オメガ転生。

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学園生活

愛しい………

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「はぁ…………」

ついつい大きなため息をついてしまう。

「そんなため息ついてると、幸せが逃げるぞ」

そう言って、クスッと笑う。

「ふん、ほっといてくれ。もう少しで愛しい彼との距離を縮める事が出来ると思った矢先に、こんな事が起こったのですよ。ため息ぐらいつきます。彼があの場に来て、声をかけようと思った所に…いくら離れた場所にいたとはいえ、あんな物を彼に飲まされて…私の…に反応したのもあるでしょうが、彼にしたら初めてのヒートでしょう。今まで起こしたという報告はあがっていませんから…」
「そんな情報まで報告させてるのかよ?」
「勿論です。何かあれば、直ぐにでも飛んで行きたかったのですから…」
「でもよ、他の者に噛ませない様に渡してたんだろう?」
「勿論渡してますよ。彼の両親を通してですが。さっきも確認しましたが付けてくれてました」

そう、彼の首には、彼のうなじを守る様に装飾品を付けさせていた。
襟のある服では見えにくく、華美にならない物を配慮し、また、付け心地にも考慮した一品だ。
それに、自分の魔力で付加した効力もある。

本当は、他の者達を牽制する物を付加したかったのだが、それをすると友人などが出来なくなる可能性があり、愛しい彼を辛い学園生活の中に置きたくなかったし、彼の両親からも強く願われたからやめた。
彼が危険な目にあった場合の察知と位置がわかるものと、いざという時の防御。
そして、自分の元に転移させる物を付けた。

今回は彼の居場所を追跡し、何とか守る事ができた。

仕事柄、今回はそう堅苦しいものではなかったのだが、多くの者達が寄って来た。
社交辞令の挨拶や会話をしない訳にもいかなかった。
勿論、彼の行動も注意はしてたんだけどね…

人混みをかけわけるようにして追いかけた。
彼が押し倒されているのを見てカッとなり、魔力で弾き飛ばした。
勿論、彼に不埒な行いをしようとした者だけだ。

彼を怯えさせない様に、瞳を掌で覆い隠し見えない様にして



「大丈夫だから、これを飲んで…」


そう言って彼の甘く柔らかい唇に触れた。
彼の唇の隙間を無理にでもこじ開けようと思ったが、ヒートによる動悸などのせいか、直ぐにわずかな隙間ができた。
すかさず舌を差し込んで、唾液を流し込む。
番のアルファであり、妖魔である者の体液は、その者に対しての万能薬になる。
反対もしかり…

頬を紅潮させ、素直にコクリと喉を鳴らして嚥下してくれた。
それで良い…

「そうだ。良い子だ。それで良い。大丈夫だから…」

彼と自分の香りが、自分達の周りに立ち込める。
甘い香りを吸い込んで、頭がクラクラした…
甘いと言っても、甘ったるい感じじゃない。
でも、好みの香り……

襲ってしまいたくなる衝動を抑え込む。
こんな私の気持ちを、この子はわかってくれるのだろうか…


しだいに彼の体から力が抜けていき、私に縋る様に手を伸ばされた。
無意識かも知れないが、嬉しくてたまらない…
伸ばされた手を掴み、引き寄せて抱きしめると、彼はそのまま意識を手放した。

屋敷に連れ帰りたいが、そういう訳にもいかず、かといって…

抱き上げて、影の者に不届き者であるこの者達を騎士団に引き渡し、一雅(かずまさ)に背後関係やその他を調べ報告するよう指示した。

一雅は古くからの友人であり、同じアルファの妖だ。
そして信頼できる軍部のトップでもある。
彼に任せれば間違いないだろうし…

腕の中で眠りに落ちている愛しい者を、壊物の様に包み込んで車に乗って彼の屋敷、部屋のベットまで送り届けた。
そっと首には付けている物を外し、唇と舌で彼の肌を感じ、甘噛みする。

早く彼に自分のものである印をしっかりと刻みたい…

そう思いながら、名残惜しいが後にした…

そんな一連を思い出す。

「なにニヤついてるんだ。思い出しか?」
「あぁ、そうだね」
「げっ、そんな微笑み見せるだなんて、いつもの作り笑いじゃないんだな…怖…」
「失礼だね。で、例のは?」
「あぁ、調べはついてるよ。というか。お前も調べたんだろ?」
「まぁ…」
「でさ、許可出してくれるんだろ?」

スッと出された書類に目を通す。
影からの報告もあったが…やっぱりな…

報告書と許可願にサインをする。

「頼んだよ」
「任せろや!」

ニヤリと笑って、受け取り

「じゃま、そういう事で…」

そう言ってソファーから立ち上がり、ドアに向かう。
ドアを開け、出て行こうとして振り向いた。

「お前の事だから大丈夫だと思うが、無茶するなよ雅貴(まさたか)」
「あぁ、わかっているよ一雅」
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