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悪役令嬢回避
悪役令嬢回避です。
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そう、その日はとても心地よい天気だった。
兄様達は第二皇子殿下のお茶会に参加が決まっていたんだ。まさかその日にかぶさるように、第三皇子殿下のお茶会が催される事になるとは思わなかったらしい。
お城からのお使いで、参加のお誘いが届いたんだ。
単なる貴族の催しだったらお断り可能であったが、皇族からのお誘いは、余程のことがない限り辞退不可能だ。
兄様達は、自分達が参加するお茶会を辞退して、私達について行きたいと話していたが、それが叶うわけが無かった。
今回の第三皇子のお茶会。第三皇子の友人を作る意味と、もう一つ別の意味があったんだ。
友人は後に学園でのご学友として、皇子と共に学園で学び、貴族として成長して行く。卒業後は皇子の側近となる予定者という事。
皇位継承権第三位。現在皇太子殿下として第一皇子が即位されているから、余程のことがなければ、後々は、皇王になる兄君を支える臣下の一人となる。が、その職務は多忙極まりなく、側近も多岐にわたっての公務の手伝いがあるんだとか。
その為に、同年代の男子が集められているのと、第三皇子の婚約者選びとして女子も集められていたんだ。
この世界では、男女関係なく婚姻は可能。ただし、異性間の方が妊娠出産に関して同姓同士よりも良い結果が得られやすいんだ。特に、男性が妊娠した場合は、出産時、女性が出産する時に比べてやや大変らしい。
よって、男女どちらが婚約者になっても構わないと言う理由もあって集められる事になったんだ。
第三皇子が気に入らなければ、いくら周りの大人がお膳立てしてもうまくはいかない。
だから、とりあえず、よく似た年代を数回に渡り集めての、大掛かりなお茶会となったんだとか。で、今回は僕とレインに招待状が届いたんだとか…。
兄様達は既に第二皇子の友人。側近候補となっていた。
学園卒業後そのまま側近として務めるかは別だけれど…だから、今はまだ候補なんだ。
すでに、第一皇子である皇太子殿下が学園に入学された時、学園内散策に招待されたらしいんだ。第二皇子殿下と共に。
まぁ、ゲームでは側近だったみたいなのよね。エル兄様が前世のお話をしてくれた時にそう明かしてくれたんだ。明かてくれたのは全てではないだろう。まだ隠していることが多いと思う。あえては聞かないけれど…。
双子の能力でまたリンクして知るかもしれないし、時属性で未来を見るかも知れないし…。
第二皇子の側近。ギル兄様が確か筆頭だった。ギル兄様が一番年上の側近だったんだ。エルの話してくれたゲームでは…。アシュ兄様と第二皇子は同じ年代だったから。
父様は、なんとも言えないお顔で、城の使いの者に参加をお伝えしていた。
母様は、私達がその場で浮かないように、そして、よく似合う衣装をと、張り切って準備してくださったんだ。
「男の子は着せごたえがないのよね。やっぱり女の子。ふふふっ、可愛い。もちろんエルも可愛いけれどね。ギルとアシュがヤキモチ妬いてしまうわね。」って言っていた。
なんで妬いてしまうのかは私にもエル兄様にも理解はできなかったけれどもね…。
そうそう、この国は、王の子として第一皇子、第二皇子、第一皇女、第二皇女、第三皇子の五人のお子様がいるんだそうだ。ちなみに、第一皇女と第二皇女は双子だそうです。
この辺りはお茶会参加が決まって直ぐに、家庭教師の先生に教わったの。
この国の結婚事情は母様にね。
同性婚が可能ときいて、私はそうなんだ~って思ったんだけど、エル兄様はかなり驚いていたんだ。BLがどうのとか呟くように言っていたけれど、そこはよくわからなかったんだ。
屋敷の侍女や侍従達の中でも、同性婚の人はいるらしいけれど、それらしいそぶりはないし、私たちの亡くなった両親も、この屋敷の養父母も異性婚だものね。ちょっとピンと来なかったのもあるんだ。
で、話はその当日なる…。
母様が準備してくれたドレスは、金色と紅色の刺繍がされた緑色のドレスだった。派手にならないように薄いレース生地で、下の生地が透かして見える感じだったんだ。エル兄様は、紺色の上下で、私のドレスと同じ緑色のベスト。紺色のジャケットには白金の刺繍がされていたんだ。中に着るベストだから、緑でも派手には見られないし、色味もそんなに濃い色じゃないしね。真新しい服装と装いに、私はギル兄様とアシュ兄様から髪留めをいただいて、エル兄様はジャケットの飾りとしてにピンブローチを頂いたんだ。それをそれぞれつけての参加だ。貴族の子供であるから、少しは宝飾品を身につけた方がいいのだとか。あくまで少しね。
兄様達はいつも通り馬車で先に行かれるのかと思ったんだけど、会場が同じお城だからと、一緒の馬車に乗られて行く事になったんだ。会場まで結局着いて来てくれて、その後別れたの。
会場内は綺麗な花々が飾られて、庭園でのガーデ・パーティーのようだった。
本来なら主催者にご挨拶が必要なんだけど、皇族主催であるから、今回は必要ないよと、父様と母様が教えてくれた。兄様達も、無理に挨拶に行く必要性はないと言われたんだ。
あの噴水が見える場所で、立食形式。
既に何人かが集まって話などをしていたんだ。
私達が兄様達に連れて来た時は、数人が兄様達に見惚れていたように感じる。
兄様達は素敵だもの。それにまだ婚約者もいない。
貴族は早くから婚約する事も多いと言っていた。
政略結婚だったかしら?お家同士の繋がり目的で。でも、父様は、そんなこと気にしなくて良いと言っていたし、兄様達は、無理に多くの者と話さなくても良い。お菓子とか美味しい物が沢山あるから楽しんでおいでと言っていた。
それに、私とエル兄様にはどうしても…。
そう、屋敷内では大丈夫だけれど、やはり別の場所での見知らぬ人達は苦手だったんだ。
だから、出来るだけ端の方でお庭の景色と、お菓子を堪能させてもらっていたんだ。
すると、向こうのほうから数人の集団が…。
「あれは確か…。」
「どうしたの?」
「あぁ、あの中心にいる人物は多分皇族だ。第三皇子だと思う。もしこられたら、習った挨拶をしないといけないね。」
そう教えてくれたんだ。
エル兄様の過去の知識だろう。
着いて来た精霊達は、少し離れた所にいたんだ。
この庭を気に入ったのかも知れないけれど。
多くの花々が咲いているからね。向こうのほうには木も植えられているし…。
「やぁ、こんにちは。僕のお茶会に参加してくれてありがとう。確か君達は…。」
「この度は、このような席にお招きいただき、ありがとうございます。私はエドワルド・フィンレイ。横にいるのは妹の。」
「初めてお目にかかります。レイチェル・フィンレイと申します。」
「あぁ、やっぱり、兄上の側近の、ギルベルトとアシュレイの弟君と妹君か。確かこの前弟君が産まれたそうだね。おめでとう。僕もギルベルトやアシュレイに遊んでもらったことがあるんだ。兄君を介してだけど。君達とも仲良くなれるといいと思っているよ。この後も楽しんでほしい。じゃぁ。」
「「はい、ありがとうございます。」」
私達は、当たり障りのない挨拶を交わして、皇子に頭を下げて見送る形になった。
「これで、とりあえずの挨拶は良いのよね?」
「あぁ、多分。」
ちょっとホッとして、喉が渇いたのに気がついた。
それほど緊張していたんだ。
「喉乾いた?何かもらってくるね。」
エル兄様が少し離れた場所にいた給餌係に飲み物をお願いして…。
「少しよろしくて?」
金色の髪に蒼瞳の少女を中心に、数人の少女に囲まれたんだ。
「えっと、何か?」
「私は、エリザベート・ルイ・カルストロフト。カルストロフト公爵家の者よ。あなた、確かフィンレイ侯爵家と名乗っていたみたいですが、実際は養子ですよね。確か…」
「エリザベート様、確か今は廃墟となったアルガスト伯爵家ですわ。」
「そうそう、あなたのお父様って、確か何処の者かもわからない者だったとか。フィンレイ侯爵家に養子となって、図々しくもアルガスト伯爵家に婿養子として入り込んだとか。その結果がお亡くなりになるような事に。おかげであの綺麗だったアルガスト伯爵領も無惨な姿になって、今では魔獣が闊歩しているとか。よくもそのような者の血をお引になった者がここに来られていますね。恥ずかしくはないのかしら。」
「そうそう、あの第二皇子の側近であるお二人の、貴重なお時間をあなた方兄妹が奪っているらしいですわね。第二皇子もお可哀想に…。それに、ギルベルト様とアシュレイ様も、お優しいから何も言われないでしょうが、このような下賎な者をご家族に入れられて、本当にお可哀想。」
「私、ギルベルト様に婚約の打診をしていますのよ。いわば婚約者候補です。ですので、彼の方にご迷惑をかけている存在を許せませんの。」
「あら、私の従姉妹もアシュレイ様の婚約者候補と言っても良いのですよ。ですからね…」
「失礼します。僕の妹が何か?少し体調を崩していて、これから別室に休もうと思っていたんですが、僕が要件を伺いますが?」
そう言って、エル兄様が私を背後に隠してくれたんだ。そして、側にいた城の侍女に私を託してくれたんだ。
「お嬢様、お部屋までご案内いたします。こちらに…」
エル兄様は、大丈夫だから、侍女達の所に先に行っていてと、私に耳打ちしてくれたんだ。侍女に連れられて、我が家の侍女達が待つ部屋につくと、私はふっと力が抜けてしまったんだ。
側で心配そうにしている精霊は、気になる嫌な存在に気がついて、側から離れてしまっていたらしい。
ごめんなさいと言われて、癒しの力を施してくれたんだ。
少しだけ気が楽になった。
しばらくして、エル兄様が来られて、「もう帰っても良い事になったよ。」って言ってくれた。
その時は、特に気にしなかったけれど、あれは、まだ解散にはなっていなかったと思うのだけど、帰っても良い事態になったという事?
兄様は、侍女や侍従達に父上達に報告しないように先に約束させていた。
自分達が言う事であるからと。
兄様の背後に精霊が、あえて姿を見せていたみたいで、皆んな素直に頷いていたみたいだったんだけれど、私は兄様がそんな口止めをしていたなんて…その時は知らなかったんだ。後で馬車の中で教えてはもらったんだけど。
エル兄様が遮音などの結界を張ってね。
で、父様やギル兄様達にも言わない事にしたんだ。会場側からも、言う事はないだろうからって…。
一体あの後何があったのかは分からないけれど。
エル兄様は、そこまでは詳しくは教えてくれなかったんだ。
その後、兄様と口裏を合わせて、ほんの少しだけ本当のことをお話しして、後は隠す事にしたんだ。
あの時令嬢達に言われた事に対して、怒りよりも怖かったんだ。
あの屋敷でいた時の、あの男の罵倒と重なる言葉が多かったんだ。
しかも、魔力で威圧も使って来ていた。あの男と同じ…。
馬車の中で、精霊が心配そうにしてくれたのと、エル兄様が、抱きしめてくれていた事で、少し、いゃ大分と落ち着いたんだ。屋敷に戻り、母様には少し疲れたので休みますとお伝えした。エレインは何かを察したのか、私の側にいてくれて、いつも以上にお世話をしてくれたんだ。
エレインは、あえて私やエル兄様から事情を聞く事はしなかった。私達が言い出すのを待っていたのかも知れない。
翌日、私は体調を崩してしまい、早く帰って来たのは正解ねって母様に言われたし、父様やギル兄様達にも言われて心配もされたんだ。
エルがこそっとやって来て、「大丈夫?」って言ってくれた。「あの場の事は忘れた方がいいかも知れないね。」とも。あまり揉めると、家族に迷惑をかけてしまうという意見に賛成したんだ。後、できたら早めに学園に入って、この屋敷から出ていく事も考えようって。言い出したのは私だけど…。
時々二人で相談していたんだ。
妖精には、兄様達にバレないように、エル兄様が口止めして…。
結局、今この場でギル兄様にお話しする事になってしまったんだけど…。
「やっぱり、私も無理に行くべきだった。」
ギル兄様はそう呟いて、私をぎゅーっと抱きしめたんだ。
ふわふわとした蜂蜜色に近い金髪。瞳は淡い水色に近い青。
魔力属性 刻属性(過去・未来視) ・光・水の三属性。
主属性は刻だが、水と光属性で誤魔化している。
元アルガスト伯爵令嬢
実兄であるエドワルドとは双子の妹
兄と二人で叔父であるフィンレイ侯爵に助けられ、養女となる。
フィンレイ家長女。
⭐️エドワルド・フィンレイ(元 エドワルド・アルガスト)
兄様達は第二皇子殿下のお茶会に参加が決まっていたんだ。まさかその日にかぶさるように、第三皇子殿下のお茶会が催される事になるとは思わなかったらしい。
お城からのお使いで、参加のお誘いが届いたんだ。
単なる貴族の催しだったらお断り可能であったが、皇族からのお誘いは、余程のことがない限り辞退不可能だ。
兄様達は、自分達が参加するお茶会を辞退して、私達について行きたいと話していたが、それが叶うわけが無かった。
今回の第三皇子のお茶会。第三皇子の友人を作る意味と、もう一つ別の意味があったんだ。
友人は後に学園でのご学友として、皇子と共に学園で学び、貴族として成長して行く。卒業後は皇子の側近となる予定者という事。
皇位継承権第三位。現在皇太子殿下として第一皇子が即位されているから、余程のことがなければ、後々は、皇王になる兄君を支える臣下の一人となる。が、その職務は多忙極まりなく、側近も多岐にわたっての公務の手伝いがあるんだとか。
その為に、同年代の男子が集められているのと、第三皇子の婚約者選びとして女子も集められていたんだ。
この世界では、男女関係なく婚姻は可能。ただし、異性間の方が妊娠出産に関して同姓同士よりも良い結果が得られやすいんだ。特に、男性が妊娠した場合は、出産時、女性が出産する時に比べてやや大変らしい。
よって、男女どちらが婚約者になっても構わないと言う理由もあって集められる事になったんだ。
第三皇子が気に入らなければ、いくら周りの大人がお膳立てしてもうまくはいかない。
だから、とりあえず、よく似た年代を数回に渡り集めての、大掛かりなお茶会となったんだとか。で、今回は僕とレインに招待状が届いたんだとか…。
兄様達は既に第二皇子の友人。側近候補となっていた。
学園卒業後そのまま側近として務めるかは別だけれど…だから、今はまだ候補なんだ。
すでに、第一皇子である皇太子殿下が学園に入学された時、学園内散策に招待されたらしいんだ。第二皇子殿下と共に。
まぁ、ゲームでは側近だったみたいなのよね。エル兄様が前世のお話をしてくれた時にそう明かしてくれたんだ。明かてくれたのは全てではないだろう。まだ隠していることが多いと思う。あえては聞かないけれど…。
双子の能力でまたリンクして知るかもしれないし、時属性で未来を見るかも知れないし…。
第二皇子の側近。ギル兄様が確か筆頭だった。ギル兄様が一番年上の側近だったんだ。エルの話してくれたゲームでは…。アシュ兄様と第二皇子は同じ年代だったから。
父様は、なんとも言えないお顔で、城の使いの者に参加をお伝えしていた。
母様は、私達がその場で浮かないように、そして、よく似合う衣装をと、張り切って準備してくださったんだ。
「男の子は着せごたえがないのよね。やっぱり女の子。ふふふっ、可愛い。もちろんエルも可愛いけれどね。ギルとアシュがヤキモチ妬いてしまうわね。」って言っていた。
なんで妬いてしまうのかは私にもエル兄様にも理解はできなかったけれどもね…。
そうそう、この国は、王の子として第一皇子、第二皇子、第一皇女、第二皇女、第三皇子の五人のお子様がいるんだそうだ。ちなみに、第一皇女と第二皇女は双子だそうです。
この辺りはお茶会参加が決まって直ぐに、家庭教師の先生に教わったの。
この国の結婚事情は母様にね。
同性婚が可能ときいて、私はそうなんだ~って思ったんだけど、エル兄様はかなり驚いていたんだ。BLがどうのとか呟くように言っていたけれど、そこはよくわからなかったんだ。
屋敷の侍女や侍従達の中でも、同性婚の人はいるらしいけれど、それらしいそぶりはないし、私たちの亡くなった両親も、この屋敷の養父母も異性婚だものね。ちょっとピンと来なかったのもあるんだ。
で、話はその当日なる…。
