6 / 23
ジル
しおりを挟む
「控室はね、市役所の会議室が借りれてる。広いよ! 会場は近い! でも、イベントに人を集めているわけだから、夕方から夜にかけてって時間でもあるし、ガードはいた方が良いね。スタッフは用意できるはずだけど、当日の現場の状況次第な部分あるし、やっぱ連携とりやすいメンバー同士かチームやメンバーに所縁のあるボランティアのスタッフは居てくれたら心強い」
『承知した。ジルは広場の方にダンサーとして出るのか?』
ジルとは紗杜のことである。
ダンサーも楽器の奏者や歌い手も、何ならスタッフも、サンバチーム内に置いて愛称ともいえるサンバネームを付けている。本名そのままというメンバーやあだ名のような本名をもじったものを使っているメンバーが多いが、せっかくだからとブラジル人名のような名前や、本名とは全く異なる名前を名乗っている者も一定数いる。
紗杜は入会時に当時の入会受付の担当からサンバネームはどうするかと尋ねられ、何も考えず、ジルスチュアートが好きというだけでジルというサンバネームを付けていた。
後に、語源とスペルが異なる同じ発音のジルが男性名として存在していて、ブラジルではどちらかと言えば男性名のイメージの方が強いいうことを知るが、「別に良いか。むしろもしブラジレイラに自己紹介することがあったら覚えてもらいやすいかも」と、よくわからない前向きさを発揮した紗杜は、そのままジルという名を使い続けている。
「んー、出たいんだけどねぇ。今回は企画運営に回った方が良いかなぁと思ってるから、演者としては出ない方向で考えてるよ」
スタッフも手弁当で市役所や商工会の人に手伝ってもらうような状況だ。
現場も数箇所で同時開催を考えている。
ゲストや店舗を巻き込み、チーム内だけでは完結しない状況となる。
管理者として、情報や状況を随時集約し、適時対応できる態勢をとっておいた方が良いだろうと紗杜は考えていた。
『了解。じゃあ、詳細はメッセージしとく。『Tempo de Ouro』で話した内容や、スタッフの手配状況も報告するから』
「うん、こっちも控室の詳細情報送っとくね。それじゃ、また!」
電動キックボードのポートに着いた紗杜は、慣れた様子でアプリを操作し、市専用のオリジナルのカラーリングが施された電動キックボードを起動させた。
市とシェアリングサービスを手掛ける国内では大手の会社が提携し、市の主要エリアや拠点を電動キックボードで網羅する計画があり、ポートは随時増えていた。
『承知した。ジルは広場の方にダンサーとして出るのか?』
ジルとは紗杜のことである。
ダンサーも楽器の奏者や歌い手も、何ならスタッフも、サンバチーム内に置いて愛称ともいえるサンバネームを付けている。本名そのままというメンバーやあだ名のような本名をもじったものを使っているメンバーが多いが、せっかくだからとブラジル人名のような名前や、本名とは全く異なる名前を名乗っている者も一定数いる。
紗杜は入会時に当時の入会受付の担当からサンバネームはどうするかと尋ねられ、何も考えず、ジルスチュアートが好きというだけでジルというサンバネームを付けていた。
後に、語源とスペルが異なる同じ発音のジルが男性名として存在していて、ブラジルではどちらかと言えば男性名のイメージの方が強いいうことを知るが、「別に良いか。むしろもしブラジレイラに自己紹介することがあったら覚えてもらいやすいかも」と、よくわからない前向きさを発揮した紗杜は、そのままジルという名を使い続けている。
「んー、出たいんだけどねぇ。今回は企画運営に回った方が良いかなぁと思ってるから、演者としては出ない方向で考えてるよ」
スタッフも手弁当で市役所や商工会の人に手伝ってもらうような状況だ。
現場も数箇所で同時開催を考えている。
ゲストや店舗を巻き込み、チーム内だけでは完結しない状況となる。
管理者として、情報や状況を随時集約し、適時対応できる態勢をとっておいた方が良いだろうと紗杜は考えていた。
『了解。じゃあ、詳細はメッセージしとく。『Tempo de Ouro』で話した内容や、スタッフの手配状況も報告するから』
「うん、こっちも控室の詳細情報送っとくね。それじゃ、また!」
電動キックボードのポートに着いた紗杜は、慣れた様子でアプリを操作し、市専用のオリジナルのカラーリングが施された電動キックボードを起動させた。
市とシェアリングサービスを手掛ける国内では大手の会社が提携し、市の主要エリアや拠点を電動キックボードで網羅する計画があり、ポートは随時増えていた。
0
あなたにおすすめの小説
スルドの声(反響) segunda rezar
桜のはなびら
キャラ文芸
恵まれた能力と資質をフル活用し、望まれた在り方を、望むように実現してきた彼女。
長子としての在り方を求められれば、理想の姉として振る舞った。
客観的な評価は充分。
しかし彼女自身がまだ満足していなかった。
周囲の望み以上に、妹を守りたいと望む彼女。彼女にとって、理想の姉とはそういう者であった。
理想の姉が守るべき妹が、ある日スルドと出会う。
姉として、見過ごすことなどできようもなかった。
※当作品は単体でも成立するように書いていますが、スルドの声(交響) primeira desejo の裏としての性質を持っています。
各話のタイトルに(LINK:primeira desejo〇〇)とあるものは、スルドの声(交響) primeira desejoの○○話とリンクしています。
表紙はaiで作成しています
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem
桜のはなびら
現代文学
何かを諦めて。
代わりに得たもの。
色部誉にとってそれは、『サンバ』という音楽で使用する打楽器、『スルド』だった。
大学進学を機に入ったサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』で、入会早々に大きな企画を成功させた誉。
かつて、心血を注ぎ、寝食を忘れて取り組んでいたバレエの世界では、一度たりとも届くことのなかった栄光。
どれだけの人に支えられていても。
コンクールの舞台上ではひとり。
ひとりで戦い、他者を押し退け、限られた席に座る。
そのような世界には適性のなかった誉は、サンバの世界で知ることになる。
誉は多くの人に支えられていることを。
多くの人が、誉のやろうとしている企画を助けに来てくれた。
成功を収めた企画の発起人という栄誉を手に入れた誉。
誉の周りには、新たに人が集まってくる。
それは、誉の世界を広げるはずだ。
広がる世界が、良いか悪いかはともかくとして。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる