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第四十四話「待機」
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4月22日の午後2時頃。
まだ少し早いが、パーガトリー迷宮管理事務所に戻ってきた。
事務所に入ると、迷宮の入口で繰り広げられる激戦が目に入った。今戦っている相手はリザードマンの上位種だ。
リザードマンの上位種は短槍を使うリザードマン槍使い、大型の槍である三又槍を使うリザードマン三又槍使いだ。いずれもレベルは170程度でリーチの長い槍を巧みに使っている。
更にその上位種であるリザードマン隊長はレベル185程度。スピアマンと同じような短槍に加え、丸盾を持っている。それに加え、最上位種であるリザードマン司令官の姿もあった。
コマンダーはレベル200程度だが、司令官という名の通り、その個体がいるだけで同族の能力を向上させるため、1体いるだけでも危険度が格段に上がる。
一方の防衛側はレベル150から200までの黄金級の探索者や魔物狩人が主力だ。同程度の実力の守備隊兵士も加わっている。
指揮官は守備隊の小隊長らしく、ここの守備隊を統括する中隊長のマーカス・エクレストンの姿はなかった。管理事務所の一室に篭ったまま、一度も姿を見せていないらしい。
レベル的には互角なのだが、思った以上に苦戦している。
その理由の1つはコマンダーの存在だが、リザードマンの種族としての特徴も関係していた。
リザードマンはトカゲのような鱗を持ち、オークに比べ防御力が高い。また、耐久力も高く、元々一撃で倒すことが難しい魔物と言われていた。
但し、動きが遅く、武術のスキルもリーダー以上しか持っていないため、本来であればそれほど危険度が高いというわけではない。しかし、魔物暴走によってどれほど倒しても後から出てくるため、守備側に疲労が溜まり、普段ならしないようなミスを犯してしまうらしい。
「某たちの出番も早まりそうな感じだな」
僕たちはこの後に出てくるオークから戦いに参加する予定だが、既にゴールドランクの前衛の半数以上が傷ついているという情報があった。
「そうだね」と答えるしかない。
僕としては知っている人もいるから手助けをしたいが、計画を勝手に変えるわけにもいかず、ここで悶々としているしかない。
「弓術士と魔術師はコマンダーを集中的に狙え! 槍のリーチは長いが、相手の動きをしっかり見れば避けることは難しくないぞ!……」
指揮官である小隊長が後方から大声で指示を出している。
それでも危険な状況には変わらず、何度も押し込まれ、戦線が崩壊しそうになっていた。
僕たちのところにも別の小隊長がいたので、参戦を申し出てみた。
「僕ならコマンダーを狙撃で倒せます。それだけでもずいぶん楽になると思いますが」
突然の申し出に小隊長は振り返り、怪訝な表情を一瞬だけ浮かべた。駆け出しにしか見えないから何を言っているのだと思ったのだろう。
「君か……確かに君ならコマンダーくらいは楽に倒せるだろうな」
「では……」と言いかけるが、すぐに否定される。
「だが、駄目だ。君たちはサイクロプスすら倒せる逸材なんだ。ここで消耗させるわけにはいかない」
「しかし……」
「今は少しでも時間を稼がなきゃならん時なんだ。逃げている人たちが一歩でも二歩でも遠くに行けるようにな。だから彼らに頑張ってもらうしかない」
最後の言葉は苦しげな表情を僅かに見せており、戦っている人たちのことを心配していることが察せられた。
マーカスの部下だからシーカーを馬鹿にし、僕のことを敵視してくるかと思ったが、そんなことはなかった。守備隊にもちゃんとした人がいると分かり、少しだけ安堵する。
「君たちの出番は夜になる予定だ」
当初の予定と違うため、「オークからと聞いていますが?」と聞くと、
「思った以上に苦戦している。このままだとゴーレムが出てきたところで押し切られてしまう」
「ならば、某たちも早めに出た方がよいのではありませんか?」
「逆だ。君たちはゴーレムに対する切り札だ。できる限り温存したいと思っている」
思った以上に高い評価だ。
