兄様達の愛が止まりません!

文字の大きさ
131 / 250
青銅の鏡

家令の呟き

しおりを挟む
俺ことレイモンド・グレニクスは、主人であるグレゴリー…そうグレンと現在酒を交わしていた。

祝いと言って主人であるグレンが出してくれた秘蔵酒だ。
グレンが好む特別な酒で、特別な日に飲むと決めているようだった。
グレン自ら買い求めるからな。俺は家令でもあり、グレンの専属執事兼護衛だ。兼業しすぎてのようにも思われるが、俺にとっての唯一の主人だからな。余程の事態でなければ他の者には任したくないんだ。
それに、フィンレイ侯爵家には秘密が多く存在しているからな…。

グレンとは幼少時代からの付き合いで、俺の方が一つ年上だ。

俺の一族は、代々フィンレイ侯爵家に仕えていた。
屋敷に侍従や侍女、執事として勤め、家令にまで上り詰めて、主の為に汚れ仕事もこなしていた。
一族は特殊な能力を持つものが多く、身体能力も群を抜いていると思う。
実家の屋敷には特別な訓練場もあり、子供で幼いからと言う事は理由にならず、一般的な大人顔負けの訓練も平気で課せられるんだ。
一族の中には癒しの力を持つ者もるから、その者達が俺たちのような者に対して訓練中傷ついても癒してくれるから、その後直ぐに訓練に戻されて励むんだ。
一族ではそれが普通だったんだ。

最終試験と称して、切りだった崖に囲まれた特殊な場所に連れて行かれる。そこは魔物や魔獣が住む森で、受験者は一人で七日間、サバイバル生活を義務付けられる。
その間にどれだけ獲物を刈り取れるか、もしくはどんな行動が取れるかを判断されるんだ。無事に生還すれば合格。戻ってきた時、とった獲物は屋敷側で換金し、本人の希望する武器や防具、その他に変えるんだ。
一族と契約している店に行ってな。フィンレイ侯爵家から祝いとして多少の金が上乗せされるから、意外と好む物が手に入るんだ。
今後の任務に必要になるからな。それに試験の結果で仕事の割り振りも変わってくる。能力が劣る者に任せられない任務も存在するからな…。

試験中最悪の場合は緊急用の魔道具が作動して、屋敷の医療スタッフのいる部屋に送還されるから、命の危険性まではないが…その場合、再訓練を義務付けられて、最終試験を合格するまで訓練の毎日だ。
合格が最低ラインだから仕方ない。

たまに病弱な者も生まれてきたが、その場合は体力アップを義務付けられて、医療チームに入るか、頭脳を生かした策略の方に入るか…そう、文官として屋敷に仕えるように訓練された。あくまで特例としてだ。それだけ聞けばその者は爪弾きにされそうな感じだが、そんな事はない。ただ基本、一族の土地から出ていけないだけだ。時々フィンレイ侯爵家から頭脳かもしくは癒しを重視した者が必要とされた場合は、おさの采配で行く事もあるが、滅多に呼ばれる事はないがな…。

そうして三歳から訓練し、七歳までには一人前となるように訓練されるんだ。
平均して最終試験は六歳になるまでに一度受けるが、後は能力次第だ。

一族おさの息子である俺は、他の者達よりもさらに多くの訓練を課せられていた。
長の息子であるから、一族の者を率いるだけの能力と実力が求められるんだ。
俺の主人は俺より一つ年下であり、フィンレイ侯爵家の長男。次期当主だからだ。
その者を守り護る事を必然的に義務付けられるんだ。

彼が生まれた時に長である父に連れて行かれて、引き合わされた。
幼い俺であったが、この者は俺の命を賭けるべき存在だと認識したんだ。

我が一族の家系ではそう言う事が不思議と起こる。
魂の繋がりか何かがあるのだろう。

もし俺が認識しなかった場合、別の者が連れてこられて、引き合わせて確認されるだけ…
その場合は、俺は別の主人に使えるか、それとも実力を上げて単なる家令を目指すかだ。長がフィンレイ侯爵家の家令を務めるのが決まりだ。
もし主人が侯爵であれば、家令と執事兼護衛もかねる必要性がある。
能力的に厳しければ自分の補佐の者を指名してだが、主人を他の者に任せたいと思う者は基本存在しないから、自分を磨き上げるのみだ。
それ以上は一族の秘密であるから、極秘扱いであるが…。

