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おまけ
ダークヒロインだった結果①
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ドロテアが二回目の出産で生んだのは双子の男女だった。
腹が大きくなっていくにつれ、体内の魔力量がはっきりと読み取れるようになり、その頃からドロテアは恐らく双子だろうなと気付いて事前に準備していた。
そうして生まれた長女はエイデルと名付け、次男はブラッドリーがルーベンと名付けた。どちらも顔はドロテアに似ていたが、濃い紫色の瞳と赤い唇と癖っ毛はブラッドリーにそっくりで、ドロテアは母乳をあげる度に可愛いと身悶えていた。
そして何故か家冷のマイクが倒れた。
侯爵夫人と何かに大金を賭けていたらしく、大損こいて寝込んだ。マイクはふっくらとした丸顔のおおらかな男性だったのだが、干物のように痩けてしまった。
そこでマイクの妻、クロエが領地から王都にある侯爵邸にきてくれた。彼女は侯爵夫人の秘書で、多忙にも関わらず夫の為に甲斐甲斐しく世話をやいている。その姿にドロテアは自分も夫が病める時はこうでありたいと共感した。
そして大損こいたクロエの家計簿が気になった。
「……聞くのは失礼だけどいくら負けたの?」
「金貨百枚です。マイクの約二年分の小遣いですね。逆に私は二人から金貨二百枚儲けましたので、家計は黒字です。ご心配なく」
「?」
この世界の金貨二百枚とは、日本円にすると二千万円ほどだ。確かに夫が一千万すったとしても、一千万の儲けがある。なら気にすることはないかと、ドロテアは再び執務室の机に目を向けた。
「……いやぁ、それにしても、若奥様の切り絵は素晴らしい」
「ふふ、そう?」
ドロテアは双子の出産を各方面に報せる手紙を書いていた。出産直後に先触れは出したが、やはり大切な人達には直筆で伝えたかった。
今回のカードは飛び出す白鴛鴦の対だ。クロエが上質な小型のナイフを持ってきてくれたお陰で、その出来は今までで一番だった。
「こちらをお義父様とお義母様に届けてね」
「はい」
実家とティアラにも切り絵の手紙を送った。
そして主治医のアンナからきていた寄付金の嘆願に個人収入の7%を送る手続きをした。アンナは去年視察に訪れた隣国の母校から弟子をとる予定がある。その候補が平民の女の子だ。祖父母も両親も騎士だったらしく、女の子には少なからず魔力があり、なによりも優秀らしく、自分のもてる全ての知識をアンという女の子に託したいと言っていた。弟子として迎え入れるにも母校に寄付金が必要だったので、ドロテアは事がスムーズに運ぶようアンナを手助けした。
「若奥様。本日はもうお休みになられて下さい。スミス商会の予算案とドーンズ夫人の株主総会は急ぎではありませんし、若奥様個人の仕事について口を出すつもりはございませんが……出産したばかりで働き過ぎです」
「え……出産してからも全然働いてないけど?」
「……末恐ろしい」
「?」
ドーンズ夫人が栽培している茶葉はいつの間にか王都の定番商品になっていた。貴族の子供から老人まで定期購入する程で、現在では裕福な商人や平民も買い求める人気茶葉になっている。
ドロテアはドーンズ夫人の茶葉栽培に還元率の高い早期から投資していたので、また定期収入が増えていた。
ドロテアは茶葉の売り上げに目を通し、王都には広まったしそろそろ地方へ輸出してもいいかもしれないと考えていた。
「莫大な利益率ですね」
「あれだけ美味しければね~。ドーンズ夫人の実家はワインも作っていてね、そこのソムリエがまた腕利きで、薬草のブレンドも上手いの」
「美味しいところを取るのが上手ですよね」
「あ、飲んでみた? 実はティアラ様とカフェを出す時に、実家の軟水で少し手を加えてみたのよ。そしたらとてもまろやかになって、カフェでも自宅で淹れたのとはまた違って美味しいって人気が出たって」
「……素晴らしいです」
「ふふっ」
そこでコリンが午後のお茶を運んできた。
「さ、仕事は一旦終わり。休憩するわよー」
「は、はい」
ここへ来てからクロエはマイクの看病をしながらマイクの仕事を全て平然とこなしている。それが何日も続いて、ドロテアはクロエを午後のお茶に誘うようになった。
いつもは紅茶だが、今日クロエが飲んだのはドーンズ夫人の茶葉だ。
「美味しい、です」
「そうね、やっぱり美味しいわ~」
