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本章
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祷は次のイベントに出るのだろうか?
基礎ができていて勘も良さそうな祷は、入会早々ある程度スルドを叩けていて、既に形になっていた。
練習の質も高そうで、イベントまで集中して取り組めば出演はできるだろうとハルさんやキョウさん、祷の指導係をやっているチカさん、同じくスルドでチカさんの夫のジャックさんが話していた。
最終的にはバテリアを統括するリーダーと、指揮者であるヂレトールの承認が必要であるが、演者の「出たい」という気持ちを尊重し、可能な限り出させる方向で考えるチームだから、希望を出していれば出演者になっているはずだった。
「ううん、まだ入ったばかりだし、もう少ししっかり練習してからって思って。
イベントにはスタッフとして参加するよ。
演者として参加するようになったら客観的に聴ける機会も減るだろうから、今のうちに聴いておかないとね」
祷の考え方はとても正しくて、やっぱり大人だなぁと思った。
前にチラッと言っていた、わたしと一緒に出るということにこだわってくれているのだとしたら少し嬉しかった。
わたしも当日はもう怪我の影響はほとんどないだろうから、スタッフとして出るつもりだ。
スタッフTシャツはチームカラーのネイビー地にオレンジで背中にチーム名と「STAFF」とだけ書かれたシンプルなものだが、右胸に太陽と星を簡易的にデザインしたロゴがあしらわれていてかわいくて結構気に入っていた。
ふたりで揃いのTシャツを着てイベントを支え、盛り上げるのも悪くないかなと思った。
と、なると、祷が問うた「イベント出たいよね?」の意図はなんだろう?
「がんちゃんが出たがっていたイベントが『ソルエス』にとってのオープンイベントとしては今期最後らしいね」
だから、どうしても出たかったのだ。
「てことは、しばらく『ソルエス』のスケジュールは空くんじゃない?」
もちろん完全に何も無くなるわけではない。
活動はなにもイベントそのものだけではないのだ。
例えば浅草サンバカーニバルは準備だけでも膨大な時間がかかる。始動は早ければ早いほど良い。
浅草サンバカーニバルは毎年テーマを決める。テーマに応じた曲と詩、テーマに基づいたストーリーに沿う構成をつくり、演者をいくつかに分けてグループにして、グループごとに衣装や振り付けを作る。
チームによっては大きな山車をつくるので、時間はいくらあっても足らない。
この浅草サンバカーニバルを監督し指揮する者を『カルナヴァレスコ』と言い、成り手も募らなくてはならない。
過去にはプレゼン大会をして投票で決めたこともあったそうだ。それ自体がひとつのイベントになる。
同じく、来期の『ハイーニャ』と呼ばれるダンサーも決めなくてはならない。
正式には『ハイーニャ・ダ・バテリア』と言い、ダンサーではあるが「バテリアの女王」と呼ばれるそのポジションは、バテリアを率い、鼓舞し、バテリアを観客に魅せる、プレゼンすると言った役割を持つ、チームにひとりしかいない栄誉ある存在だ。
技術や魅せ方華やかさなど、求められる要綱はいつくかあるが、バテリアの女王なので、バテリアの支持を受けている必要がある。
指名制で選ばれる場合もあるそうだが、『ソルエス』では来期の『ハイーニャ』はハイーニャコンテストで決めることになっていた。
このコンテストもイベントの閑散期におこなう。
他にもサンバ関係者のみに限定したクローズドのイベントなど、チームとしての活動が無くなるわけではない。
とはいえ、祷の言う通り、一般の観客に向けてパフォーマンスするイベントがしばらくないのは事実だ。
基礎ができていて勘も良さそうな祷は、入会早々ある程度スルドを叩けていて、既に形になっていた。
練習の質も高そうで、イベントまで集中して取り組めば出演はできるだろうとハルさんやキョウさん、祷の指導係をやっているチカさん、同じくスルドでチカさんの夫のジャックさんが話していた。
最終的にはバテリアを統括するリーダーと、指揮者であるヂレトールの承認が必要であるが、演者の「出たい」という気持ちを尊重し、可能な限り出させる方向で考えるチームだから、希望を出していれば出演者になっているはずだった。
「ううん、まだ入ったばかりだし、もう少ししっかり練習してからって思って。
イベントにはスタッフとして参加するよ。
演者として参加するようになったら客観的に聴ける機会も減るだろうから、今のうちに聴いておかないとね」
祷の考え方はとても正しくて、やっぱり大人だなぁと思った。
前にチラッと言っていた、わたしと一緒に出るということにこだわってくれているのだとしたら少し嬉しかった。
わたしも当日はもう怪我の影響はほとんどないだろうから、スタッフとして出るつもりだ。
スタッフTシャツはチームカラーのネイビー地にオレンジで背中にチーム名と「STAFF」とだけ書かれたシンプルなものだが、右胸に太陽と星を簡易的にデザインしたロゴがあしらわれていてかわいくて結構気に入っていた。
ふたりで揃いのTシャツを着てイベントを支え、盛り上げるのも悪くないかなと思った。
と、なると、祷が問うた「イベント出たいよね?」の意図はなんだろう?
「がんちゃんが出たがっていたイベントが『ソルエス』にとってのオープンイベントとしては今期最後らしいね」
だから、どうしても出たかったのだ。
「てことは、しばらく『ソルエス』のスケジュールは空くんじゃない?」
もちろん完全に何も無くなるわけではない。
活動はなにもイベントそのものだけではないのだ。
例えば浅草サンバカーニバルは準備だけでも膨大な時間がかかる。始動は早ければ早いほど良い。
浅草サンバカーニバルは毎年テーマを決める。テーマに応じた曲と詩、テーマに基づいたストーリーに沿う構成をつくり、演者をいくつかに分けてグループにして、グループごとに衣装や振り付けを作る。
チームによっては大きな山車をつくるので、時間はいくらあっても足らない。
この浅草サンバカーニバルを監督し指揮する者を『カルナヴァレスコ』と言い、成り手も募らなくてはならない。
過去にはプレゼン大会をして投票で決めたこともあったそうだ。それ自体がひとつのイベントになる。
同じく、来期の『ハイーニャ』と呼ばれるダンサーも決めなくてはならない。
正式には『ハイーニャ・ダ・バテリア』と言い、ダンサーではあるが「バテリアの女王」と呼ばれるそのポジションは、バテリアを率い、鼓舞し、バテリアを観客に魅せる、プレゼンすると言った役割を持つ、チームにひとりしかいない栄誉ある存在だ。
技術や魅せ方華やかさなど、求められる要綱はいつくかあるが、バテリアの女王なので、バテリアの支持を受けている必要がある。
指名制で選ばれる場合もあるそうだが、『ソルエス』では来期の『ハイーニャ』はハイーニャコンテストで決めることになっていた。
このコンテストもイベントの閑散期におこなう。
他にもサンバ関係者のみに限定したクローズドのイベントなど、チームとしての活動が無くなるわけではない。
とはいえ、祷の言う通り、一般の観客に向けてパフォーマンスするイベントがしばらくないのは事実だ。
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