた。

「領主様! レグナム様! ありがとうございます!」

「村が、守られた……!」

その夜、屋敷で再び宴が開かれた。

疲れ果てた体を癒す、温かな食事。

レグナムとエメロードは、並んで座り、領民たちに囲まれていた。

子供がエメロードに花冠をプレゼントし、レグナムに木彫りの剣を渡す。

二人は笑顔で受け取った。

宴の後、屋敷の庭で二人きりになった。

星空の下、静かな夜。

レグナムが、エメロードの手を取った。

「今日、君の魔法を間近で見て、改めて思った。君は本当に強い。だが、強すぎるからこそ──俺が側にいたい」

エメロードはレグナムの瞳を見つめた。

「私も……あなたがいなかったら、今日の戦いは勝てなかった」

レグナムが、ゆっくりと顔を近づける。

「エメロード。俺は、もう君から離れられない」

二人の唇が、触れそうになる。

しかし──その瞬間、遠くから馬の蹄の音。

王都からの監視使者が、予定より早く到着したようだ。

二人は顔を見合わせ、静かに頷いた。

「来るなら、来なさい」

協力の絆は、ますます深まった。

魔物大発生を乗り越え、二人はより強く結ばわれた。

溺愛は、加速していく。

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