ドロテアが軟水も取り入れ改良したものは、抹茶のような鮮やかな緑色が美しく、菊のような花も浮いている見た目も楽しめるものだった。一口飲むと苦味もあって独特の味だ。緑茶のような渋さと、玄米茶のようなすっきり感もある。そしてなにより前世日本人のドロテアの口に合うブレンドになっていた。
「今まで無糖の飲み物といえば珈琲でしたが、この茶葉が台頭する日もそう遠くないでしょう」
コリンの言葉にドロテアは頷いた。
そしてクロエがそうなると異国から色んな珈琲豆を仕入れているアトス家が困窮するな、とほくそ笑んだ。
「あとイーサン・アトスから珈琲好きな旦那様に豆の献上がきています」
コリンがその目録をドロテアへ渡す。
三種類届いていたようだ。
イーサン・アトスはクワイス家からの報復を危惧して、たまにこうやって豆を献上してくる。
当時、ネイサンの遺体を持ってきた王立騎士達に、イーサンは何があったのかと事情を聞いた。王立騎士達は、反逆者として処分した、その場にはブラッドリーと副団長、そして自分達がいたことだけを話した。ただの一介の騎士にそのような面々が集まるとは、それだけでイーサンは震え上がり、反逆の度合いが高いのだと悟った。
「品級はどれも最上質な皇都の豆ね……一応保管しといて。飲むかどうかは知らないけど」
その言葉に思わずクロエがプッと笑ってから姿勢を正した。
「飲まれないと思いますよ。アトス家はもはや坊ちゃまの逆鱗ですので」
「……そうね。好きなのに、我慢してるのね。アトス家が独占してるアヴィエント皇国の珈琲豆をなんとか横取りしようと思ったんだけど、考えた末に思い浮かんだのが海賊を装って船ごと強奪する作戦だったの。証拠隠滅で沈没も加えて」
「……不可能ではないですね。そして着眼点がよいです。クワイス家はアヴィエント海域行きの船を所持していないので、疑われることはまず無いかと」
「でも……それをすると野蛮でしょ? ブラッドリー様にバレて嫌われるくらいなら首吊った方がマシだもの」
「……いい子!」
「?」
ドロテアはお茶を飲んでからふうと息を吐き、遠い目をした。
そしてニヤァリと、一瞬クロエでも身構える黒い笑みを溢した。
「私ね……アヴィエント皇国の皇帝が喉から手が出るほど欲しがっているものを送ったの」
「……え?」
「とある論文なんだけど、皇帝があれを読んで実行に移したら後宮は血祭りになるかもしれない。でもね……ブラッドリー様が大好きな朝の珈琲を飲めるようにする方が大事だから、ねぇ」
「……わ、若奥様?」
クロエがこの時のドロテアの言葉の意味を知ったのは、それから約半年後のことだった。
「アヴィエントの皇帝から白鴛鴦に豆が届いているわ」
デボタの言葉にクロエははて?と首を傾げた。確かに他国から若奥様に届く物は危険物が含まれていないか厳重な手入れが入るが……豆?
「若奥様は鳩じゃないので豆はいらないかと」
「……白鴛鴦の習性を忘れていたわ。雌の個体は雄を独占する為、雄が餌を取りに出掛けている隙に同族の雌を刺し殺しにいくのよ。その時、雌の透明な嘴は真っ赤に染まるの」
珍しく冗談に冗談を返してこないデボタ。
風邪でもひいたのかとクロエが書類から顔を上げると、デボタは血のように真っ赤な丸いものを摘まみあげていた。
「……それは、『紅の輝き』ではないですか。アヴィエントの皇帝しか飲めない珈琲豆では?」
「そうよ。この領地の上質な資源でも取り引きできなかった。そして百年もの間専売してるアトス家すら輸入できなかった幻の豆よ」
デボタはそれを口に入れてポリポリした。そして「美味っっ!」と目を見開いた。
それを侯爵も一粒食べた。
「……ふむ。美味だな。アヴィエントのコードリック三世は三ヶ月前に9名の妃を火刑に処した。残ったのは皇后と2名の側妃、その子供達だけ」
「妃の火刑は姦通罪が発覚した時のみ適応される処刑法では?」
「……姦通したから適応されたのでしょう。そして感謝状と共に我が家の白鴛鴦に幻の珈琲豆を贈ってきた。これがどういう意味か解る?」
「……解りません」
「わたくしもよ。何か掴めそうなのに……まだ点と点が繋がらないの」
「私もだ」
本当はクロエは気付いていた。
ドロテアの言った『論文』。
それが関係しているのは間違いない。
「クロエ、ほんとにわからないのー?」
「……検討もつきません」
検討はついた。
なんせ若奥様は魔力持ちにのみ適応する方法とはいえ、避妊具や避妊薬を必要としない避妊法まで編み出したのだ。妻の不貞を調べる方法を編み出せないわけがない。