母様が準備してくれたドレスは、金色と紅色の刺繍がされた緑色のドレスだった。派手にならないように薄いレース生地で、下の生地が透かして見える感じだったんだ。エル兄様は、紺色の上下で、私のドレスと同じ緑色のベスト。紺色のジャケットには白金の刺繍がされていたんだ。中に着るベストだから、緑でも派手には見られないし、色味もそんなに濃い色じゃないしね。真新しい服装と装いに、私はギル兄様とアシュ兄様から髪留めをいただいて、エル兄様はジャケットの飾りとしてにピンブローチを頂いたんだ。それをそれぞれつけての参加だ。貴族の子供であるから、少しは宝飾品を身につけた方がいいのだとか。あくまで少しね。
兄様達はいつも通り馬車で先に行かれるのかと思ったんだけど、会場が同じお城だからと、一緒の馬車に乗られて行く事になったんだ。会場まで結局着いて来てくれて、その後別れたの。
会場内は綺麗な花々が飾られて、庭園でのガーデ・パーティーのようだった。
本来なら主催者にご挨拶が必要なんだけど、皇族主催であるから、今回は必要ないよと、父様と母様が教えてくれた。兄様達も、無理に挨拶に行く必要性はないと言われたんだ。
あの噴水が見える場所で、立食形式。
既に何人かが集まって話などをしていたんだ。
私達が兄様達に連れて来た時は、数人が兄様達に見惚れていたように感じる。
兄様達は素敵だもの。それにまだ婚約者もいない。
貴族は早くから婚約する事も多いと言っていた。
政略結婚だったかしら?お家同士の繋がり目的で。でも、父様は、そんなこと気にしなくて良いと言っていたし、兄様達は、無理に多くの者と話さなくても良い。お菓子とか美味しい物が沢山あるから楽しんでおいでと言っていた。
それに、私とエル兄様にはどうしても…。
そう、屋敷内では大丈夫だけれど、やはり別の場所での見知らぬ人達は苦手だったんだ。
だから、出来るだけ端の方でお庭の景色と、お菓子を堪能させてもらっていたんだ。
すると、向こうのほうから数人の集団が…。
「あれは確か…。」
「どうしたの?」
「あぁ、あの中心にいる人物は多分皇族だ。第三皇子だと思う。もしこられたら、習った挨拶をしないといけないね。」
そう教えてくれたんだ。
エル兄様の過去の知識だろう。
着いて来た精霊達は、少し離れた所にいたんだ。
この庭を気に入ったのかも知れないけれど。
多くの花々が咲いているからね。向こうのほうには木も植えられているし…。
「やぁ、こんにちは。僕のお茶会に参加してくれてありがとう。確か君達は…。」
「この度は、このような席にお招きいただき、ありがとうございます。私はエドワルド・フィンレイ。横にいるのは妹の。」
「初めてお目にかかります。レイチェル・フィンレイと申します。」
「あぁ、やっぱり、兄上の側近の、ギルベルトとアシュレイの弟君と妹君か。確かこの前弟君が産まれたそうだね。おめでとう。僕もギルベルトやアシュレイに遊んでもらったことがあるんだ。兄君を介してだけど。君達とも仲良くなれるといいと思っているよ。この後も楽しんでほしい。じゃぁ。」
「「はい、ありがとうございます。」」
私達は、当たり障りのない挨拶を交わして、皇子に頭を下げて見送る形になった。
「これで、とりあえずの挨拶は良いのよね?」
「あぁ、多分。」
ちょっとホッとして、喉が渇いたのに気がついた。
それほど緊張していたんだ。
「喉乾いた?何かもらってくるね。」
エル兄様が少し離れた場所にいた給餌係に飲み物をお願いして…。
「少しよろしくて?」
金色の髪に蒼瞳の少女を中心に、数人の少女に囲まれたんだ。
「えっと、何か?」
「私は、エリザベート・ルイ・カルストロフト。カルストロフト公爵家の者よ。あなた、確かフィンレイ侯爵家と名乗っていたみたいですが、実際は養子ですよね。確か…」
「エリザベート様、確か今は廃墟となったアルガスト伯爵家ですわ。」
「そうそう、あなたのお父様って、確か何処の者かもわからない者だったとか。フィンレイ侯爵家に養子となって、図々しくもアルガスト伯爵家に婿養子として入り込んだとか。その結果がお亡くなりになるような事に。おかげであの綺麗だったアルガスト伯爵領も無惨な姿になって、今では魔獣が闊歩しているとか。よくもそのような者の血をお引になった者がここに来られていますね。恥ずかしくはないのかしら。」
