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青銅の鏡
もう一つの危機
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屋敷にいる最終日に父様に呼ばれて、私達は執務室の方に向かった。
ギルやアシュ兄様、エル兄様と一緒にね。
屋敷の一階から繋がる廊下を歩き、別棟のフィンレイ領の行政機関が詰まっていると言ってもいい建物の一階二階と階段を上っていく。領内に関して各部署の文官職や騎士達が忙しそうに仕事をしている中、邪魔しないように気をつけて、ゆっくりと廊下を歩き目的の場所に到着した。
ギルがいつもの様に代表して父様の執務室をノックしてくれて、中で父様の補佐をしていたレイがドアを開けてくれる。
私達は促されままに、いつものソファーに腰掛けたんだ。
父様に付いて入る数人の補佐官や各種文官達は必要書類を持って、父様やレイ、そして私達に頭を下げて挨拶して出て行った。
もしかして邪魔した?
「よく来てくれた。すまないね、少し立て込んでてね。」
父様はそう言って、いつもの優しい笑顔でゆっくりと私達の側の定位置に座られたんだ。
長い脚を優雅に組んで、レイが入れてくれたお茶を一口だけ口にした。
「さて…この前エルがお願いしてきた件だが、ちょうど第二皇子殿下があの国に訪れる事になったんだよ。一週間後にね。予定期間は二週間。その同行者としてアシュとエルが殿下の側近候補と一緒に行く事になった。」
「父上、私達は?」
「まぁ待ちなさい。その後、神殿での行事が向こうの国に予定されている。そこには第三皇子殿下と第二皇女殿下が参加だ。教皇も一緒に行くから、その時にギルとレインが参加だ。教皇が参加して向こうの神殿に入ればアシュもエルも神殿から転移して入り込む事ができる。これは教皇が居るからできる事だけどね…。こちら側ではレイナ様がサポートし、向こうでは教皇がサポートだ。他にも私の友人達も行くからね。ここでも約二週間は見込める。よって計四週間だ。これでできるだけ決着つけるように頑張ろう。もし無理でも、その後神殿各所で上手くできるように教皇として動くらしいからね…。安心しなさい。それまでの情報はこちらで集める。」
「父上、移動時間などもありますよね。」
「そこは皇王に転移門の使用許可を出していただいたからね。門さえ使えばすぐだ。だからそれまでは学園で怪我をしないように気をつけなさい。良いね。」
そう言って、父様はレイに母様が焼いたケーキを出してもらうように言っていた。
「またしばらく可愛い子供達に会えないんだ。今日はここで父様とお茶会をしよう。」
そう言って、母様特製のシホンケーキを嬉しそうに食べていたんだ。
「そうそう、レイン用に刺繍糸各種取り揃えておいた。また好きな時に刺繍しなさい。ポーションを作る用の研究室も作る予定だ。エルの魔道具や刻印魔法の研究用の建物も設計図が出来てるんだ。この後で意見を言って欲しい。アシュはエルと一緒でいいんだったね。アシュも意見を。ギルには…」
そう言って、父様は色々な計画書を見せてきたんだ。
「父様これらは?えっと資金とか?」
「各国の面倒事や厄介事、この国でも巻き込まれたからね。皇王からしっかり頂いてきたよ。だから資金とかは気にしなくても良い。皇王が出さなくても、レイと相談して我がフィンレイ侯爵家でも十分出せれるからね。」
そう言ってウインクして見せてきた。
レイの方を見ると…
「当然ですが。我がフィンレイ侯爵家当主はじめ、まだ未成年者であるお子様方に負担をかけたのですから、賠償金としても安いものです。」
レイも色々やってきたんだね…。
「そうそう、無事に終わったらこの屋敷に帰って来るように。その時は、あの地に父様達と行こう。一時的にこの地に墓を移動させたが、やはり領主として頑張っていた土地で安らかに眠らせてあげたくてね。エルとレインの亡き両親が好きだった丘の方に霊園を建てたんだ。エルが桜の樹を植えただろう?あれも綺麗に見える場所だ。好きだった領地も屋敷も見渡せる場所だからね。」
「「父様…」」
「だから、二人とも気をつけて、必ずギルとアシュの側を離れず行ってくるんだよ。良いね、無理はしない事。いつでも手助けするからね。」
そう言って父様はいきなり僕とレインを一緒に抱き上げたんだ。
「うわっ…」
「きゃ…」
「ふふふっ、大きくなったもんだ。あの時は二人で小さな子供一人分だと思ったのに、今では魔法で身体強化をしないと二人いっぺんには難しいね。」
「父上、レインを降ろしてください。私の特権ですよ!」
「父上、エルを抱き上げて良いのは俺だけです。返してください!」
兄様達がそう言って父様から私達を奪い取ろうとする。
そこは危ないからとレイがそっと間に入ったんだけね。それを父様は笑いながら…。
「エルやレインの伴侶は心が狭くて困るよ。父と愛しい息子と娘。しかも我が息子達の伴侶なんだ。このフィンレイ侯爵家家長であり、当主。父親が抱き上げて何が悪い。」
そう言いながらさらに嬉しそうに笑っていた。
エル兄様と私はなんとも言えず、ただ父様にしがみついて笑ってたんだ。
父様には感謝しかありません。
うん、幸せ…。
ギルやアシュ兄様、エル兄様と一緒にね。
屋敷の一階から繋がる廊下を歩き、別棟のフィンレイ領の行政機関が詰まっていると言ってもいい建物の一階二階と階段を上っていく。領内に関して各部署の文官職や騎士達が忙しそうに仕事をしている中、邪魔しないように気をつけて、ゆっくりと廊下を歩き目的の場所に到着した。
ギルがいつもの様に代表して父様の執務室をノックしてくれて、中で父様の補佐をしていたレイがドアを開けてくれる。
私達は促されままに、いつものソファーに腰掛けたんだ。
父様に付いて入る数人の補佐官や各種文官達は必要書類を持って、父様やレイ、そして私達に頭を下げて挨拶して出て行った。
もしかして邪魔した?