クロエはドロテアを末恐ろしい子!と身震いして、今度会ったらその方法をこっそり教えてもらおうとウキウキした。
腹が大きくなっていくにつれ、体内の魔力量がはっきりと読み取れるようになり、その頃からドロテアは恐らく双子だろうなと気付いて事前に準備していた。
そうして生まれた長女はエイデルと名付け、次男はブラッドリーがルーベンと名付けた。どちらも顔はドロテアに似ていたが、濃い紫色の瞳と赤い唇と癖っ毛はブラッドリーにそっくりで、ドロテアは母乳をあげる度に可愛いと身悶えていた。
そして何故か家冷のマイクが倒れた。
侯爵夫人と何かに大金を賭けていたらしく、大損こいて寝込んだ。マイクはふっくらとした丸顔のおおらかな男性だったのだが、干物のように痩けてしまった。
そこでマイクの妻、クロエが領地から王都にある侯爵邸にきてくれた。彼女は侯爵夫人の秘書で、多忙にも関わらず夫の為に甲斐甲斐しく世話をやいている。その姿にドロテアは自分も夫が病める時はこうでありたいと共感した。
そして大損こいたクロエの家計簿が気になった。
「……聞くのは失礼だけどいくら負けたの?」
「金貨百枚です。マイクの約二年分の小遣いですね。逆に私は二人から金貨二百枚儲けましたので、家計は黒字です。ご心配なく」
「?」
この世界の金貨二百枚とは、日本円にすると二千万円ほどだ。確かに夫が一千万すったとしても、一千万の儲けがある。なら気にすることはないかと、ドロテアは再び執務室の机に目を向けた。
「……いやぁ、それにしても、若奥様の切り絵は素晴らしい」
「ふふ、そう?」
ドロテアは双子の出産を各方面に報せる手紙を書いていた。出産直後に先触れは出したが、やはり大切な人達には直筆で伝えたかった。
今回のカードは飛び出す白鴛鴦の対だ。クロエが上質な小型のナイフを持ってきてくれたお陰で、その出来は今までで一番だった。
「こちらをお義父様とお義母様に届けてね」
「はい」
実家とティアラにも切り絵の手紙を送った。
そして主治医のアンナからきていた寄付金の嘆願に個人収入の7%を送る手続きをした。アンナは去年視察に訪れた隣国の母校から弟子をとる予定がある。その候補が平民の女の子だ。祖父母も両親も騎士だったらしく、女の子には少なからず魔力があり、なによりも優秀らしく、自分のもてる全ての知識をアンという女の子に託したいと言っていた。弟子として迎え入れるにも母校に寄付金が必要だったので、ドロテアは事がスムーズに運ぶようアンナを手助けした。
「若奥様。本日はもうお休みになられて下さい。スミス商会の予算案とドーンズ夫人の株主総会は急ぎではありませんし、若奥様個人の仕事について口を出すつもりはございませんが……出産したばかりで働き過ぎです」
「え……出産してからも全然働いてないけど?」
「……末恐ろしい」
「?」
ドーンズ夫人が栽培している茶葉はいつの間にか王都の定番商品になっていた。貴族の子供から老人まで定期購入する程で、現在では裕福な商人や平民も買い求める人気茶葉になっている。
ドロテアはドーンズ夫人の茶葉栽培に還元率の高い早期から投資していたので、また定期収入が増えていた。
ドロテアは茶葉の売り上げに目を通し、王都には広まったしそろそろ地方へ輸出してもいいかもしれないと考えていた。
「莫大な利益率ですね」
「あれだけ美味しければね~。ドーンズ夫人の実家はワインも作っていてね、そこのソムリエがまた腕利きで、薬草のブレンドも上手いの」
「美味しいところを取るのが上手ですよね」
「あ、飲んでみた? 実はティアラ様とカフェを出す時に、実家の軟水で少し手を加えてみたのよ。そしたらとてもまろやかになって、カフェでも自宅で淹れたのとはまた違って美味しいって人気が出たって」
「……素晴らしいです」
「ふふっ」
そこでコリンが午後のお茶を運んできた。
「さ、仕事は一旦終わり。休憩するわよー」
「は、はい」
ここへ来てからクロエはマイクの看病をしながらマイクの仕事を全て平然とこなしている。それが何日も続いて、ドロテアはクロエを午後のお茶に誘うようになった。
いつもは紅茶だが、今日クロエが飲んだのはドーンズ夫人の茶葉だ。
「美味しい、です」
「そうね、やっぱり美味しいわ~」
ドロテアが軟水も取り入れ改良したものは、抹茶のような鮮やかな緑色が美しく、菊のような花も浮いている見た目も楽しめるものだった。一口飲むと苦味もあって独特の味だ。緑茶のような渋さと、玄米茶のようなすっきり感もある。そしてなにより前世日本人のドロテアの口に合うブレンドになっていた。