「僕たちはまだ駆け出しみたいなものですが?」
「君たちが駆け出しなら、ここにはベテランはおらんよ」といい、ニコリと笑う。
僕がそんなことはないと言おうとしたが、それを遮った。
「悪いがおしゃべりの時間はあまりないようだ。午後4時から白金級、魔銀級に集まってもらい、ブリーフィングを行う。それまで身体を休めておいてくれ」
そう言ってその場を離れていった。
その小隊長の名はルーサー・リンゼイといい、ミスリルランクが出た時に前線の指揮を執ることになっているらしい。つまり、僕たちの隊長ということだ。
ちなみにプラチナランクの出番から、マーカスが全体の指揮を執るらしい。
あと2時間でブリーフィングなので時間はあるが、町の人がおらず、どこにいても同じだ。そのため、僕たちは管理事務所のロビーの長椅子に座り、静かに待つことにした。一時間ほど経った頃、アメリアさんが合流した。
「お待たせしました」
彼女はウイングフィールド家の屋敷の整理や戸締りなどをしていたため、僕たちとは別行動だったが、ここからは一緒に戦うことになっていた。
アメリアさんは黒のメイド服に2本の短剣を腰に差している。武骨な全身鎧の戦士やローブを纏った魔術師などの中ではとても目立つが、ミスリルランクのシーカーたちは彼女の実力を知っているので、絡んでくるような者はいない。
「ちょうどよい時間ですので、お茶にいたしましょう」
そう言いながら、どこから出したのか、籐のバスケットを僕たちに見せる。
「ここではいただきにくいですから、テーブルに参りましょう」
そう言って先導し、ミスリルランクのパーティがいる丸テーブルに向かう。
「この場をお借りしてもよろしいでしょうか?」
このピリピリした状況でそんなことを頼んでいいのかと思わないでもないが、シーカーたちは「どうぞ」と言って素直に譲ってくれた。
「ありがとうございます」ときれいなお辞儀で応えると、
「席にお着きになってください」と言ってきた。
僕とローザは顔を見合わせるが、素直にテーブルに着く。
アメリアさんだが、この町では知らない人がいないほどの有名人だ。
理由はウイングフィールド家のメイドということもあるが、それ以上に実力者として名が知られている。
以前、彼女に手を出そうとしたミスリルランクの戦士がいたが、彼女に手も足も出ずにボコボコにされ、気絶させられた。
優秀な治癒師であるディアナさんが治療しなければ再起不能に陥っていたかも知らないというほどで、あまりの凄惨さに多くのシーカーが震えあがったという話だ。
実際、アメリアさんのレベルは390と最上級の一歩手前で、その体術と剣術の腕からブラックランクからも一目置かれている。
そのため、ベテランであるほどアメリアさんを恐れているらしい。
アメリアさんはテキパキとお茶の準備を進めていく。
籠の蓋を開けたことから甘い香りが広がり、鼻をくすぐる。
「お嬢様のお好きなアップルパイでございます。紅茶も奥様秘蔵の最高級の物を用意いたしました」
「よいのか? 残り少なかったと聞いているが」
「屋敷がどのような状態になるのか分かりませんので、飲んでしまった方が奥様も喜ばれるのではないでしょうか?」
「確かに」
そんなことを話しながら携帯用のコンロでお湯を沸かし、紅茶を入れていく。
先ほどまで殺伐としていた管理事務所のロビーに紅茶の芳しい香りが広がる。周りにいるシーカーたちも半ば呆れながらも何となく場が和んだ感じがしていた。
アップルパイと紅茶を楽しむ。最初はこの後のことを考え緊張していたが、いつの間にかローザとアメリアさんと談笑できるほどリラックスしていた。
「アメリアのお陰で心が落ち着いた」
「それはよろしゅうございました。この先、落ち着いてお話をする機会が巡ってこないかもしれませんでしたので」
優雅なお茶の時間が終わったところで、管理局職員が現れた。
「プラチナランク、ミスリルランクの皆様! 守備隊より今後の計画について説明がございます! この場でお待ちください!」
その言葉でシーカーたちに緊張が高まる。
そこに迷宮管理事務所のハワード・カーンズ所長とマーカス、リンゼイ隊長が現れた。
