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本章

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「イベントないなら、作っちゃえば良いと思わない?」

 どういうこと?
 チーム主催のイベントを実施するということだろうか。
『ソルエス』も、「ソルエスショー」というチーム主催のイベントを開催したことがあるらしい。一時メンバーが減少ししばらく取りやめていたらしいが、ここ数年メンバーが増えつつあり、若返りも進んでいるようで復活の機運がある。
 そういうことを言っているのだろうか? でも、これもまた、浅草サンバカーニバルに比肩する負荷があると聞いた。会場を押さえるなどの物理的な要素も含め、準備には数ヶ月単位の期間が必要だろう。どうあれ直近にイベントがない状況が無くなるわけではない。


「まあ、それもひとつだよね」

 なにも、そんな大掛かりなショーにしなければ、ハードルは低い。
 ステージが作れそうな飲食店や施設などで実施することは現実的だ。実際そういうイベント依頼が入ることはある。
 そういうイベントなら、すぐ企画して実施することはできそうだった。
 ただ、店舗などを使わせてもらうなら店舗のお客様が観客になるだろうから、完全なオープンイベントとは言いにくいし、規模的にもダンサー中心のイベントになることだろう。
 環境によっては大きな音を出しにくい場合もあり、スルドを入れられないこともある。

 祷は、それもひとつという言い方をした。ということは、イベントを作るとは、チームが主催するイベントとは別のやり方を指しているのだろうか。


「そもそもイベントってどうやって出られるって思う?」

 お祭りの主催者から呼んでもらって出てるのではないの?

「そう。お祭りの主催者が、お祭りを盛り上げたい、観客に喜んでもらいたい、来客を増やしたいという目的を果たすために、相応しい団体を呼ぶの。ちゃんと出演料を払って」

 商店街のイベントや、屋台やキッチンカーなどがでるイベントなんかは、集客に重きを置かれるだろうし、地域のお祭りなら地元の団体が優遇または必須であるなど、意図や趣旨により多少優先順位は変わるとしても、大筋の目的は変わらない。

「これが依頼が発生する原理原則。言い換えると、サンバ隊を呼ぶというニーズの大元ね。
これって、別に限定された範囲のことではないよね」

 お祭りやイベントは、別に地域のものに限らなくて良いし、依頼は待っているだけでなくても良い。

「地域主体でも、企業が主体でも、あらゆるイベントやお祭り、フェスなどどんなものでも、ひとを呼びたいという目的があればサンバはニーズに沿う可能性があって、それをこちらから提案しに行っても良いんじゃない?」

 要は、営業をかけるということだ。



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