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学園生活
そんな事が
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コンコンとノックをし、『入れ』と入室の許可をもらって父の部屋に入る。
いつも仕事に山に埋もれている部屋が、綺麗に整えられていた。
何か違和感を感じる。
「翔、そこに座って」
そう促されて、ソファーに腰を下ろした。
「君にこの話をするのは、物凄くためらったのだけどね…」
そう言いながら、腕を組んで考える父。
食事の時には笑顔を貼り付けていたのに、今は苦悩しか見えない。
どうしたんだろうか…
「今、玲奈が皇太子妃として求められている事は知ってるよね」
弱々しく、そう切り出された。
その件は聞いている。何故そうなったかは詳しくは聞いてはいないけれど…『王弟殿下が求めるほどの女性ならば、皇太子妃に迎えたほうが…』そんな感じだと自分では理解していた。
「王弟殿下は素晴らしい方だ。だが、今後のこの国の行く末を見て、皇太子殿下に素晴らしい妃をと、玲奈を王弟殿下ではなく、皇太子殿下にと…親バカだと自負しているが、玲奈は素晴らしい女性に成長しているからね。それに…君の妹であるから…」
「えっ?僕の妹である事が、何か関係しているのですか??」
どういう事だ??
「翔、君は宰相閣下である彼の方の番いとして求められている。そうだよね」
思わず頬が火照る。
そうだけど、それとこれとではどう関係してくるんだ??
「宰相閣下は長年この国を政治的にも護ってきて方だ。この国に置いて大切な、必要とされる方だ」
「………」
「あの一族は、自分の唯一を見つけた場合。それが最も優先されるものとなる」
はぁ~
そう、長いため息をついたと思うと、父は立ち上がり、キャビネットからグラスと酒を取り出した。
グラスはある一定量の液体を注ぐと冷える魔法印を施されているため、生温い酒を注ぐといい具合に冷えて飲めるのだ。
それを一気に煽るように飲んでしまった。
大丈夫なのだろうか??
「大丈夫ですか?」
「飲まずには…話せないんだ…」
そうぽそっと呟いてから
「皇帝殿下は君達のことをお認めになっていた。今までは…いゃ、皇帝殿下は今も認めておられる。が…」
「周りが認めてない…そういう事ですか?」
「そうだ。他の者達は、今後も彼の方にこの国をになってもらうことを求めている」
「それは…この国にとって雅貴さんが必要な事はわかります。が、それと玲奈とは…」
納得できないが、必死で頭を冷静にしようと考える。
「翔、君たちをただ引き離すだけだと、彼の方はこの国に対して反旗を翻す恐れがある。そう考えた周りの者達はこうも考えた…翔は家族を…妹の玲奈を大切に考えているだろう?」
「それは、勿論です」
「妹が皇太子妃として嫁げば、君は家族を…皇族を、この国を護りたい…そう考えるはずだ。」
「あっ…」
「彼らは番いが悲しむ事は望まない。どんなに…」
ワナワナと唇を震わせて、言葉を詰まらさせている。
「そして…神殿側も…密かに動いた…」
そう呟くと、僕の足元に光り輝く魔法陣が現れた。
これは…
「翔…許してくれ…」
床に這いつくばるようにして泣き崩れる父。
そして僕はそのまま魔法陣に飲み込まれた。
いつも仕事に山に埋もれている部屋が、綺麗に整えられていた。
何か違和感を感じる。
「翔、そこに座って」
そう促されて、ソファーに腰を下ろした。
「君にこの話をするのは、物凄くためらったのだけどね…」
そう言いながら、腕を組んで考える父。
食事の時には笑顔を貼り付けていたのに、今は苦悩しか見えない。
どうしたんだろうか…
「今、玲奈が皇太子妃として求められている事は知ってるよね」
弱々しく、そう切り出された。
その件は聞いている。何故そうなったかは詳しくは聞いてはいないけれど…『王弟殿下が求めるほどの女性ならば、皇太子妃に迎えたほうが…』そんな感じだと自分では理解していた。
「王弟殿下は素晴らしい方だ。だが、今後のこの国の行く末を見て、皇太子殿下に素晴らしい妃をと、玲奈を王弟殿下ではなく、皇太子殿下にと…親バカだと自負しているが、玲奈は素晴らしい女性に成長しているからね。それに…君の妹であるから…」
「えっ?僕の妹である事が、何か関係しているのですか??」
どういう事だ??
「翔、君は宰相閣下である彼の方の番いとして求められている。そうだよね」
思わず頬が火照る。
そうだけど、それとこれとではどう関係してくるんだ??
「宰相閣下は長年この国を政治的にも護ってきて方だ。この国に置いて大切な、必要とされる方だ」
「………」
「あの一族は、自分の唯一を見つけた場合。それが最も優先されるものとなる」
はぁ~
そう、長いため息をついたと思うと、父は立ち上がり、キャビネットからグラスと酒を取り出した。
グラスはある一定量の液体を注ぐと冷える魔法印を施されているため、生温い酒を注ぐといい具合に冷えて飲めるのだ。
それを一気に煽るように飲んでしまった。
大丈夫なのだろうか??
「大丈夫ですか?」
「飲まずには…話せないんだ…」
そうぽそっと呟いてから
「皇帝殿下は君達のことをお認めになっていた。今までは…いゃ、皇帝殿下は今も認めておられる。が…」
「周りが認めてない…そういう事ですか?」
「そうだ。他の者達は、今後も彼の方にこの国をになってもらうことを求めている」
「それは…この国にとって雅貴さんが必要な事はわかります。が、それと玲奈とは…」
納得できないが、必死で頭を冷静にしようと考える。
「翔、君たちをただ引き離すだけだと、彼の方はこの国に対して反旗を翻す恐れがある。そう考えた周りの者達はこうも考えた…翔は家族を…妹の玲奈を大切に考えているだろう?」
「それは、勿論です」
「妹が皇太子妃として嫁げば、君は家族を…皇族を、この国を護りたい…そう考えるはずだ。」
「あっ…」
「彼らは番いが悲しむ事は望まない。どんなに…」
ワナワナと唇を震わせて、言葉を詰まらさせている。
「そして…神殿側も…密かに動いた…」
そう呟くと、僕の足元に光り輝く魔法陣が現れた。
これは…
「翔…許してくれ…」
床に這いつくばるようにして泣き崩れる父。
そして僕はそのまま魔法陣に飲み込まれた。
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