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3章 三日目 特になにもない日
3-3 いつもどおりの午前の授業
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朝のホームルームがはじまった。
「今日は特になにもありません」
事実なのだろうが、あまりにも適当なみどり先生からの連絡事項。
とはいえ、確かに今日はなにもなかった。
普通に午前と午後の授業があるだけ。
俺は入っていないけれども、委員会みたいなのの会議も珍しく一つも開催されないらしい。
まあ、俺の知らないところで生徒会の連中が何かを企んでいたりするのかもしれないけれども。
「ぐふふ、今日はギリギリだったね」
ホームルームが終わってみどり先生が出ていったあと、緑青が俺たちの席のところに来て朝のことについて尋ねてきた。
ちなみに麗美は、朝のラッシュの時間の電車は諦めることにしたらしい。
まあ、あの混雑具合は朝からかなり体力を消費するからな。
慣れてる俺たちですら朝からグッタリすることがよくある。
回避できるなら、その方がいい。
「珍しく咲が寝坊してな」
「へー、ホントに珍しいね。はじめて聞いたかも」
「麗美さん送り出したときはちゃんと起きてたんだよ? でも、そのあと二度寝しちゃって……」
「麗美さん?」
「ああ、緑青は知らないのか。実は麗美のやつ、咲の部屋に泊まっていったんだよ」
「へー」
「正確にはそっちに泊まる予定だったのを、うちで引き取ったんだけどね」
「そっちって……えつろー。ちょっと話がある」
ジト目で俺を見る緑青。
よくわからないが、なにやら誤解されているような気がする。
お前が思っているようなことはないぞ。
これっぽっちも。
「緑青さん、ちょっといいかしら」
不意に俺たちの会話に割って入ってきた女子がいた。
藤黄みのり。
ぐるぐるメガネで三つ編みの、うちのクラスでは緑青に次ぐ成績優秀者だ。
「あ、藤黄さんおはよう」
「おはよう咲さん。リボンが曲がっているわ」
「え? あっ! ありがとう……今朝急いでたから」
まるで俺がいないかのように藤黄は咲と緑青と話している。
「っていうか藤黄。今日もオレンジだな」
学校の成績とか生活態度とか、あらゆる部分が緑青以上に真面目チャンな藤黄にも、一つだけ謎な部分がある。
それは、彼女の髪色だった。
あらゆる部分が真面目にできている藤黄だったが、なぜかその髪をオレンジ色に染めていた。
どれだけ教師陣に注意されようとも、決してそれだけは曲げない。
たぶんだけど、何か俺たちの知らないものすごい理由があるのだろう。
比較的誰とでも仲良くしている咲でも、その理由は聞き出せなかったようだが。
「……」
藤黄は俺をチラッと一瞬だけ見たあと、再び緑青との会話に戻る。
これも理由はよくわからないのだが、なぜか藤黄は俺のことを敵視していた。
麗美が転校してきてからあんな風に俺のことを見る男子生徒はチラホラ出ていたが、藤黄の場合はそれとは関係ない。
なぜなら、初対面のときからこんな感じだったからだ。
でも不思議なことに、俺以外の男子とは比較的普通に相手してたりするんだよなあ……。
「ほらほら席につきなさい。チャイム鳴ってますよー」
キンコンカンコンという始業のベルと共に、学年主任が教室に入ってきた。
そういえば一時間目は数学だった。
緑青たちは軽く視線だけを交わすと、三々五々自分たちの席へと戻っていった。
「今日は特になにもありません」
事実なのだろうが、あまりにも適当なみどり先生からの連絡事項。
とはいえ、確かに今日はなにもなかった。
普通に午前と午後の授業があるだけ。
俺は入っていないけれども、委員会みたいなのの会議も珍しく一つも開催されないらしい。
まあ、俺の知らないところで生徒会の連中が何かを企んでいたりするのかもしれないけれども。
「ぐふふ、今日はギリギリだったね」
ホームルームが終わってみどり先生が出ていったあと、緑青が俺たちの席のところに来て朝のことについて尋ねてきた。
ちなみに麗美は、朝のラッシュの時間の電車は諦めることにしたらしい。
まあ、あの混雑具合は朝からかなり体力を消費するからな。
慣れてる俺たちですら朝からグッタリすることがよくある。
回避できるなら、その方がいい。
「珍しく咲が寝坊してな」
「へー、ホントに珍しいね。はじめて聞いたかも」
「麗美さん送り出したときはちゃんと起きてたんだよ? でも、そのあと二度寝しちゃって……」
「麗美さん?」
「ああ、緑青は知らないのか。実は麗美のやつ、咲の部屋に泊まっていったんだよ」
「へー」
「正確にはそっちに泊まる予定だったのを、うちで引き取ったんだけどね」
「そっちって……えつろー。ちょっと話がある」
ジト目で俺を見る緑青。
よくわからないが、なにやら誤解されているような気がする。
お前が思っているようなことはないぞ。
これっぽっちも。
「緑青さん、ちょっといいかしら」
不意に俺たちの会話に割って入ってきた女子がいた。
藤黄みのり。
ぐるぐるメガネで三つ編みの、うちのクラスでは緑青に次ぐ成績優秀者だ。
「あ、藤黄さんおはよう」
「おはよう咲さん。リボンが曲がっているわ」
「え? あっ! ありがとう……今朝急いでたから」
まるで俺がいないかのように藤黄は咲と緑青と話している。
「っていうか藤黄。今日もオレンジだな」
学校の成績とか生活態度とか、あらゆる部分が緑青以上に真面目チャンな藤黄にも、一つだけ謎な部分がある。
それは、彼女の髪色だった。
あらゆる部分が真面目にできている藤黄だったが、なぜかその髪をオレンジ色に染めていた。
どれだけ教師陣に注意されようとも、決してそれだけは曲げない。
たぶんだけど、何か俺たちの知らないものすごい理由があるのだろう。
比較的誰とでも仲良くしている咲でも、その理由は聞き出せなかったようだが。
「……」
藤黄は俺をチラッと一瞬だけ見たあと、再び緑青との会話に戻る。
これも理由はよくわからないのだが、なぜか藤黄は俺のことを敵視していた。
麗美が転校してきてからあんな風に俺のことを見る男子生徒はチラホラ出ていたが、藤黄の場合はそれとは関係ない。
なぜなら、初対面のときからこんな感じだったからだ。
でも不思議なことに、俺以外の男子とは比較的普通に相手してたりするんだよなあ……。
「ほらほら席につきなさい。チャイム鳴ってますよー」
キンコンカンコンという始業のベルと共に、学年主任が教室に入ってきた。
そういえば一時間目は数学だった。
緑青たちは軽く視線だけを交わすと、三々五々自分たちの席へと戻っていった。
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