鬼の華

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大切なもの

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必死で勉強し、もう少しで春休みも終わりになる。

家族との別れから、この屋敷に来てとバタバタしていて、ふと思い出した。
友人とのお別れ、きちんとしてない。

葬儀の時、友人達も来てくれていたんだけど、涙に暮れて、精神的にもかなり参っていたから、きちんと話ができなかった。転校手続きとかその他もろもろ全て他者の手を借りていたし……


携帯電話もずっと鞄の中に入れっぱなし。学校に行くため、マナーモードにしてたから、両親と姉が亡くなった日からいらってない。
よって………充電切れてます。
気づくの遅いよ私、何やってるんだろう。
慌てて充電し、電源を入れると、そりゃ~~~沢山のメールなどきてるよね……
慌てて、返信した。

急な事で、混乱して充電切れてることも気がつかず、ごめんなさい。
急な転校で、きちんと挨拶できなかったけど、元気にしてますか?
私は、親切な方にお世話になっています。
元気で頑張ってるから、また遊びに行くね。

そういって、返信してみた。
直ぐに着信音が鳴り、会話する。

「綾乃!やっと連絡取れた。心配してたんだよ!!」
「美香~~、ごめんね。」
「紗里も静香も心配してたんだよ。そりゃ、急な事だったから仕方なかったけど。もう大丈夫なの?こっちには戻ってこないの?」
「うん。私1人になったから、もうあのマンションでは暮らせなくて……母親の知り合いの人が色々とお世話してくれたんだ。そこから遠いんだけど……」
「そうなんだ。何か色んな人が綾乃のマンションに来て葬儀やなんやしてたもんなぁ~~、綾乃の側にあまりいてあげれなくてごめんね」
「私も、あの時の事はよく覚えてないんだ。気がついたら、今のお世話になっているお家に連れてきてもらって、家族のように接してくれてるんだ」
「そうなの?」
「うん、急に兄と妹ができた気分。そのつもりで接して欲しいって言われてね。独りぼっちで寂しい思いをさせない気遣いだと思うんだけど、ありがたく思ってるんだ」
「そっか。一人で泣いてるのかと心配したけど、良い人たちがいたんだね。良かった。そうだ、またみんなで遊ぼうよ。お互いの時間ができたらさ」
「うん」
「時々連絡しよう、グチでも何でも聞くし……ね」
「ありがとう。みんなによろしく言っといてね」
「その時は、お兄さん紹介してもらおうかなぁ……」
「美香の彼氏に怒られるよ」
「ふふっ、じゃ、またね」

そう言って、電話が切れた。
いつしょにいた時間を思い出す。
美香とは幼稚園からの腐れ縁だ。


「会いたいな………」

思わず呟いてしまう。
また、元気に買いものして、恋話して……

姉や両親の事も思い出してしまう。
ぽろぽろと涙が溢れ出す。

いくら、大切にされても、失ったものを忘れる事は出来ない。
こんな事じゃだめだ……
元気な自分を見せれるまでは、会えないなぁ~~

友人との撮った写メを眺めて、携帯を切った。
高校進学で、父に無理を言って買ってもらったもの。
スマホが欲しかったんだけど、ゲームとかで遊びそうだから、今はこれと、あえてガラケー。
姉が大学に行くから、その時に一緒にスマホにしてくれるって約束だったのに……
今では形見の品になった。
父が買ってくれたものの一つとして……

大切なもの。
思わず握り締めた……


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