俺は主人を認めて訓練を頑張り、主人のために技能を伸ばし、一族では最速で訓練は終了。
最終試験でも、多くの魔物や魔獣を討伐して終えたんだ…。

その後は、フィンレイ家で主人であるグレンの侍従として、そして執事、家令まで上り詰めた。
主人と学園に通い、彼の悪戯に振り回されたりもしたが、良い思い出だ。
主人よりグレンと呼ぶ事も許されている。
主人が許せば、その場はそのように呼んでもいいんだ。
心の中では大いに呼ぶがな…。

主人からは親友と言う栄光の座を頂いたし、兄として慕ってももらった。
そうなるように努力したのだから当然だ。

グレンが侯爵となると、俺も影の長となるべく父へ決闘を申し込んだ。
長の代替えは、決闘に勝たなければ一族は認めないし、ついてこないんだ。

フィンレイ家の家令は影の長も兼任するからな。
全ては主人のためだ。

大変だがやり甲斐があり、気がつけば周りの者は婚姻して次代も育っていた。

俺の場合は弟達もいるからな…。
屋敷の方を任せて、一族の育成や、補助をしてくれているんだ。
弟の一人は結婚して子供もいるから、いざとなればその子が継げばいいとも思っている。もう一人も確か婚約したとか…。

甥っ子達はそれなりの実力を持ち、実際屋敷に侍従としているしな…。

グレンの長男ギルベルト様に一人。アシュレイ様にも一人。
他の一族の者も一人づつ付いているから、お二人には影が二名付いている事になる。
その二人の内一人づつは、俺と同じように主人として支えるべく付いているんだがな…。

そんな中、衝撃的な事実が屋敷に情報として入ってきた。
前侯爵が養子としてこられ、グレンの義弟となった グランデュオ様の事だ。
幼くして屋敷に来た彼は努力家であり、魔法の研究が好きな方だった。
剣技は努力されていたが、もともと筋肉がつきにくい体質のようで、剣術を追求するのは無理だった。
努力はされていたけれど…。
長剣に振り回されてしまい、俺は双剣をお勧めしたんだ。
グレンが可愛がっており、剣術を一緒にとグレンから願われて行っていたから、当然グランデュオ様も一緒に訓練させるからな。
懐かしい思い出だ。

そんな彼の方も恋愛されて婚姻による養子縁組になられるから、屋敷から出られてグランデュオ・アルガスト伯爵としてアルガスト領で頑張っておられたんだ。
フィンレイ家で居られた時は一族の者も護衛対象としたが、屋敷から出られた場合、主従の契約をしていなければ護衛対象から外される…。 グランデュオ様はアルガスト領主となるべく婿養子として屋敷から出られたので…
当時の決定権は長である父だったからな…。

その結果が今回最悪の情報となったんだ。
グランデュオ様と彼の奥様が事故と称して暗殺されていたんだ。
しかも犯行に至った者はアルガスト伯爵家の遠縁の者であり、グランデュオ様の実力に嫉妬し、その妻に昔から恋慕していた者だったんだ。

暗殺計画で、雇い入れた者達に馬車の事故を起こさせたんだ。
グレンが結婚の祝いで準備し贈った魔道具で、一時は命が守られたが、その後は惨殺された。その妻も相手の男を拒絶したのか惨殺され、集団墓地に投げ捨てられるように埋葬されていたんだ。

遺体を見つけたのは、彼のお子様お二人を救出した後。
共同である集団墓地に奇跡的にお二人見つけることができ、フィンレイ侯爵領に連れ帰り埋葬した。向こうの土地は酷い有様であったから、埋葬はできないとグレンが判断したんだ。よって侯爵家墓地に眠られている…。

美しかったアルガスト領内は無惨な姿に変わり果て、魔獣や魔物が平然と歩き回る土地と化してしまった。
代理と称して入り込んだ遠縁の男は、アルガスト領を放置して逃げ出したんだ。しかもアルガスト伯爵の後継となられる御子息と御息女を放置してだ。
双子であるお子様お二人を逃さないように、特殊な結界が施された別邸に閉じ込めていたと言っていいだろう。その意思はない。守るためだだと言い逃れするかもしれないが…。だが、結果的にはその結界のおかげでその古めかしい建物は無事残されていたんだ。
そこにお二人がいた。そして唯一の大人でこの二人を世話していたメイド。こちらでは侍女と呼ぶが、その女性が守り通していたんだ。

