もふもふの世界に落っこちて、気がついたら離してくれなくなった件

お勤め

屋敷に帰る(クロード)

アイリが、アルトの背に乗ったまま、こちらに向かい駆け上がってきた。
そっと降ろしてもらい、アルトは獣化を解いた。
まだ幼い少年の姿。

私とガナードも獣化をといて、アイリに駆け寄り抱きしめたい。

「どこも怪我はない？」
「大丈夫ですか？」

心配しながら、傷がないか確認した。
アイリが、そっとバレないように、擦り傷を隠そうとしたのを認め、すぐさま傷の具合を見る。
痛々しく擦れたあと。腫れているところもある。

「ここも、ここにも……」
「「あいつら、半殺しじゃなく、殺しとけば良かった」」

思わず2人で、物騒なセリフを吐いた。
それだけ、いらただしかった。
犯人にも、直ぐに助けれなかった自分たちにも…

「でも、無事で良かった」
「心配した」

「ありがとう。心配してくれて……あれ……」

アイリが急に体を震えだし、崩れ落ちそうになる。
2人で両側から支えた。
恐怖が湧き上がってきたのだろう……
大丈夫だろうか……

「とりあえず、屋敷に帰ろう。」

そう言って、黒豹に変身する。
ガナードが支えるようにして、アイリを乗せた。


アイリが、急に何かを思い出したようだ。

「そうだ、お礼を………」

そう呟いている。
アルトの姿を探しているようだが、すでに姿を消していた。

「どうした？」
「助けて、ここまで連れてきてくれた、アルトって言う人なんだけど、いなくて……」

やっぱり……

「あぁ、あの少年なら、また逢えるよ」
「本当？」

ガナードが頷いて答えている。
彼のことを知っているから……

「なら、今度お礼が言いたい。」
「「行くよ！」」

そう言って、駆け出した。
自分たちの屋敷に向かって……