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出逢い
作業部屋から
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作業部屋からリビングに行き、そっとドアを開けて外を見る。
地面は所々に水溜りができているが、出れない事はなかった。
番犬でもあるハリーが外に飛び出した。
いつもは大人しくこの時間は家の中でくつろいでいるのに、どうしたんだろう??
気になって、追いかける。
猫はお座りして家の入り口にいた。
まるで、いってらっしゃいと言っているようだ。って、それどころじゃないんだった…
「ハリー、待って!!」
ハリーは、時折後ろを振り向き止まりながら、私がついて来ているか確認してるようだ。
一体何が??
山道を少し入り、湖の近くで、やっとハリーが止まった。
「ハリー、一体どうしたの??」
そう言いながら、側に行き、しゃがんで頭を撫でてやる。
ハッハと息切らせながら、尻尾を振るハリー。
しかも、向こうを見ろと言わんばかりに身体を寄せて来た。
促されるままに見る。
その視線の先には、湖の上を舞い上がるように踊っている妖精達。そして、湖の近くにある石碑の上を、綺麗な人ではないものが座っていた。
多分精霊なのだろう。
それがある場所を微笑みながら指差した。
何??
示した方を見ると、そこには白い丸いものが見えた。
「何だろう?」
指差した場所は、石碑のから少し離れた青く輝いて見えた花畑のような空間。
その真ん中ぐらいに見えた白い丸いもの。
もう一度、石碑の方を見ると、さっきいた精霊も、湖の上で舞っていた妖精もいなかった。
「とにかく、近くに行ってみよう。」
ハリーに声かけて、近づく。
極力花を踏み荒らさないように注意して近づいた。
白い丸いもの……卵だ…
「これ、卵だよね。何の卵なんだろう……」
ポソっと呟いてそっと触れる。
本来、卵は親が孵化するまで温めているはずなのに、親のようなものはいない。
しかも、見たことのない大きさだ。
子犬程度の大きさのある卵……
ん???
カサカサと音がすると、それは瞬く間に割れて砂のように崩れていった。
「えっ?何???」
中から白い子馬が出てきた。
小さな翼を拡げて首を左右に振りながら、ゆっくりと立ち上がる白い子馬?
くりっとしたつぶらな青い目が合った。
って、子馬、えっと、馬??
馬には翼ないよね。額に小さな角?
あり得ない……
それは、私の側によってきて、脚をぺろって舐めた。
「いっ…」
いつのまにできたのか、スカートから覗く脚に小さな切り傷ができて、少しだけ血が滲んでいたようだ。
でも、舐められた場所がじんわり温かくなって、傷が消えた。
塞がったんじゃなく、綺麗に消えた…
「えっ…えっと…」
スリスリとすり寄られ、しかも、小さく可愛い……
萌え
思わず抱きしめてしまった。
元々可愛い物好きの、動物好きだ。
そういう行動に出ても仕方ないと思う。
でも待て、こんな見たこともない生き物、飼えません。
情が移る前に、離れないと……
ゆっくり離し、側を離れようとしたら、スカートの裾を引っ張られた。
もしかして、鶏の雛とかと同じで、生まれて初めて見たのが親的な??
「可愛いけど……ごめん、その、翼がはえた、角のある馬は飼えないから……ごめん」
無責任かもしれないけど、飼えないものは、連れて帰れない。
精霊が指し示した物だから、魔獣や妖魔の類ではないと思うんだけど…
何かを察したのか、その子は少し私から離れてくれた。
「よしよし、そのまま、みんなの所にお帰りって、身体輝いてるし……」
その子の身体が輝くと、翼と角が消えた。
消えて、ただの子馬の姿になった。
『これで良い?』
頭の中に、可愛い声がする。
「え???もしかして?」
『うん。僕だよ。ねぇ、名前付けて。これなら一緒にいても良いでしょ。ママ。』
「ママって歳ではないんだけど……そうなるのか?私はニィーナ。ニィーナって呼んで。名前ね。名前……」
地面は所々に水溜りができているが、出れない事はなかった。
番犬でもあるハリーが外に飛び出した。
いつもは大人しくこの時間は家の中でくつろいでいるのに、どうしたんだろう??
