オメガ転生。

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学園生活

やばいです(雅貴)

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翔を自室の寝室に連れ、そっと寝させた。
自分の屋敷も勿論あるが、仕事が立て込み帰れない時用に城内には自室が設けられていた。
勿論、全ての勤務している者に与えられているわけではない。一部の者だけだ。でないと、緊急時対応などの時に国として機能しなくなるからな…
今回はこの部屋があることに感謝した。

「閣下。皇帝陛下より報告が欲しいとのことですが…」

言いにくそうに側近がそう声かけてきた。

「日嗣か。和真はどうした?」
「翔様の着替えなど準備し、もうすぐ来ると思いますよ。ほら、来たみたいです」

そう言うと、ちょうど翔に付けていた和真が衣服などを詰めているだろう鞄を持って入っきた。

「閣下、我が君は…」
「和真か、すまないね。翔は今眠っているよ。医師には今から」
「大丈夫です。私が診ますので。顔色は悪くないみたいですね。これは…」
「あぁ、背後から殴られたんだろうな。それで意識を落とされたんだろう。本当に忌々しい…」

ギリっと奥歯を噛み締める。本当は瞬殺したかったんだ。例えあの男と争い、多少の崩壊が起こったとしてもだ。
だが、皇が隣国に引き渡すと決めていたから踏みとどまった。
まぁ、あの二人がすぐさま現れて、三人を拘束し連れ帰ったのだから、手出しはしてこないだろうし、こちらからも出来ないだろうが…

「閣下、和真が来たのですから、任せて行きましょう」
「わかった。頼んだぞ」

そう言って、名残惜しくも、翔の髪に指を滑らせ、頬を撫でる。

葛城 日嗣(かつらぎ ひつぎ)は、幼馴染で側近であり、執事兼護衛も兼ねている優秀な男だ。
この男がこう急かすのなら、急いだほうがいいのだろう。

駆けつけてきた如月 和真(きさらぎ かずま)は、我が御堂筋家。つまり私が一族から選んだ翔専属の執事兼護衛だ。
医術にも通じているからこの男に任せているのだが、何分学園に翔がいる為、ずっと側にいる事が出来ない。また、翔の実家に潜入ではないが入らせて居るから今は対応が遅れ気味になっているのだろう。他の仕事もさせているのもあるのだが、もう翔だけに仕事を絞らせても良いだろう。他の事はこの男の弟達、沙霧・夕霧に振ればいい。

さて、行くか。
後ろ髪を引かれるも、部屋お後にして、この国の主人のもとへ向かった。
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