世界の現実は、理不尽で残酷だ――平等など存在しない

鷹 綾

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第41話

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エピローグ

考察――ラノベで「現実的な婚約破棄」を描くということ

本作は、
「ラノベでリアルに婚約破棄を描いてみた」
その第二弾として書かれた物語である。

今回のテーマは、はっきりしている。
「学園内に平等は存在しない」
そして、
「たとえ“いじめられた”という事実があったとしても、それは婚約破棄の正当な理由にはなり得ない」
という、極めて残酷な現実だ。

ただし――
ここで一つ、最も重要な前提を確認しておきたい。

この物語は、フィクションである。

中世ヨーロッパをモデルにはしているが、
史実をそのまま再現した作品ではない。

まず、作中に登場する「貴族学院」そのものが、
厳密な意味での中世には存在しない。

ラノベでおなじみの貴族学院に近い教育機関が成立するのは、
実際には近代初期に入ってからの話だ。
そこでは貴族だけでなく、一部の平民も学ぶ機会を得ていた。

だが――
それでも「平等」など、存在しなかった。

身分差は歴然としており、
学ぶ場を共有していても、
立場も発言力も、将来の選択肢も、決して同じではない。

そして、さらに言えば――
本作最大のフィクションは、男女共学である。

現実の中世ヨーロッパにおいて、
貴族の男子が学ぶ学院があったとしても、
それは基本的に男子校だ。

男女が同じ場で学び、
恋愛や感情のもつれが公的な問題に発展する――
そんな状況自体が、史実ではほぼあり得ない。

女性の教育は、原則として家庭内。
家庭教師を招き、
読み書き、宗教、礼儀作法を学ぶ。

それが現実だった。

つまり、
「学園内でのいじめ」
「男女間の感情トラブル」
「それを理由とした婚約破棄」

――これらはすべて、
異世界という舞台装置があって初めて成立する設定である。

では、なぜそれでも、この物語は「リアル」を名乗るのか。

それは、
結果だけが現実的だからだ。

どれほど感情的に正しく見えても、
どれほど善意に満ちていても、
国家と貴族社会においては、

婚約は契約であり

契約は感情で破棄できず

破棄すれば、必ず代償が発生する


この構造だけは、
中世であろうと、近代であろうと、
そして異世界であろうと、変わらない。

「いじめられた」
それが事実であったとしても、
それは同情の理由にはなっても、
婚約破棄の正当性にはならない。

この冷酷さこそが、
本作が描きたかった「残酷な現実」だ。

世界は、優しさだけで動かない。
善意だけでは、守れないものがある。

そして――
その現実を最初から理解していた者と、
最後まで理解できなかった者の差が、
物語の結末を分けた。

本作は、
誰かを断罪するための物語ではない。

ただ、
「そういう世界もあり得る」
という可能性を、
ラノベという形で提示したに過ぎない。

夢のある物語ではない。
だが、嘘でもない。

それが、
この物語のエピローグである。
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