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学園祭を終えて
しおりを挟む(柳沢 望)
学園祭が終わって。
片付けや反省会なども終わった翌日の午後には戻ってきていた当たり前の日常で。
改めてカタちんに、お礼を言いに行った。
メッセージなどではなく、直接聞きたかった後夜祭の後の結果を聴くことも兼ねて。
その時に見た、カタちんの涙を、私はたぶん一生忘れないと思う。
素直に、うらやましいと思ったのだ。
そんなに誰かを一途に純粋に、想えていると言うことに。
ねえ、カタちん。
わたし、その後で知ったんだけど、わたしたちを繋げてくれたあの作品あ、続編があるんだね。
高校を卒業した主人公と、意地悪な女の子の大学生活の話。
この話の主人公は、意地悪な女の子の方。
本編では誰とも結ばれず、作中の誰とも未来の示唆がなかった女の子。
その女の子は、その後作中とは別の時間、別の場所で、素敵な男性と知り合っていた。
意地悪だった女の子は、その男性の前では素直になれないところも意地を張ってしまうところも抱えている過去に卑屈になっているところも可愛くて、相手の男性はそんな女の子を愛おしく思ってくれていて。
まさに、恋愛マンガの主人公、だったよ。
どんな人でも。
どんな過去があっても。
誰にだって未来があり。
誰にだって希望がある。
カタちん。
今が楽しくても辛くても。
生きている限り未来があり続けている。
死ぬまでずっと、その瞬間まではたとえわずかでも未来を残している。
未来がある限り、希望がある。
その希望はさ、友だちと一緒だったら、より探しやすく、掴みやすくなるんじゃないかな。
わたしを友と呼んだ。呼んでくれた。
わたしも友だと思っている。
だからカタちん。
カタちんに訪れたその結果を。
わたしに共有してくれたその結末を。
無防備に受け止めていたカタちん。
その結末から始まる、次の物語を。
不器用に進み始めたカタちん。
わたしは、カタちんの傍にいるからね。
傍にいるわたしは必ずしも完全な味方ではないのかもしれない。
一緒に泣くこともあるだろう。
泣いてるカタちんを慰めることもあるかもしれない。
叱咤叱責することも、反対することも怒ることもあるかもしれない。
時にぶつかり、真っ向から対立することも。
ひとつしかないものを巡って争うことだって起こり得る。
それでも、その全ての場で。
友、として。
わたしはカタちんの傍に在り続けたいと思う。
カタちんも、そうであってくれたら良いなぁ。
ほかの友だちとはちょっと異なる関係性だけど、この奇妙な友人関係を、わたしは大切にするよ。
カタちんは、どうかな?
なんとなく、大事にしてくれるんじゃないかなぁって思った。本当に、なんとなくだけど。
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