カーンズ所長とリンゼイ隊長は緊張しているものの、余裕を見せようとしているが、マーカスの顔は青ざめており、顔を伏せたまま視線を向けることはなかった。
カーンズ所長が一歩前に出る。
「これより簡単に今後の計画を説明する。リンゼイ小隊長、よろしく頼みます」
そこでリンゼイ隊長が前に出る。
「グリステート守備隊第二小隊長のルーサー・リンゼイだ。そろそろオークが出てくるはずだ。オークに対してはプラチナランクに当たってもらう。もちろん、ゴールドランクに支援させるが、アンデッドまではプラチナランクまでで対応することになる。だが、戦線の維持を優先するからミスリルランクにも出てもらうかもしれない……」
リンゼイ隊長の説明ではアンデッドが出てくるのは午後9時頃、僕たちの出番は更にその後になるらしい。
ただし、プラチナランクが押し切られそうになった場合はミスリルランクも投入し、入口を死守する。
「どの階層の魔物まで出てくるかは正直分からない! 過去の事例では下層の魔物が出てこなかったこともあったからだ。そこで我々が対応するのはオーガ、トロール、ミノタウロスまでだ! その先にいる悪魔、吸血鬼などが出てきた場合は撤退に移る。ただし、無暗に逃げるわけではない。町の中に逃げ込み、相手を分散させて各個撃破するのだ!……」
リンゼイ隊長の説明は合理的なものだった。
ここにいる最高の戦士はアメリアさんで、ミスリルランクのシーカーのレベルは最も高くて380程度だ。
当然のことだが、ブラックランクが相手にする400階層の悪魔や上位アンデッドと正面から戦えば間違いなく負ける。それなら町に散らばり、敵を引き付けることで、逃げている人たちに少しでも被害が出ないようにする方がいい。
「そこまで厄介な魔物が出てくることは稀だ。ゴーレムくらいで終わることもあるのだからな」
リンゼイ隊長が気休めを言うが、誰も信じていなかった。
10分ほどで説明が終わり、シーカーたちから質問が出るが、事前に説明されていたことばかりですぐに質問はなくなった。
「では、プラチナランクは入り口付近に待機してくれ! ミスリルランクは午後8時頃にここに来てくれたらいい。それまでは自由にしてくれ!」
そこで解散となったが、マーカスはその間一言も話さなかった。
まだ少し早いが、パーガトリー迷宮管理事務所に戻ってきた。
事務所に入ると、迷宮の入口で繰り広げられる激戦が目に入った。今戦っている相手はリザードマンの上位種だ。
リザードマンの上位種は短槍を使うリザードマン槍使い、大型の槍である三又槍を使うリザードマン三又槍使いだ。いずれもレベルは170程度でリーチの長い槍を巧みに使っている。
更にその上位種であるリザードマン隊長はレベル185程度。スピアマンと同じような短槍に加え、丸盾を持っている。それに加え、最上位種であるリザードマン司令官の姿もあった。
コマンダーはレベル200程度だが、司令官という名の通り、その個体がいるだけで同族の能力を向上させるため、1体いるだけでも危険度が格段に上がる。
一方の防衛側はレベル150から200までの黄金級の探索者や魔物狩人が主力だ。同程度の実力の守備隊兵士も加わっている。
指揮官は守備隊の小隊長らしく、ここの守備隊を統括する中隊長のマーカス・エクレストンの姿はなかった。管理事務所の一室に篭ったまま、一度も姿を見せていないらしい。
レベル的には互角なのだが、思った以上に苦戦している。
その理由の1つはコマンダーの存在だが、リザードマンの種族としての特徴も関係していた。
リザードマンはトカゲのような鱗を持ち、オークに比べ防御力が高い。また、耐久力も高く、元々一撃で倒すことが難しい魔物と言われていた。
但し、動きが遅く、武術のスキルもリーダー以上しか持っていないため、本来であればそれほど危険度が高いというわけではない。しかし、魔物暴走によってどれほど倒しても後から出てくるため、守備側に疲労が溜まり、普段ならしないようなミスを犯してしまうらしい。
「某たちの出番も早まりそうな感じだな」
僕たちはこの後に出てくるオークから戦いに参加する予定だが、既にゴールドランクの前衛の半数以上が傷ついているという情報があった。
「そうだね」と答えるしかない。
