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『confusǎo』実演
しおりを挟む(柳沢 望)
演目と演目の間。
ざわついているフロアは、わたしにとっては静寂に思えた。
楽器担当は薄暗いステージにそれぞれの得物をもって立ち入り、ポジションに着く。
尚、静寂。
マイクが気配を拾う。DJが話しはじめる気配を。
ドン! と、腹に響くパーカッションの音。ついで、やや抑えられて続くリズム音。
その音に乗ってDJが話しはじめる。
内容は、わたしたち、『confusǎo』を紹介しながら、場をこれでもかと盛り上げるもの。
会場が湧いた。
DJのためのリズム音がフェードアウトした。
一瞬の間。ざわめきをも止んだ真の静寂。
爪弾かれた弦が奏でたメロディーが、スピーカーを通して会場に響く。
スポットライトがわたしを照らす。
沸き起こる歓声。
わたしの歌い出しに合わせ、パシスタみことがパンデイロでリズムを刻む。
『Caciqueando』
わたしが歌う歌。
歌詞の意味は直訳ではいまいちよくわからないが、とにかく嫌なことは忘れて楽しく唄おう! みたいな内容だと解釈している。
実際には違うかもしれないが、曲はとにかく楽し気だから、それで良いではないか。
楽しむことが第一義ということは、このユニットのコンセプトにも合っている。
それぞれが不慣れなパートを一生懸命に、でも楽しく演奏し、歌って、踊るのだ。その雰囲気が、地続きのフロアに広がって、サンビスタもサンバを知らない人も、一緒になって楽しめれば。
パシスタのほづみのスルド、ルイのカイシャ、ひいのタンボリンがリズムに加わる。リズムに厚みが出て、楽曲は一気に飛び跳ねるような弾けた印象を纏い始める。
歌う声にもついつい熱が帯びてくる。結構気持ちが良い。
少しわたしに余裕が出てきたからか、マレが飛び跳ねて手を振っている様子が見えた。
最初のサビに入る。
ここでは全員が演奏の手を止める。
アカベラの歌唱。
この歌には定番のキメがあり、そこではタタタッと顔の横に挙げた両手でリズミカルに手拍子を打つ。
手拍子部分のリズムはサビ内の小節ごとに繰り返される。手拍子の位置を顔の右横、左横といった具合に、交互に繰り返すのが楽しい曲だ。
ギターのわたしも打楽器の奏者たちも、ここは手拍子でキメる。
Aメロに戻った楽曲は、ここからテンションを高めていく。
リズム隊は音を大きく、複雑で早いリズムを刻む。それに負けない声でわたしは歌う。
同時に四人が嬌声をあげながらステージに、まさに乱入といった様相で入ってきた。
頭上では軸となるスルドのリズムに合わせて手拍子を打っている。
ほまれちゃんといのりちゃんはすっごくいい笑顔で、羞恥心など一切感じさせぬ振り切った声をあげていた。
「ほまれちゃーん! みんなー!」
マレの声が聞こえた。その声に応えるようめがみちゃんとアリスンも一生懸命大きな声を出している。
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