聖獣と聖女と黒騎士と

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出逢い

出会い

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肉や野菜を買い込み、自宅に向かう。
りんごは八百屋の女将さんがおまけしてくれた。

「ふふっ、今回は沢山良い値で売れたから、懐があったかい。刺繍糸も少し買ったから、何か作ろうかな。楽しみ。明日、天気が良ければ山に行って、ポーションの材料を取りに行こう。野苺があったらそれも収穫して帰ろうね」

そんな、側から見れば独り言の様な会話をしながら、家路につく。
日が落ちるまでに帰らなくちゃ。
いくら安全になってきたとは言え、夜道はいろんな意味で危険を伴うものね。

ガラガラとと車輪の音を響かせて、後もう少しというところで、人影を見る。
明らかに怪我をしているその人は、木にもたれかかる様にして……

どうしよう…もしも危険な人だったら…でも、明らかに顔色が悪かった。
もしかしたら、大きな怪我をしてるのかも…

この世界には、悪しき生き物とされる物もいる。
凶暴な獣も…
もし、それらに襲われての怪我なのなら、早く治療したほうがいいだろう。

父や母も、時々山などで怪我した人を自宅に運び治療していた。
なら……

手綱を引っ張って止める。
荷馬車に乗せている荷物を寄せてスペースを作る。
そして、木にもたれかかっている怪我人に声をかけた。

声をかけたが、少しぼーっとしている様だ。
身体は少し熱い。怪我などから、もしかしたら熱が出たのかもしれない。

ハリーに押したり引っ張ったりと手伝ってもらって、何とかその人を乗せた。
背が高く、脚が長いのか、ただ単に荷馬車が小さいからか、少し脚がはみ出たけど、ぶつけたりしなければ大丈夫だろうと思い、そのまま少し急いで家に帰った。

自宅の玄関のドアを開け、母達が寝ていた部屋のベットに何とか運ぶ。
重いけど、こういう時、人は馬鹿力が出るのかもしれない。

あくせくしながら鎧を取り外し、外の井戸から汲んできた水を使って身体を拭いてみる。
そして、見つけた腕と背中に傷を、綺麗な水で傷口を洗い、薬草で作った塗り薬をつけてた。

そうだ、忘れてた。
浄化魔法が使えたんだ。
身につけているもののままで、身体を綺麗にできる事を失念してた。
それだけ緊張してたんだ。

ズボンは脱がさず、魔法で綺麗にしてみた。
うん、よかった。あのままだと、恥ずかしすぎるものね。

手当ても終わり、そのままシーツをかける。
これで少し安心だ。


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