救出されたお二人は年齢よりも幼く痩せ細り、身体に多くの傷も…守っていた女性も服装で誤魔化していたが、かなり痩せてしまっていた。
手の甲に傷痕が見えたしな…。
無事助けられお子様二人は、主人であるグレンが抱き上げて連れ帰り、気丈なこの女性は自分で歩くと頑張っていた。
主人が乗る馬車…停車してはいたが、馬車に寄ってきて助けを求めた時に少しだけ興味を持った。その者に魔力を感知したからその魔力に俺は興味を持った?と思う。
何故か気になったんだ。あえて態度には見せないが…。
その後、自身も助けられたが、幼い主人である二人の身体のことを心配して、まだ安心できていなかったのだろう。気丈に振る舞っていたんだ。
その姿に俺は惹かれた。
一目惚れだと言っても良い。
ふらつく彼女に手を差し出したが拒絶された。
それでもそっと手助けしたんだ。
付いて来た屋敷の者達。そう騎士達は家令としての対応だと思ったようだが、主人のグレンは「おや?」っと思ったらしい。後で追及されたがそこは上手くかわした。

彼女に触れた途端に、この女性の事を知り尽くしたいと思い、欲しいとも思った。
もちろんそんな欲目は隠したが…。
そして、密かに情報を得たんだ。特殊なものでね…。

俺もそれなりの年齢。健康な男であるから欲はある。
それなりに害がないように発散はしてきたが、この女性、エレイン・オズワルドは俺にとって特別な存在であり、彼女以外は欲しくないと思ったんだ。

助けられたエドワルド様とレイチェル様を神殿で治療するためお連れして、待ち受けておられたのは、屋敷から迎えにこられらた長男のギルベルト様と次男のアシュレイ様。助けだしたお二人を治療する際に、この二人が助けだしたお子様二人に執着を示されたんだ。
フィンレイ家男子の特徴とも言えるものだが…。
ギルベルト様はレイチェル様を。アシュレイ様はエドワルド様にだ。
そこから後はお二人が個々に正しくお二人共の側を離れず愛情を持って接して守り護られていたんだ。
俺は主人が望むように動いた。
このお二人は特別な存在で、俺自身もグレンの大切な者達にとしてお守りしようと決めたんだ。屋敷から出ることがあっても父のような判断はせず、その時も保護対象としていこうと…。

その後、色々な出来事や事件が数多く起こり、家令として動いたのと、影の者として動いたので大変だった。

グランデュオ様達を殺害し、お子様達を害した男は国外に逃亡したが、その男を望む男を知っており、今だに執着しているのを確認したから、その男に送りつける事にした。その男は例のその男から望まれる事を嫌っていたがな…。
望んでいる事を知って利用しようとしていたようだが…。
その男は、敢えて利用されて側にいたようだ。国が違うからな…国際的に問題があるし…。
その問題を解決してやりその男に渡せば、二度と外に出る事は叶わないだろう。
鎖に繋ぎ、日々身体を好き勝手されるんだ。
密かに色々と隠して集めていたようだしな…。

女性や他の者を己が欲望で汚す事がないように男性器官は除去し、受け入れ側になり続けるように要望してあっさり受理。
俺から望んだ男が命を落とした時に、一緒に絶命する術式も刻み込んで送ったんだ。贈ったと言っても良いだろう。

望む者はその国で上位の貴族であり、古き昔から影を持つ者である。
影同士の契約は絶対。
この密約的契約でその男は二度と日の目を見ずに囚われ続けていく。

これなら、主人の憂いがなくなったも同然だ…。
死を望むぐらいに、望む男が死ぬまで永遠に執着されて苦しめばいい…。
愛されるとも言うがな…。

一つ片付けばまた別の問題が。
ただ、エドワルド様とレイチェル様が中心に解決されていかれたんだ。
一族の者も必死で守り護るがそれ以上の出来事で、大変であるが面白い。

フィンレイ家の悲劇も回避されて、周りの者達から更に尊敬の念まで得だしていた。
屋敷に精霊王から送られた樹が植えられた時にはまた驚き、屋敷で泳いでいた者達を一掃した。影の者達でな…。
記憶だけで終わらせたり、場合においては…

