兄様達の愛が止まりません!

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悪役令嬢回避

妖精のイタズラ…その家族は

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そして、大きな元気な声が聞こえて来たんだ。
待望のわが子の誕生日。そして、この子達の弟か妹の誕生だ。
我が家の新しい家族の一員。

彼女のお腹の中にいる時から声をかけたりしていた。
私も勿論、子供達がだ。
特に下の二人が嬉しそうに微笑んでだ。

だから、絶対にこの幸せをなくすわけには行かないんだ。

エルとレインが言うには、妖精達が母親の方をみんなが集中している時にそれは起こるらしい。

出産後の女性に対して、どうしてもしなければらならい事がある。
産まれたばかりの子は、産湯に浸かり綺麗にしてもらった後、準備された産着に着替え、我が家では唐のカゴで作られた小さなベッドにいったん寝かせるのだ。
側で寝ているから、何が起こっても直ぐに対処できるからと、母親の方に どうしても皆んなの目がいってしまう。

その時、普通は目に見えない妖精達がやってきて、我が子を取り囲み連れ去るのだ。
連れ攫われた後に、母親に赤子を見せよう。抱かせようと侍従が来る事で、居なくなったことが発覚。屋敷の者もそうだが、母親である妻が悲しみに哀しみに伏せるんだ。
結局どうすることもできず、子供は死産と神殿に届ける事で、国にも執着される。
妻は、悲しみにより体調を崩して帰らぬ人に…。

それがあの子達が話してくれた我が家の悲劇だ。

それを回避できる可能性が、あの時起こった。
あの子達が知らない事でもあったらしい。
湖での『妖精のイタズラ未遂事件』。
あの事で、息子のエルの魔力操作でこれから後の事も阻止できる可能性があるんだ。
ただ、障害があり、産まれたばかりの赤子の側に直ぐには行けないと言う事。

出産時、産まれた後にある程度落ち着く。そう、母親の準備が整ってからやっと入室許可が降りるんだ。それまでは別室で待機。
エルの魔力操作が、別室、そう、見えない場所で遠隔操作が出来るかどうかがネックなんだ。
それを、友人や私達で相談し、妖精や精霊からの知恵ももらって、これから決行する…。

エルは既に準備完了で、魔力を行使し出した。
レインは、アシストとして魔法陣に魔力を注ぎ込むのに集中したんだ。
レインが行うのは、魔力感知で、向こうの部屋に現れる妖精の位置を感知・把握してに伝える事。

魔法陣はレインが持つ感知能力の補助的役割で、安定して感知できるように描かれている。
これはギルとアシュ、友人との協議及び妖精の知恵だ。

レインとエルは双子の兄妹であるから、レインが感知したものはエルに素直に伝わるんだ。
ギルはレインの側で魔力切れを起こさない様に。いざという時はいつもの様に譲渡できる様に。そして、レインとエルに危害が及ばないように魔力展開中だ。アシュは、エルの魔力切れが起きないように、後、妖精達からの妨害か、その他の事態でエルが傷つく事がないようにだ。

私は妻の事が心配しすぎて、こういう時には役に立たない。二人の子供の時、側で見てきたレイはその事をよく理解している。我が家の男性は、特定に決めてしまった者に対しての執着が強いため、出産時などは直ぐにでも妻のもとに行きたくて仕方がないんだ。変われるものなら代わってやりたい…そんな気持ちが、どうしても強く出る。だから役に立たないんだ…。幼馴染の友人であり、私の護衛兼執事。我が家の家令でもあるレイから先に子供達にそう言われてしまい、長男は次男が生まれた時は…幼かったから覚えていないと思うのだが…。
私も最初から「ごめんね。」と謝っておいたんだ。

物理的援助等…そう、必要な物を集めるとか、友人達に頭を下げて願うなどはしっかり行った。必要経費などは、レイに直ぐ出せるようにと言ってだ。レイは不測の事態の指示役と私の監視だ。