「今まで無糖の飲み物といえば珈琲でしたが、この茶葉が台頭する日もそう遠くないでしょう」
コリンの言葉にドロテアは頷いた。
そしてクロエがそうなると異国から色んな珈琲豆を仕入れているアトス家が困窮するな、とほくそ笑んだ。
「あとイーサン・アトスから珈琲好きな旦那様に豆の献上がきています」
コリンがその目録をドロテアへ渡す。
三種類届いていたようだ。
イーサン・アトスはクワイス家からの報復を危惧して、たまにこうやって豆を献上してくる。
当時、ネイサンの遺体を持ってきた王立騎士達に、イーサンは何があったのかと事情を聞いた。王立騎士達は、反逆者として処分した、その場にはブラッドリーと副団長、そして自分達がいたことだけを話した。ただの一介の騎士にそのような面々が集まるとは、それだけでイーサンは震え上がり、反逆の度合いが高いのだと悟った。
「品級はどれも最上質な皇都の豆ね……一応保管しといて。飲むかどうかは知らないけど」
その言葉に思わずクロエがプッと笑ってから姿勢を正した。
「飲まれないと思いますよ。アトス家はもはや坊ちゃまの逆鱗ですので」
「……そうね。好きなのに、我慢してるのね。アトス家が独占してるアヴィエント皇国の珈琲豆をなんとか横取りしようと思ったんだけど、考えた末に思い浮かんだのが海賊を装って船ごと強奪する作戦だったの。証拠隠滅で沈没も加えて」
「……不可能ではないですね。そして着眼点がよいです。クワイス家はアヴィエント海域行きの船を所持していないので、疑われることはまず無いかと」
「でも……それをすると野蛮でしょ? ブラッドリー様にバレて嫌われるくらいなら首吊った方がマシだもの」
「……いい子!」
「?」
ドロテアはお茶を飲んでからふうと息を吐き、遠い目をした。
そしてニヤァリと、一瞬クロエでも身構える黒い笑みを溢した。
「私ね……アヴィエント皇国の皇帝が喉から手が出るほど欲しがっているものを送ったの」
「……え?」
「とある論文なんだけど、皇帝があれを読んで実行に移したら後宮は血祭りになるかもしれない。でもね……ブラッドリー様が大好きな朝の珈琲を飲めるようにする方が大事だから、ねぇ」
「……わ、若奥様?」
クロエがこの時のドロテアの言葉の意味を知ったのは、それから約半年後のことだった。
「アヴィエントの皇帝から白鴛鴦に豆が届いているわ」
デボタの言葉にクロエははて?と首を傾げた。確かに他国から若奥様に届く物は危険物が含まれていないか厳重な手入れが入るが……豆?
「若奥様は鳩じゃないので豆はいらないかと」
「……白鴛鴦の習性を忘れていたわ。雌の個体は雄を独占する為、雄が餌を取りに出掛けている隙に同族の雌を刺し殺しにいくのよ。その時、雌の透明な嘴は真っ赤に染まるの」
珍しく冗談に冗談を返してこないデボタ。
風邪でもひいたのかとクロエが書類から顔を上げると、デボタは血のように真っ赤な丸いものを摘まみあげていた。
「……それは、『紅の輝き』ではないですか。アヴィエントの皇帝しか飲めない珈琲豆では?」
「そうよ。この領地の上質な資源でも取り引きできなかった。そして百年もの間専売してるアトス家すら輸入できなかった幻の豆よ」
デボタはそれを口に入れてポリポリした。そして「美味っっ!」と目を見開いた。
それを侯爵も一粒食べた。
「……ふむ。美味だな。アヴィエントのコードリック三世は三ヶ月前に9名の妃を火刑に処した。残ったのは皇后と2名の側妃、その子供達だけ」
「妃の火刑は姦通罪が発覚した時のみ適応される処刑法では?」
「……姦通したから適応されたのでしょう。そして感謝状と共に我が家の白鴛鴦に幻の珈琲豆を贈ってきた。これがどういう意味か解る?」
「……解りません」
「わたくしもよ。何か掴めそうなのに……まだ点と点が繋がらないの」
「私もだ」
本当はクロエは気付いていた。
ドロテアの言った『論文』。
それが関係しているのは間違いない。
「クロエ、ほんとにわからないのー?」
「……検討もつきません」
検討はついた。
なんせ若奥様は魔力持ちにのみ適応する方法とはいえ、避妊具や避妊薬を必要としない避妊法まで編み出したのだ。妻の不貞を調べる方法を編み出せないわけがない。
クロエはドロテアを末恐ろしい子!と身震いして、今度会ったらその方法をこっそり教えてもらおうとウキウキした。
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