その後も主人を守りながら、望みを叶えるべく動く。

そうしながらも、彼女の事は気にかけて、彼女に手を出そうとする者にも威圧や排除をしていたんだ。
屋敷の者だけならまだしも、彼女の魔力に興味を持つ者も現れて…
屋敷に密かに来ようものなら排除。貴族として権力を使おうとしようものなら、その者の全てを暴き出して、自ら退くようにも…。

そのおかげで、エドワルド様とレイチェル様にもちょっかいをかけようとした者も、しっかりと排除できたがな…。

エドワルド様は俺達の予測遥か上を行かれるので、守り護る側も必死だ。その遥か上の行動で、幻の一族と言われる獣人を二人も得る事ができた。もちろんその獣人の主人はエドワルド様とレイチェル様。
一族で預かり鍛え上げて送り出させてもらった。
獣人であるし、一族特有の能力も素晴らしいものであったから、少しは安心して任せられると思ったんだが…。
良い仕事をしていたようだがな…。

その後も、エドワルド様とレイチェル様の予測通り『聖女召喚の儀式』は執り行われ、調べでは現れたのは少女と女性。少女の方に皆が集中し、その女性の事はほとんど感知されていなかったらしい。一人を除いて…。
その一人が敢えてそうしていたのだろうと俺は思うが、主人のグレンと別の場所にいたからわからない。

その一人はグレンのご友人であり、グレンと共に幼い頃から悪戯ばかりしていた者の一人で、私がどれだけ振り回されたか…。
しっかりと注意して、反省までさせたんだが、興味が多すぎるし実力も経済力もある者達だからな…特殊な魔法を実行したり、冒険者の真似事でダンジョンに潜ると言い出した時には同行した。
学園高等部生の時、夜中魔法の花火を打ち上げた時には、大変だった。寮で生活していた学生は喜んでいたがな…。
一瞬襲撃者?と思われたんだ。警備が動き出したからな…
それも今ではいい思い出で…。

その幼馴染で親友。悪友達は今も俺の事を兄として慕う時もあるが…今では教皇の位に付き、召喚で現れた女性は、偶然か必然か…居なくなった教皇の妻だった。
その奥様の事は、昔ですが私もお守りするのに関わりましたが…その当時とほぼ変わらないお姿で驚いたんだ。
教皇としての権力と、家督も継いで侯爵の爵位をも持っていたからそれも行使。しっかり屋敷に囲って護る体制でいるから、また主人のグレンから命を受ければ…いやまた問題が起こっては大変だ。それなりの者を送り守り護るように指示を出しました。
侍女と侍従とで送りましたから、大丈夫でしょう。
時々俺自身の自我が出てしまう。家令として丁寧に考える反面元々の口調でも考えてしまうから…心の中なら許されるでしょう。外で口に出さなければ…
グレンが希望すればその口調で話すがな…
いかん、やっぱり心の中では出てしまう。
心許せる相手にはこの口調で接したいと思う。
仮面を被るのも疲れますから…。
どうもグレンと酒を飲めば口調がおかしくなるな…。
本人がこの時は友として話す事を望むからかもしれないが…。

エドワルド様とレイチェル様のおかげで、我が屋敷には秘密がいっぱいで、守る側は大変です。
そのうち屋敷の地下の牢がいっぱいになりそうです。
うん、この口調だ…。

そうそう、牢の当番は多くの侵入者が牢の方にやって来るから、かなり楽しんでいるようですがね…。
少し楽しみ過ぎのようですが…ほどほどにするように告げて、また様子を見に行きましょう。

流石に『青銅の鏡』を持ち込んできた国は厄介で、かなり危ない橋を渡りすぎのようです。
その辺りも調べ上げて、フィンレイ家に害がないように動いたのですが…
聖女の女生徒の扱いが酷すぎて、目にあてられないぐらいでしたよ。
我が国ではなく、周辺国がです。
それを防ぐ意味もあって、第二皇子や宰相のご子息も付いていると言うのに、残念ですよ。まだ高等部の一年生であるから仕方ないと考えられているかも知れませんが、そんな特殊任務に就くなら、それなりに経験が必要。国の方ももっと対応があると思うんですが、こちら側にやらせようとしてるんですかね。
主人のグレンは優秀で、交友関係の者も優秀な方々。声をかければ手助けをしてもらえますが、それが狙いならふざけていますね!

