もふもふの世界に落っこちて、気がついたら離してくれなくなった件

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お勤め

助けられ

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目が覚めたら、そこは薄暗く、少しカビ臭くもあった。

「ここどこ?」

ゆっくりと起き上がろうとしたら、後頭部に痛みを感じた。
そうだ、私………

自分の身に降りかかったことを思い出す。

「どうしたら……」

ぽそっと呟いてみるも、返事はなかった。

自分の身体に異変はないか確認しようとして、金属が擦れる音がした。

「あっ……嘘でしょ……」

両足首に鎖が取り付けられ、繋がれていた。

どうして……そんな………
首にも違和感を感じた。

「何これ………、首輪………」

首輪には鎖は繋がってはいなかったが、鎖を繋ぐことができる輪のような物が指に触れた。

ボー然とする。どのくらい途方に暮れたかわからない。
少し肌寒さを感じて、体を縮こませた。

床に微かに明かりを感じる。
明かりに映ったのは、天井近くにある鉄格子からの月明かりが差し込んできていた。
いつのまに………
鎖で届く範囲差し込む月明かりを確認しようと近づいた。

「アイリ様、大丈夫ですか?」

鉄格子近くから声がした。
何?

「アイリ様。我が君。私は貴女を護る影のものです」
「影?」
「アイリ様を危険な目にあわせてしまい申し訳ありません。貴女様に害成すものを駆除致しますので、しばしお待ち下さい。」
「駆除?」
「今後もこのような事が起こらないよう、徹底的に駆除する必要性が有りましたので、少し泳がせました。今、他の者が駆除中ですので、そう時間はかかりません。」
「あなたは?あなたも行くの?あなたの名前は?」
「いいえ、私はここを護ります。もうしばらくすれば、大きな獲物がここに来ますから、その時に捕らえます。勿論、アイリ様には今以上の不快な思いはさせません。申し訳ありません。私はアルトです。アルとお呼びください」

名前を告げ、悲しそうに言われてしまい、それでも助けてくれるなら……と、考えを決めた。

「わかりました。もう少しですね。アル。待ちます」
「寒くはありませんか?これは身体を温めることのできる物です。お持ちください」

そう言って、私の手元に投げ渡してくれた。
暖かい。まるでカイロだ。
そっと懐に入れる。

「暖かい、ありがとう」
「アイリ様、しばしお静かに、来たみたいです」

そういうと、気配を消した。
しばらくして、部屋の扉の前で数人の足音と、声が聞こえた。

「くっそう!!せっかくの取り引きが潰された。」
「貴重なお宝手を入れたのに……、まぁ、もっと高く買いたいって言ってた国があったじゃないですか、そこに売りつけましょうぜ!」
「そうだな、さっさとこの国ずらかるぞ!」

ガチャガチャと鍵を開けている音がした。

「おい!女!!」

大きな声でそう呼ばれ、扉が開く。
男達が私に手を伸ばそうとして…………

思わず身を縮こませ、目蓋を閉じた……

「ぐえっ……」
「ぐっ……」

男達のくぐもった声と同時に、倒れる音がした。
ゆっくりと瞳を開け、目を見張る。

「アイリ様、もう大丈夫ですよ。お待たせしました。」

涼しい表情で、近づいて来る男性というか、美少年??
彼の足元には、男2人が紐で拘束され、転がっていた。

「アイリ様、外しますね。じっとしてください。」

そう言って、首輪と両足の鎖を外してくれた。

「少し赤くなっていますね。薬を塗りますので、じっとしてくだい」

そう言って、懐から軟膏を取り出して塗ってくれた。
少しヒャッとしたけど、痛みは薄れていった。

「アイリ様、ここを離れましょう。私に乗って掴まっていてください。」

そう言うと、アルはジャガーの姿になった。
彼に促され、ゆっくりと乗り、掴まる。

「痛くない?大丈夫?」
「大丈夫ですよ。では、行きます」

そう言って、ドアを抜け、階段を駆け上がり外に出る。

「このまま、もう少し走りますね。そうそう、確か、殿下方への通信機、持ってましたよね。それで、殿下方に通信してもらえますか?」

そういえば…………



「アイリ、他の男性には近づいたらダメですからね。」
「アイリ、困ったことがあったら、私達の所に逃げてくるんですよ。」

そういいながら、2人からアクセサリーを付けられた。
ブレスレットとネックレス。

「これには、我が家の家紋が彫られていてね。見せるとスムーズに私達に会えるんだよ」
「なら、一つで良いんじゃ?」
「特殊な護りが付いてるんだ。それに、この二つはセットなんだよ」
「そうなんですね」
「うん、似合ってる。そうそう、これ、勝手に外せないから」

そう言っていた。あと……

「無くすと大変だから、特殊なんだ。ここについている石が僕達のピアスと同じ石でね、何か困ったときに通信機としても使える優れものなんだ。だから、安心だろ?」
「触ったら使えるんですか?」
「念じたら使えるよ。危機的なら、触る事もできないかもしれないしね。」
「なるほど……使わないに越したことありませんね」

そう言って、笑顔で頷いて見せたんだ。
忘れてた……

アルに促され、心の中で呟く。
誘拐された事。助け出された事。そして、今無事に戻っている最中である事など……

「「アイリ、迎えに行く!」」

そう答えてくれた感じがした。
しばらく走り、少し小高い丘に差し掛かった時、彼らの姿が月明かりに映し出された。
思わず、綺麗………なんて思ってしまった。


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