オメガ転生。

学園生活

学園祭

大切にってどういう事だろうか？
大切な友人？いや、こんなこの国でかなり上の身分の人にとって自分なんて…
きっと社交辞令だろう。そうに決まっている。

「そう言ってくれて嬉しいです」

それだけ言って、笑顔を見せてみた。
そうそう、次の準備に行かないといけないんだ。

「この後も、出来れば楽しんでくださいね。それでは失礼します」

それだけ言って、ペコっと頭を下げてその場を去ろうとした。
去ろうとしたんだけど……

「翔。私は冗談や社交辞令で言ってるわけではないんですよ」

そう言って右手首を掴まれ、引き寄せられた。
スポッと彼の腕の中に収められる。
雅貴さんのから、甘く心地よい香りが鼻腔をつき、しだいにクラクラしてくる。
激しいが動悸がしてくる感じがした。
脚に力が入らず、まるで子鹿のように立っていられなくなる。

「翔。本当は今すぐに囲い込んでしまいたいんです。でも、まだその時ではない。もう少しだけ我慢して待っていますから、早く私の中に落ちてきてくださいね」

雅貴さんの香りで酔ってしまい、何を言っているのかさえ理解できなくなった。
やがて、意識が途絶え、途絶える途中で微笑む雅貴さんに抱きしめられ、抱き上げられたような気がした。