気になって、追いかける。
猫はお座りして家の入り口にいた。
まるで、いってらっしゃいと言っているようだ。って、それどころじゃないんだった…
「ハリー、待って!!」
ハリーは、時折後ろを振り向き止まりながら、私がついて来ているか確認してるようだ。
一体何が??
山道を少し入り、湖の近くで、やっとハリーが止まった。
「ハリー、一体どうしたの??」
そう言いながら、側に行き、しゃがんで頭を撫でてやる。
ハッハと息切らせながら、尻尾を振るハリー。
しかも、向こうを見ろと言わんばかりに身体を寄せて来た。
促されるままに見る。
その視線の先には、湖の上を舞い上がるように踊っている妖精達。そして、湖の近くにある石碑の上を、綺麗な人ではないものが座っていた。
多分精霊なのだろう。
それがある場所を微笑みながら指差した。
何??
示した方を見ると、そこには白い丸いものが見えた。
「何だろう?」
指差した場所は、石碑のから少し離れた青く輝いて見えた花畑のような空間。
その真ん中ぐらいに見えた白い丸いもの。
もう一度、石碑の方を見ると、さっきいた精霊も、湖の上で舞っていた妖精もいなかった。
「とにかく、近くに行ってみよう。」
ハリーに声かけて、近づく。
極力花を踏み荒らさないように注意して近づいた。
白い丸いもの……卵だ…
「これ、卵だよね。何の卵なんだろう……」
ポソっと呟いてそっと触れる。
本来、卵は親が孵化するまで温めているはずなのに、親のようなものはいない。
しかも、見たことのない大きさだ。
子犬程度の大きさのある卵……
ん???
カサカサと音がすると、それは瞬く間に割れて砂のように崩れていった。
「えっ?何???」
中から白い子馬が出てきた。
小さな翼を拡げて首を左右に振りながら、ゆっくりと立ち上がる白い子馬?
くりっとしたつぶらな青い目が合った。
って、子馬、えっと、馬??
馬には翼ないよね。額に小さな角?
あり得ない……
それは、私の側によってきて、脚をぺろって舐めた。
「いっ…」
いつのまにできたのか、スカートから覗く脚に小さな切り傷ができて、少しだけ血が滲んでいたようだ。
でも、舐められた場所がじんわり温かくなって、傷が消えた。
塞がったんじゃなく、綺麗に消えた…
「えっ…えっと…」
スリスリとすり寄られ、しかも、小さく可愛い……
萌え
思わず抱きしめてしまった。
元々可愛い物好きの、動物好きだ。
そういう行動に出ても仕方ないと思う。
でも待て、こんな見たこともない生き物、飼えません。
情が移る前に、離れないと……
ゆっくり離し、側を離れようとしたら、スカートの裾を引っ張られた。
もしかして、鶏の雛とかと同じで、生まれて初めて見たのが親的な??
「可愛いけど……ごめん、その、翼がはえた、角のある馬は飼えないから……ごめん」
無責任かもしれないけど、飼えないものは、連れて帰れない。
精霊が指し示した物だから、魔獣や妖魔の類ではないと思うんだけど…
何かを察したのか、その子は少し私から離れてくれた。
「よしよし、そのまま、みんなの所にお帰りって、身体輝いてるし……」
その子の身体が輝くと、翼と角が消えた。
消えて、ただの子馬の姿になった。
『これで良い?』
頭の中に、可愛い声がする。
「え???もしかして?」
『うん。僕だよ。ねぇ、名前付けて。これなら一緒にいても良いでしょ。ママ。』
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