「そうそう、あの第二皇子の側近であるお二人の、貴重なお時間をあなた方兄妹が奪っているらしいですわね。第二皇子もお可哀想に…。それに、ギルベルト様とアシュレイ様も、お優しいから何も言われないでしょうが、このような下賎な者をご家族に入れられて、本当にお可哀想。」
「私、ギルベルト様に婚約の打診をしていますのよ。いわば婚約者候補です。ですので、彼の方にご迷惑をかけている存在を許せませんの。」
「あら、私の従姉妹もアシュレイ様の婚約者候補と言っても良いのですよ。ですからね…」
「失礼します。僕の妹が何か?少し体調を崩していて、これから別室に休もうと思っていたんですが、僕が要件を伺いますが?」
そう言って、エル兄様が私を背後に隠してくれたんだ。そして、側にいた城の侍女に私を託してくれたんだ。
「お嬢様、お部屋までご案内いたします。こちらに…」
エル兄様は、大丈夫だから、侍女達の所に先に行っていてと、私に耳打ちしてくれたんだ。侍女に連れられて、我が家の侍女達が待つ部屋につくと、私はふっと力が抜けてしまったんだ。
側で心配そうにしている精霊は、気になる嫌な存在に気がついて、側から離れてしまっていたらしい。
ごめんなさいと言われて、癒しの力を施してくれたんだ。
少しだけ気が楽になった。
しばらくして、エル兄様が来られて、「もう帰っても良い事になったよ。」って言ってくれた。
その時は、特に気にしなかったけれど、あれは、まだ解散にはなっていなかったと思うのだけど、帰っても良い事態になったという事?
兄様は、侍女や侍従達に父上達に報告しないように先に約束させていた。
自分達が言う事であるからと。
兄様の背後に精霊が、あえて姿を見せていたみたいで、皆んな素直に頷いていたみたいだったんだけれど、私は兄様がそんな口止めをしていたなんて…その時は知らなかったんだ。後で馬車の中で教えてはもらったんだけど。
エル兄様が遮音などの結界を張ってね。
で、父様やギル兄様達にも言わない事にしたんだ。会場側からも、言う事はないだろうからって…。
一体あの後何があったのかは分からないけれど。
エル兄様は、そこまでは詳しくは教えてくれなかったんだ。
その後、兄様と口裏を合わせて、ほんの少しだけ本当のことをお話しして、後は隠す事にしたんだ。
あの時令嬢達に言われた事に対して、怒りよりも怖かったんだ。
あの屋敷でいた時の、あの男の罵倒と重なる言葉が多かったんだ。
しかも、魔力で威圧も使って来ていた。あの男と同じ…。
馬車の中で、精霊が心配そうにしてくれたのと、エル兄様が、抱きしめてくれていた事で、少し、いゃ大分と落ち着いたんだ。屋敷に戻り、母様には少し疲れたので休みますとお伝えした。エレインは何かを察したのか、私の側にいてくれて、いつも以上にお世話をしてくれたんだ。
エレインは、あえて私やエル兄様から事情を聞く事はしなかった。私達が言い出すのを待っていたのかも知れない。
翌日、私は体調を崩してしまい、早く帰って来たのは正解ねって母様に言われたし、父様やギル兄様達にも言われて心配もされたんだ。
エルがこそっとやって来て、「大丈夫?」って言ってくれた。「あの場の事は忘れた方がいいかも知れないね。」とも。あまり揉めると、家族に迷惑をかけてしまうという意見に賛成したんだ。後、できたら早めに学園に入って、この屋敷から出ていく事も考えようって。言い出したのは私だけど…。
時々二人で相談していたんだ。
妖精には、兄様達にバレないように、エル兄様が口止めして…。
結局、今この場でギル兄様にお話しする事になってしまったんだけど…。
「やっぱり、私も無理に行くべきだった。」
ギル兄様はそう呟いて、私をぎゅーっと抱きしめたんだ。
ふわふわとした蜂蜜色に近い金髪。瞳は淡い水色に近い青。
魔力属性 刻属性(過去・未来視) ・光・水の三属性。
主属性は刻だが、水と光属性で誤魔化している。
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