僕としては知っている人もいるから手助けをしたいが、計画を勝手に変えるわけにもいかず、ここで悶々としているしかない。
「弓術士と魔術師はコマンダーを集中的に狙え! 槍のリーチは長いが、相手の動きをしっかり見れば避けることは難しくないぞ!……」
指揮官である小隊長が後方から大声で指示を出している。
それでも危険な状況には変わらず、何度も押し込まれ、戦線が崩壊しそうになっていた。
僕たちのところにも別の小隊長がいたので、参戦を申し出てみた。
「僕ならコマンダーを狙撃で倒せます。それだけでもずいぶん楽になると思いますが」
突然の申し出に小隊長は振り返り、怪訝な表情を一瞬だけ浮かべた。駆け出しにしか見えないから何を言っているのだと思ったのだろう。
「君か……確かに君ならコマンダーくらいは楽に倒せるだろうな」
「では……」と言いかけるが、すぐに否定される。
「だが、駄目だ。君たちはサイクロプスすら倒せる逸材なんだ。ここで消耗させるわけにはいかない」
「しかし……」
「今は少しでも時間を稼がなきゃならん時なんだ。逃げている人たちが一歩でも二歩でも遠くに行けるようにな。だから彼らに頑張ってもらうしかない」
最後の言葉は苦しげな表情を僅かに見せており、戦っている人たちのことを心配していることが察せられた。
マーカスの部下だからシーカーを馬鹿にし、僕のことを敵視してくるかと思ったが、そんなことはなかった。守備隊にもちゃんとした人がいると分かり、少しだけ安堵する。
「君たちの出番は夜になる予定だ」
当初の予定と違うため、「オークからと聞いていますが?」と聞くと、
「思った以上に苦戦している。このままだとゴーレムが出てきたところで押し切られてしまう」
「ならば、某たちも早めに出た方がよいのではありませんか?」
「逆だ。君たちはゴーレムに対する切り札だ。できる限り温存したいと思っている」
思った以上に高い評価だ。
「僕たちはまだ駆け出しみたいなものですが?」
「君たちが駆け出しなら、ここにはベテランはおらんよ」といい、ニコリと笑う。
僕がそんなことはないと言おうとしたが、それを遮った。
「悪いがおしゃべりの時間はあまりないようだ。午後4時から白金級、魔銀級に集まってもらい、ブリーフィングを行う。それまで身体を休めておいてくれ」
そう言ってその場を離れていった。
その小隊長の名はルーサー・リンゼイといい、ミスリルランクが出た時に前線の指揮を執ることになっているらしい。つまり、僕たちの隊長ということだ。
ちなみにプラチナランクの出番から、マーカスが全体の指揮を執るらしい。
あと2時間でブリーフィングなので時間はあるが、町の人がおらず、どこにいても同じだ。そのため、僕たちは管理事務所のロビーの長椅子に座り、静かに待つことにした。一時間ほど経った頃、アメリアさんが合流した。
「お待たせしました」
彼女はウイングフィールド家の屋敷の整理や戸締りなどをしていたため、僕たちとは別行動だったが、ここからは一緒に戦うことになっていた。
アメリアさんは黒のメイド服に2本の短剣を腰に差している。武骨な全身鎧の戦士やローブを纏った魔術師などの中ではとても目立つが、ミスリルランクのシーカーたちは彼女の実力を知っているので、絡んでくるような者はいない。
「ちょうどよい時間ですので、お茶にいたしましょう」
そう言いながら、どこから出したのか、籐のバスケットを僕たちに見せる。
「ここではいただきにくいですから、テーブルに参りましょう」
そう言って先導し、ミスリルランクのパーティがいる丸テーブルに向かう。
「この場をお借りしてもよろしいでしょうか?」
このピリピリした状況でそんなことを頼んでいいのかと思わないでもないが、シーカーたちは「どうぞ」と言って素直に譲ってくれた。
「ありがとうございます」ときれいなお辞儀で応えると、
「席にお着きになってください」と言ってきた。
僕とローザは顔を見合わせるが、素直にテーブルに着く。
アメリアさんだが、この町では知らない人がいないほどの有名人だ。
理由はウイングフィールド家のメイドということもあるが、それ以上に実力者として名が知られている。
以前、彼女に手を出そうとしたミスリルランクの戦士がいたが、彼女に手も足も出ずにボコボコにされ、気絶させられた。