私の調べでは、どうも聖女の力は自分の中で浄化させて排出させるようです。しかし浄化できる量が決められているようで、それ以上のものであれば聖女の身体の中に淀みが溜まり始める。少しであれば神殿側で癒しで浄化できるだろうに、それをしていなかったようです。他国で行われてしまった事を我が国にどうにかしろとでも言うように放置とは…。

結果、聖女自身妄想癖があると情報を得ていましたが、エドワルド様とレイチェル様様の情報を俺は知っていたから、聖女がそのゲームと現実をごちゃ混ぜにしてしまったんだろうと理解した。第二皇子達が側に居たのだから、その辺りをきちんと教えて差し上げれば良いものを、中途半端にするから…
結果フィンレイ家に被害が及ぶ事になった。

我が主人グレンは侯爵家当主であり、フィンレイ領の領主であるが、国全体までどうにかしなくてはいけないのはおかしいのだがな。皇族は何をやっているのやら…。

その結果がこんな事件を引き起こされたんだ!
エドワルド様が聖女が持つ聖剣の双剣で刺されて魔力を奪われ、傷つき倒れたんだ。
レイチェル様にも聖女が精神支配をかけた形跡が見えた。

第二皇子やギルベルト様達のおかげで魔力暴走にまでは至らず、拘束して神殿の特殊な部屋にご案内となったようだが…。
精霊王が密かに怒り、皇族に圧をかけられたようだ。内容はわからないが、多分下手をすれば国を滅ぼすと言っているのだろう。
それこそ、エドワルド様の情報にある『終焉』ではないかと思った。
主人を王にして国を起こしても良いと本気で考えたんだ。

精霊王のおかげで、エドワルド様は御神木とも言える『枝垂れ桜』その樹に抱かれるように…そしてその樹を通して、精霊王の力など特殊な力で身体を癒されているのだろう。
聖剣は結構厄介な特徴があるからな…。

その聖剣も奪われて、どこにいったのか…。

エドワルド様の状態やレイチェル様の状態を見て、エレインの心が壊れかけた。
学園内であるから、彼女が護る事も守る事も難しく、彼女のせいではないが…。

悲しみが強すぎて、癒しを求めたのだろう。
俺と何度か会話をし、食事を共にできる事も増えていたからな…。
泣き崩れている彼女を慰めた。

俺が断れば別の者の所に行きそうだったから、それは俺が許せない。
よって、「無茶苦茶に壊れるようにして欲しい」と訴えてきたが、彼女は初めてのはずだ。それに、俺はそんなものを彼女に与えたくない。
しっかり時間をかけて蕩かせて、彼女の全てを貪った。
このまま子供ができれば良いのにと、強く願いもしながら…。

こんな時にと思うかもしれないが、俺も我慢の限界がきていたし、彼女が悲しみから逃れたいと選んだのなら、俺が捕えてもいいはずだ。

何度も絶頂を感じさせて、その姿を堪能しながら全てを注ぎ込んだ。

欲しかった女性。エレイン・オズワルドを我がものにし、散々翻弄した時に、密かに準備していた書類にサインもさせたんだ。
言うべき事はきちんと伝えたが…覚えているかは~どうだかな…。

彼女が意識を飛ばすように眠りについた時、帰ってくるまで寝ててもらう必要性があったから、特殊な香を焚いたんだ。一族に伝わっている物の一つであるが、身体には害は残らない。

さっと準備して神殿に書類を提出。これで婚約を飛び越えて婚姻。
相手が動けない場合、この書類にサインもしくは血判さえ本人と二人で書くか押すかすれば良いとされる特殊なもので、書き置きなどは禁じられているし、できない仕組みだ。

それを特殊な神殿にだけ置かれている魔道具に触れさせる事で…。
結婚の腕輪に嵌める魔石が出てきたんだ。
用紙に名前のサインや血判を押しこの魔道具に触れる事で、書かれた文字や血判からの魔力に反応して魔石に変わるんだ。
俺とエレインの魔力が込められた魔石。それを特殊な布で覆い渡された。

