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第22話 社交界から消える
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第22話 社交界から消える
王都に着いたとき、カミーユは少し安心した。
宮殿の町よりも、人が多い。
商人。
職人。
貴族の馬車。
市場の声。
活気のある都市だった。
ここなら暮らせる。
カミーユはそう思った。
宮殿の町とは違う。
ここは王の都市。
商人の街でもある。
つまり――
貴族以外の人間も多い。
だから物価も多少は普通になる。
カミーユは宿を探した。
数軒回る。
確かに城下町よりは安い。
銀貨二枚。
銀貨一枚半。
それでも安くはない。
だが宮殿の町よりは現実的だった。
カミーユは小さな宿を選んだ。
二階の部屋。
前の宿よりは少し広い。
だがやはり質素だった。
ベッド。
机。
椅子。
それだけ。
彼女はため息をつく。
「……まあいいわ」
ここなら住める。
少なくとも城下町よりは。
荷物を置く。
窓から街を見る。
王都は大きい。
塔。
市場。
広い通り。
宮殿ほどではないが、華やかな都市だった。
カミーユは思う。
――ここで社交界に戻ればいい。
自分は公爵令嬢。
血筋は本物。
宮殿を追放されただけ。
王都には貴族もいる。
舞踏会もある。
つまり――
やり直せる。
カミーユは翌日、ドレスを着た。
まだ持っている。
公爵家の高級ドレス。
それを着て、貴族街へ向かった。
王都には貴族の屋敷が集まる区域がある。
そこなら知り合いもいるはず。
彼女は一軒の屋敷を訪ねた。
子爵家。
宮殿でも顔を合わせたことがある。
門番に言う。
「カミーユ・ド・モンフォールです」
門番は少し驚いた顔をした。
しかし中へ報告に行く。
しばらくして戻ってきた。
そして言った。
「申し訳ありません」
「本日はお会いできないそうです」
カミーユは眉をひそめる。
「突然来たから?」
門番は答えない。
ただ頭を下げるだけ。
カミーユは不満そうに去った。
次の屋敷。
伯爵家。
同じだった。
「本日はお会いできません」
三軒目。
同じ。
四軒目。
同じ。
カミーユは気づき始める。
――おかしい。
偶然ではない。
彼女は通りで立ち止まる。
そのとき、通りの向こうで二人の貴族令嬢が話していた。
「聞いた?」
「ええ、宮殿追放」
「王妃を侮辱したらしいわ」
「まあ……」
小さな声。
だがカミーユには聞こえた。
二人は彼女を見る。
そして視線を逸らす。
避けるように歩き去る。
カミーユは凍りついた。
――宮殿追放。
その言葉。
宮廷社会では、意味がある。
ただの処分ではない。
それは――
社交界からの追放。
王の宮殿を侮辱した者。
王妃を侮辱した者。
そんな人間と関われば、同じ疑いを持たれる。
だから誰も近づかない。
カミーユは初めて理解した。
宮殿を追放されるということ。
それは――
貴族社会から消えるということだった。
彼女は通りの真ん中に立っていた。
人が通り過ぎる。
誰も彼女を見ない。
見てもすぐ視線を逸らす。
昨日まで。
王太子の婚約者だった。
公爵令嬢だった。
宮殿の住人だった。
だが今。
カミーユは――
社交界から消えた女だった。
王都に着いたとき、カミーユは少し安心した。
宮殿の町よりも、人が多い。
商人。
職人。
貴族の馬車。
市場の声。
活気のある都市だった。
ここなら暮らせる。
カミーユはそう思った。
宮殿の町とは違う。
ここは王の都市。
商人の街でもある。
つまり――
貴族以外の人間も多い。
だから物価も多少は普通になる。
カミーユは宿を探した。
数軒回る。
確かに城下町よりは安い。
銀貨二枚。
銀貨一枚半。
それでも安くはない。
だが宮殿の町よりは現実的だった。
カミーユは小さな宿を選んだ。
二階の部屋。
前の宿よりは少し広い。
だがやはり質素だった。
ベッド。
机。
椅子。
それだけ。
彼女はため息をつく。
「……まあいいわ」
ここなら住める。
少なくとも城下町よりは。
荷物を置く。
窓から街を見る。
王都は大きい。
塔。
市場。
広い通り。
宮殿ほどではないが、華やかな都市だった。
カミーユは思う。
――ここで社交界に戻ればいい。
自分は公爵令嬢。
血筋は本物。
宮殿を追放されただけ。
王都には貴族もいる。
舞踏会もある。
つまり――
やり直せる。
カミーユは翌日、ドレスを着た。
まだ持っている。
公爵家の高級ドレス。
それを着て、貴族街へ向かった。
王都には貴族の屋敷が集まる区域がある。
そこなら知り合いもいるはず。
彼女は一軒の屋敷を訪ねた。
子爵家。
宮殿でも顔を合わせたことがある。
門番に言う。
「カミーユ・ド・モンフォールです」
門番は少し驚いた顔をした。
しかし中へ報告に行く。
しばらくして戻ってきた。
そして言った。
「申し訳ありません」
「本日はお会いできないそうです」
カミーユは眉をひそめる。
「突然来たから?」
門番は答えない。
ただ頭を下げるだけ。
カミーユは不満そうに去った。
次の屋敷。
伯爵家。
同じだった。
「本日はお会いできません」
三軒目。
同じ。
四軒目。
同じ。
カミーユは気づき始める。
――おかしい。
偶然ではない。
彼女は通りで立ち止まる。
そのとき、通りの向こうで二人の貴族令嬢が話していた。
「聞いた?」
「ええ、宮殿追放」
「王妃を侮辱したらしいわ」
「まあ……」
小さな声。
だがカミーユには聞こえた。
二人は彼女を見る。
そして視線を逸らす。
避けるように歩き去る。
カミーユは凍りついた。
――宮殿追放。
その言葉。
宮廷社会では、意味がある。
ただの処分ではない。
それは――
社交界からの追放。
王の宮殿を侮辱した者。
王妃を侮辱した者。
そんな人間と関われば、同じ疑いを持たれる。
だから誰も近づかない。
カミーユは初めて理解した。
宮殿を追放されるということ。
それは――
貴族社会から消えるということだった。
彼女は通りの真ん中に立っていた。
人が通り過ぎる。
誰も彼女を見ない。
見てもすぐ視線を逸らす。
昨日まで。
王太子の婚約者だった。
公爵令嬢だった。
宮殿の住人だった。
だが今。
カミーユは――
社交界から消えた女だった。
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