オメガ転生。

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学園生活

事件です(雅貴)

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あまりにも愛しい者の反応が可愛らしく、少し声のトーンを落として色香を漂わせてみる。
すると、思わず抵抗するのを忘れたのか、私の腕の中で大人しく話を聞きいってくれている。
くるくる表情を堪能し、愛おしさが込み上げてくる。


「それって、僕の事ですか?いゃ、確かに飛び出して、雨に打たれて…でも、そんな…」
「私と番いである事が嫌ですか?」

自分のことであるはずがない…そんな心情を訴えてきて少し悲しくもなる。
こんなに愛おしくて仕方がないのに、どうしたら理解してくれるのだろうか…

確かに、翔は他の者達に対して隠し事をしながら生活していた。
家族がアルファであるのに対し、自分だけがオメガである事。
それに対して、家族のものは何も言わずに、見守り、愛してくれているのに、自分自身ではどうにも仕切れないのだろう。
自分で自分を貶めるような考えをしている事が時々見てとれ、悲しくもある。
何か理由がオメガ性以外にあるのだろうが…

あぁ、もう我慢の限界だ。
もう、この国での成人年齢にきてるのだから、もういいだろう?

他の者にあのように組み敷かれた姿を2度もみた。
私の番なのに、許せない…
他の者に掠め取られるなど…仮の印は与えていた。
頸を噛ませないようにもしていたが、それでもだ…

いろんな感情を自分の中に抑え込み…きれなかった。
ぽすッとベットに押し倒す。

「えっ、えっ、えっ???」
「愛しい番いである翔ですから、うなじをグッと噛んで刻印を刻みつけたいところでししたが、当時貴方は未成年ということもあり、軽く甘噛みに抑えんですよ。それも本来ならダメなんでしょうが、どうしても自分のものだとマーキングしたくて押さえきれなかった。やっと出逢えた番いなのですから、他の者達に横取りされたくなくてね。甘噛みでも刻印は薄らと付きますから。ですが、それはあくまで仮契約の様な物で、ある条件で消えて無くなる物。だから、自分の中で勝手に良しとしたんです。『このぐらいなら、わかりにくいだろう…』そう思って」
「そんな事したんですか?えっ、自分に?」

翔が自分の頸を触ろうとしたところを、すかさず両手を一つにまとめ、頭上で拘束する。

これはいったいどういう事?
ありえないよね、こんな僕に…

そう訴えかけるような表情を返される。
だが…

「家に届け、壊物の様に貴方の部屋まで誰にも触れさせず運びました。誰にも触らさせたくなかったんです。私の大切な宝物ですから…」

唇で頬を滑り、耳元で呟くように話した。

「ん…」

「そっと部屋のドアを閉め、貴方のご両親と向き合い、貴方事を聞きながら、諸事情を説明しました。ご両親は驚いておられまぢたが、今後のことを踏まえて少し相談させていただいて、貴方を残して屋敷に戻りました。『まだ未成年であるから、婚約屋その他を踏まえて、もう少し待って欲しい。せめて成人するまでは…』それがご両親の強い願いであり、番いと認められれば時と場合により自分達から引き離されると思ったのでしょう。人と妖の違いで…確かに妖の番いとなった者は、すぐさま囲われ、求められる事が多いですから…その日以後は、貴方のご両親と手紙のやり取りや、影の者達を護衛につかせて、絶えず報告させていましたよ」

時に見守るぐらいは出来たが…それが、彼の両親との取り決めであった。
でないと、つい襲って自分のものにしてしまいそうだったからだ…
運命の番に対して、どうしても我慢しきれないのがアルファの特徴の一つとも言えるのかも知れない…

そう耳元で呟かれ説明した。
頬を染め、少し興奮してきたようだ。
勿論、私自身も興奮する。
そそられる…
さて、どうしようか…
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