出産に直接携わらない侍従や侍女達は、いざという時に直ぐ動けるように待機中。直ぐにレイの指示を受けれるようにだ。エル達が魔力切れで倒れてしまった時に、ポーションをその場で直ぐに飲ませたり、ソファーで休ませるか隣の部屋または子供達の部屋へ運んだり。治癒魔法とか色々仕事ができてくるからな。
やらなければいけない事の可能性は沢山あるんだ。

「エル!!」
「あぁ、いくよ!!」

ついに始まった。
レインの魔力感知で、向こうの動きが見えているようだ。妖精の姿や動きもだ。
ドアの側でいる私でも、妖精や精霊からの祝福で得られた能力で…確かに二十人ぐらいの小さな姿が飛び回り出したのを確認した。

妻は現在奥で世話をされているのだろう。そこまではわからない。だから、多分だ。
生まれて来た我が子は、手足を動かしながらも身体を綺麗に洗われて、準備された産着に着替えさせてもらっているみたいだ。そこはなんとか感知できる範囲内だった。
そして、少し離れた場所の赤子用の籠にそっと寝かされて…

わらわらと妖精達がその子に近づいてくるが、その部屋に居る大人達には…やはり見えていない。

一人の妖精が我が子の寝ている籠に触れそうになる瞬間、それは起こった。

そう、エルの魔力操作で伸ばされた蔓が一気に伸びて、どんどんと飛び交う妖精をあの時のように、ぐるぐる巻きにして捕らえていく。

それでも抵抗して赤子に手を出そうとした者は…

赤子の産着やシーツなどに施された防御魔法が発動して弾かれ、さらにエルの魔力で伸ばされた蔓が、あの枝を赤子の側に置いたんだ。怪我などしない様な場所に。その枝の、そう花からだ。光の胞子が出て、飛び交う様に広がりやがて赤子を包み込み、蔓が鳥籠の様に赤子の籠ごと包み込んだんだ。

そんな摩訶不思議な事が展開されている事に、妻の世話をしている者達はも気付きながらも、着々と作業を進める様に世話を終えて…

「お待たせ致しました。」

妻の部屋へのドアが開いた途端、私は妻の方に方に走ってしまった。
レイは赤子の方に急いで行く。
勿論子供達も急いで赤ちゃんの方に向かった。

「母様の事は父様に最初にお任せします!」とも言われていたからね。

我が子がいる方をチラッと見ると、やはり大勢の妖精達がエルの蔓にぐるぐる巻きにされて、捕まっていたのが見えたよ。あの時、このような事になってたんだね。

子供達の方に魔力感知で確認しながらも、妻の顔を見て、ついつい抱きしめてキスを贈ってしまう。
お疲れ様と、子供達が頑張ってくれたよって…。
妻も事情は話してあるから、嬉しそうに泣きながら微笑んでいた。
その姿は、私にとって美しいと思うし、愛しい気持ちが止められなくなる…。

「結構多いね…。」
「そうだね。こっちも大丈夫そうだ。エル、この子を私が抱いても大丈夫か?」

ギル達の声が聞こえてくる。
妖精から聞いていたのは、家族が赤子を抱きしめて庇う様にその姿を見せれば、それでもう妖精側の失敗した事になるらしい。こちら側の勝利だ。

「うん、ギル兄様お願いします。」

誰が抱き上げるのかは、子供達で話し合っていた。
結果、アシュを抱いた経験のあるギルが抱き上げる事になっていたんだ。

ギルが赤子の籠の側に立ち、そっと手を伸ばすと鳥籠の様に赤子を守っていた蔓は解けていく。そして、枝から出ていたと思われる光も収まっていった。
なんと言う緻密な魔力操作だと思う。
赤子が怪我しないように。そして抱き上げるものの手を邪魔しないように動かすなんて…その後、元の状態にまで戻していたんだ。枝からの光が消えたのは、赤子への祝福としてだろうと思われた。

ギルがそっと抱き上げると、可愛らしく手足を伸ばして…
あぁ、ギルの顔がホッとしているのと、新たな家族の歓迎で嬉しそうだ。
蔓に巻かれた妖精達は、ものすごくがっかりして項垂れていた。