「よく来てくれた。すまないね、少し立て込んでてね。」
父様はそう言って、いつもの優しい笑顔でゆっくりと私達の側の定位置に座られたんだ。
長い脚を優雅に組んで、レイが入れてくれたお茶を一口だけ口にした。
「さて…この前エルがお願いしてきた件だが、ちょうど第二皇子殿下があの国に訪れる事になったんだよ。一週間後にね。予定期間は二週間。その同行者としてアシュとエルが殿下の側近候補と一緒に行く事になった。」
「父上、私達は?」
「まぁ待ちなさい。その後、神殿での行事が向こうの国に予定されている。そこには第三皇子殿下と第二皇女殿下が参加だ。教皇も一緒に行くから、その時にギルとレインが参加だ。教皇が参加して向こうの神殿に入ればアシュもエルも神殿から転移して入り込む事ができる。これは教皇が居るからできる事だけどね…。こちら側ではレイナ様がサポートし、向こうでは教皇がサポートだ。他にも私の友人達も行くからね。ここでも約二週間は見込める。よって計四週間だ。これでできるだけ決着つけるように頑張ろう。もし無理でも、その後神殿各所で上手くできるように教皇として動くらしいからね…。安心しなさい。それまでの情報はこちらで集める。」
「父上、移動時間などもありますよね。」
「そこは皇王に転移門の使用許可を出していただいたからね。門さえ使えばすぐだ。だからそれまでは学園で怪我をしないように気をつけなさい。良いね。」
そう言って、父様はレイに母様が焼いたケーキを出してもらうように言っていた。
「またしばらく可愛い子供達に会えないんだ。今日はここで父様とお茶会をしよう。」
そう言って、母様特製のシホンケーキを嬉しそうに食べていたんだ。
「そうそう、レイン用に刺繍糸各種取り揃えておいた。また好きな時に刺繍しなさい。ポーションを作る用の研究室も作る予定だ。エルの魔道具や刻印魔法の研究用の建物も設計図が出来てるんだ。この後で意見を言って欲しい。アシュはエルと一緒でいいんだったね。アシュも意見を。ギルには…」
そう言って、父様は色々な計画書を見せてきたんだ。
「父様これらは?えっと資金とか?」
「各国の面倒事や厄介事、この国でも巻き込まれたからね。皇王からしっかり頂いてきたよ。だから資金とかは気にしなくても良い。皇王が出さなくても、レイと相談して我がフィンレイ侯爵家でも十分出せれるからね。」
そう言ってウインクして見せてきた。
レイの方を見ると…
「当然ですが。我がフィンレイ侯爵家当主はじめ、まだ未成年者であるお子様方に負担をかけたのですから、賠償金としても安いものです。」
レイも色々やってきたんだね…。
「そうそう、無事に終わったらこの屋敷に帰って来るように。その時は、あの地に父様達と行こう。一時的にこの地に墓を移動させたが、やはり領主として頑張っていた土地で安らかに眠らせてあげたくてね。エルとレインの亡き両親が好きだった丘の方に霊園を建てたんだ。エルが桜の樹を植えただろう?あれも綺麗に見える場所だ。好きだった領地も屋敷も見渡せる場所だからね。」
「「父様…」」
「だから、二人とも気をつけて、必ずギルとアシュの側を離れず行ってくるんだよ。良いね、無理はしない事。いつでも手助けするからね。」
そう言って父様はいきなり僕とレインを一緒に抱き上げたんだ。
「うわっ…」
「きゃ…」
「ふふふっ、大きくなったもんだ。あの時は二人で小さな子供一人分だと思ったのに、今では魔法で身体強化をしないと二人いっぺんには難しいね。」
「父上、レインを降ろしてください。私の特権ですよ!」
「父上、エルを抱き上げて良いのは俺だけです。返してください!」
兄様達がそう言って父様から私達を奪い取ろうとする。
そこは危ないからとレイがそっと間に入ったんだけね。それを父様は笑いながら…。
「エルやレインの伴侶は心が狭くて困るよ。父と愛しい息子と娘。しかも我が息子達の伴侶なんだ。このフィンレイ侯爵家家長であり、当主。父親が抱き上げて何が悪い。」
そう言いながらさらに嬉しそうに笑っていた。
エル兄様と私はなんとも言えず、ただ父様にしがみついて笑ってたんだ。
父様には感謝しかありません。
うん、幸せ…。
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