勿論魔石の色は相手の魔力属性でが違うのと、性別で形が変わる。力の多さで大きさも多少変わるから、どちらがどちらか、わかるようにもなっているんだ。
ありがたく受け取って、屋敷に戻り彼女の腕にある腕輪に彼女の魔石を近づけると、吸い込まれるように腕輪の中に嵌め込まれ、そこから一気に模様がついた。ついた途端に緩くなり俺は彼女の左腕からそっと抜き取った。俺のも同じようにして抜き取り、次に彼女の左腕に俺が外した腕輪を通した。俺の左腕に彼女の腕輪を通し、腕輪が通された左手どうしを合わせて指を絡めるようにして握りしめる。俺が彼女と一生を共にする事を祈りそっと耳元で彼女の名を呼んだ。そしてそのまま俺の名を告げて呼ぶように誘導。うまくいった。
腕輪に嵌め込まれたお互いの魔石が反応して…。婚姻の刻印とされる模様が魔石に刻まれるように現れたんだ。俺の魔力が嵌め込まれたものは、今後彼女を守る物になる。俺の魔力が…そう考えるとゾクゾクする…。
そして彼女のは今俺の腕に…。
彼女の魔力を腕輪を通して感じる。
心地よい…。
これでもう俺のものだ…。

彼女、エレインには以前から声をかけ、好意ももらっていたし、プロポーズもしていたんだ。
彼女は「幼い主人が幸せになってから」と言っていたが、もういいだろう?
エレインが悲しみで壊れるのは許せないからね。
例えエレイン本人でも俺が許せない…。

だからこそ、早急に行ったんだ。これで夫婦。
彼女の全てを俺が守る事ができる可能性が大いに上がったとも言えるんだ。

それに、俺にはわかる。彼女のお腹に俺の子供が…
だからもう逃してあげないし逃さない。
エレインの幼かった主人は、俺の主人の息子達の元に嫁ぐのであるから、今後も俺が守り護ることを手伝っていくから良いだろう。

そのまま俺の屋敷に閉じ込めて、家令として侍女の仕事は休みとしたんだ。
妊娠初期は気をつけないと。
夫としてしっかりとね…。

エドワルド様も今は目覚められて、聖女も元の世界に帰ったし…
少し厄介な国があるが…。
そう思って主人に支え、家令としての業務を遂行し…

妊娠一ヶ月。医師の確認もしっかり受けて、本人も納得して今はゆっくりとしてもらっている。
少しベッドで寝させてしまっているが、子供のことも考えて行っているからな…。

この世の中では、相手が女性の場合は大丈夫だとされているし…同性の場合は尚更なんだが…それはあくまで閨ごとだしな…。

さっき主人に報告したら、偶然にもギルベルト様とアシュレイ様から主人のグレンに面会要請が届いた。急ぎのようだったから、祝いはその後と話して…

待っていた二人からの情報は、やはりあの国の事か…。
しかも厄介事が多すぎる。
だが…主人の息子達が絡むなら、俺も動かないわけにはいかない。
妻との約束もある。

そうして話を終えて、私に対して祝ってくれているが…


「次々と起こるものだね…。」
「そうだな。だがやりがいはあるだろう?」
「子供達や妻との時間が減るのは辛いよ。それよりもレイ、お前の方はどうなんだ?息子達には見えないようにしているが、いつのまにそんな事になってるとはね…。」
「父親になるんだから、生まれてくる子供のためにも頑張るさ。」
「そうか、とりあえずおめでとう。飲むだろう?」

そう言ってとっておきの酒を奮発して開ける事にした。
俺がは長年彼女のことを見守ってきた事を主人であるグレンは知っていたから…。

相手の方も俺に対して気があると思っていたと言っていた。「なかなか色良い返事はなかったようだから心配していた」と…。
まぁ良い。

グラスに氷と琥珀色に酒を注いで…

「未来のために」
「子供達のために」

酔っているからか、ついつい追及されるように言われてしまうな…。

「それにしても、レイにしては少し強引に事を運んだな。」
「私以外の者の所に感情的に動かれるのは気に入りませんからね。彼女から既に許可をいただいていたのですから、緊急処置ですよ。結果的に子供も授かりましたからね。」
「まぁそうなんだがな…彼女の事は私も気になっていたからね。エルとレインが慕っている者だ。幸せになってもらいたいからね。もちろんレイもだよ。私にとってなくてはならない親友で、兄的存在であるからね。」


そう言って、空になったグラスにもう一度注ぎあう。
琥珀色の酒は芳醇な香りで、今後の幸せを予感できそうだ。
俺自身、全てを行使してもやり遂げようとさらに誓ったんだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

処理中です...