優秀な治癒師であるディアナさんが治療しなければ再起不能に陥っていたかも知らないというほどで、あまりの凄惨さに多くのシーカーが震えあがったという話だ。
実際、アメリアさんのレベルは390と最上級の一歩手前で、その体術と剣術の腕からブラックランクからも一目置かれている。
そのため、ベテランであるほどアメリアさんを恐れているらしい。
アメリアさんはテキパキとお茶の準備を進めていく。
籠の蓋を開けたことから甘い香りが広がり、鼻をくすぐる。
「お嬢様のお好きなアップルパイでございます。紅茶も奥様秘蔵の最高級の物を用意いたしました」
「よいのか? 残り少なかったと聞いているが」
「屋敷がどのような状態になるのか分かりませんので、飲んでしまった方が奥様も喜ばれるのではないでしょうか?」
「確かに」
そんなことを話しながら携帯用のコンロでお湯を沸かし、紅茶を入れていく。
先ほどまで殺伐としていた管理事務所のロビーに紅茶の芳しい香りが広がる。周りにいるシーカーたちも半ば呆れながらも何となく場が和んだ感じがしていた。
アップルパイと紅茶を楽しむ。最初はこの後のことを考え緊張していたが、いつの間にかローザとアメリアさんと談笑できるほどリラックスしていた。
「アメリアのお陰で心が落ち着いた」
「それはよろしゅうございました。この先、落ち着いてお話をする機会が巡ってこないかもしれませんでしたので」
優雅なお茶の時間が終わったところで、管理局職員が現れた。
「プラチナランク、ミスリルランクの皆様! 守備隊より今後の計画について説明がございます! この場でお待ちください!」
その言葉でシーカーたちに緊張が高まる。
そこに迷宮管理事務所のハワード・カーンズ所長とマーカス、リンゼイ隊長が現れた。
カーンズ所長とリンゼイ隊長は緊張しているものの、余裕を見せようとしているが、マーカスの顔は青ざめており、顔を伏せたまま視線を向けることはなかった。
カーンズ所長が一歩前に出る。
「これより簡単に今後の計画を説明する。リンゼイ小隊長、よろしく頼みます」
そこでリンゼイ隊長が前に出る。
「グリステート守備隊第二小隊長のルーサー・リンゼイだ。そろそろオークが出てくるはずだ。オークに対してはプラチナランクに当たってもらう。もちろん、ゴールドランクに支援させるが、アンデッドまではプラチナランクまでで対応することになる。だが、戦線の維持を優先するからミスリルランクにも出てもらうかもしれない……」
リンゼイ隊長の説明ではアンデッドが出てくるのは午後9時頃、僕たちの出番は更にその後になるらしい。
ただし、プラチナランクが押し切られそうになった場合はミスリルランクも投入し、入口を死守する。
「どの階層の魔物まで出てくるかは正直分からない! 過去の事例では下層の魔物が出てこなかったこともあったからだ。そこで我々が対応するのはオーガ、トロール、ミノタウロスまでだ! その先にいる悪魔、吸血鬼などが出てきた場合は撤退に移る。ただし、無暗に逃げるわけではない。町の中に逃げ込み、相手を分散させて各個撃破するのだ!……」
リンゼイ隊長の説明は合理的なものだった。
ここにいる最高の戦士はアメリアさんで、ミスリルランクのシーカーのレベルは最も高くて380程度だ。
当然のことだが、ブラックランクが相手にする400階層の悪魔や上位アンデッドと正面から戦えば間違いなく負ける。それなら町に散らばり、敵を引き付けることで、逃げている人たちに少しでも被害が出ないようにする方がいい。
「そこまで厄介な魔物が出てくることは稀だ。ゴーレムくらいで終わることもあるのだからな」
リンゼイ隊長が気休めを言うが、誰も信じていなかった。
10分ほどで説明が終わり、シーカーたちから質問が出るが、事前に説明されていたことばかりですぐに質問はなくなった。
「では、プラチナランクは入り口付近に待機してくれ! ミスリルランクは午後8時頃にここに来てくれたらいい。それまでは自由にしてくれ!」
そこで解散となったが、マーカスはその間一言も話さなかった。
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