「もう大丈夫ですよ。」

いつの間に現れたのか、エルの契約した精霊が現れて、エルにそう伝えている。
エルもホッとしたのか拘束した蔓を解除していた。

「さぁ、お前達は向こうにお帰り。今後はこの子に対してしっかりと助力し、守り護るんですよ。」
「「「「「「は~い。」」」」」」
「残念だけど、仕方ないね。」
「ずっと一緒にいたかったけど、仕方ないね。」
「僕はこの子の側にいて良い?怪我しない様に見守りたいんだ。」
「私も~。」

他にも手を挙げていたが、「まだ赤子であるから、代表で二人まで!」と言い聞かされていた。
で、最初に手を挙げた二人が側にいる事に決まり、他の妖精達は自分たちの世界に戻る様に消えていった。

赤い服を着た子と、青色の服を着た子。
名前は赤子と正式契約出来ていないから、教えてはもらえないらしい。服の色で呼ぶ事にしたようだ。
「赤い服の子」「青い服の子」って感じか…。
二人は赤子の額にキスを贈り、仮契約した様だった。
嬉しそうに赤ちゃんの側を飛び回っていた。

「これでもう大丈夫ですよ。それでは私は温室の方に戻ります。」

そう言うと、す~っと姿が消えたんだ。
赤子の側には二人の妖精が微笑んでいる。特に何かをする事もなく、その様子を見るのが嬉しい様だ。

「これで、とりあえずの脅威は去ったので良いんですよね。」
「そうだな…。」

そこで私は子供達の方への感知を切った。
あぁ、本当に良かった。
妻に、そっと今こんな感じだよと伝え、更に喜んでいたんだ。
私たちの子供はなんて素晴らしいんだ。
そして生まれてきた子は、こんな素晴らしい兄や姉に歓迎されて、幸せにならないはずがないとも思った。

「皆様、お母様の所に、もういっても大丈夫ですよ。このお子様もお母様に会いにいきましょうね。」
「なら、私がまた抱いて行きます。」

ギルがもう一度抱き上げて、私達がいる所までやって来た。
他の子供達もだ。

ギルから我が家の新しい一員。我が子を受け取り、嬉しくてしかたない。そっと妻に赤子を見せて、考えていたこの子の名を告げようと思ったんだ。
妻は疲れた表情だったが、嬉しそうに我が子の頬を撫でていた。
子供の名前は親からの最初のプレゼントだ。
この子がこれからの人生で幸せに、多くの人と接して幸福に過ごせるようにと願うもの…。

「この子は男の子だそうだ。なら名前は… アルベルト…。そう、アルベルト・ダルク・フィンレイだ。」
「アルベルト…ならアルかしら?」
「アルベルト…。ようこそ我が家へ。私はギルベルト。ギル兄様だよ。」
「アルベルト…。ようこそ我が家へ。僕はアシュレイ。アシュ兄様だよ。」
「えっと、アルベルト…。ようこそ我が家へ。僕はエドワルド。エル兄様だよ。兄弟だから、エルって呼んでもらうので良いんですよね?」
「アルベルト…。ようこそ我が家へ。私はレイチェル。レイン姉様よ。ふふっ、私も姉様って呼ばれるのね。嬉しい。」

母親と同じ白金のふわふわした髪の我が子。アルベルトがちょっとびっくりしたのか瞳を大きく開けたんだ。その瞳の色は私と同じ蒼い瞳。

あぁ、よかった。これでエル達が嘆いた憂いの一つ、悲劇は回避できた。
アルベルトは私達家族と共に大きく育っていくだろうし、妻も悲しみで体調を壊すこともない。失う事もないんだ…。
本当に良かった…。

そこで、エルとレインの身体から一気に力が抜けるようにして、倒れ込む。
慌ててギルとアシュがそれぞれに手を伸ばして抱きしめていた。
妻は一瞬驚いていたが、多分緊張と疲労だろう。

「大丈夫だ。疲れが出ただけだろう。すぐに医師に見せるから。レイ、二人を部屋に。そして医師の方は、それぞれの診察をお願いしたい。」

レイの指示で屋敷の者は心得たと動き出す。
息子達は二人を抱きしめたまま寝室に連れて行った。

「予定通り。良かった。」

そう言って、もう一度妻を抱きしめたんだ。
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