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14章 十四日目 走ったり揉んだり
14-7 いつもと少し違うだけかと思ったらそうはいかなかった放課後
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「そろそろ帰るか」
「そうだねー」
部室に顔を出した俺は、しばらくくつろいだあと咲たちと一緒に帰り支度をはじめた。
そろそろ麗美もアイドル研の方から戻ってくるころの時間だ。
っていうか、向こうの活動はどうなってるんだろ。
麗美を引き込んで満足したのか香染もあんまり絡んでこなくなったし、ちょっと気になるな。
「いま戻りました」
部室の扉を開けて、麗美が入ってきた。
「おかえり」
「おかえり~」
出迎えの言葉をかけながら麗美の方を見た瞬間、思わずハッとする。
咲も同じように驚きの顔を浮かべていたが、緑青はなぜか俺を見てニヤニヤしていた。
「そんなに見ないでください。ちょっと照れくさいです」
俺と咲の表情の理由。それは、麗美の髪型にあった。
いつもは金髪縦ロールの麗美。
それが今日は……というか今は、ポニーテールになっていた。
「どうしたんだ、それ」
ストレートに尋ねてしまう俺。
咲が軽くエルボーを入れてきたのは、たぶん直截すぎてデリカシーがないという意味だろうが、こんなこと回りくどく聞いても仕方がない。
というか、麗美のことだからストレートに言ったほうが早いし向こうもそれでいいと思ってるはずだと多少の確信がある。
ってか、咲だってもし髪型いじったりしてたら、とっとと気づいて聞かないと機嫌悪くするくせに。
「衣装合わせだったんです。それで香染さんが、ステージに出るときはこの方がいいって」
「ほう」
向こうの活動はいつの間にやらそんなところまで進んでいたらしい。
もう衣装の準備までしてるってことは、ステージデビューも近かったりするんだろうか。
「歌とかダンスの練習もしてるの?」
咲が麗美に尋ねる。
この質問に麗美は苦笑いしながら、アイドル研究部の笑えない現状を話してくれた。
「実は、それはまだなんです」
「え?」
「それなのに衣装だけできてるのか?」
「曲の準備はできてるんですけど、歌詞と振り付けがまだで」
「そういうもんなのか」
「はい。私もよく知らなかったんですけど、そういう感じみたいです」
そもそもアイドルというものをよく知らなかった麗美。
聞いてる俺の方も詳しくはないけれども、若竹たちの活動を見ていて大変なんだろうなというのはわかる。
麗美のとこは学生のやるプロの真似事なんだろうから多少は楽だったりするのだろうが、あの香染のことだ。無駄に意識の高さを発揮してあらゆることをプロ並みにするのが勝利の秘訣よ! とかわけのわからないことを言ってそうだ。
「なんか、いろいろ大変なんだな」
「はい。でも、香染さんの言っていることもわかるんです。全部自分たちでやるのがいいんだって」
「あー、やっぱり」
そんなことを話しながら、俺たちは部室を出た。
そして俺と咲と麗美、そして緑青とで校門へと向かう。
その途中で……。
「ん?」
「あれ?」
俺たちは不審な人影を見つけた。
その人物はまるで誰かを待っているかのように、昇降口に立ちふさがっている。
制服の上にマントを羽織った姿は俺たちの見知ったエイィリ先輩に似てたが、背の高さから別人だということはなんとなくわかった。
「エイィリ先輩じゃないよね」
咲が俺に確認してくる。
「ああ。エイィリ先輩とはマントの色が違う。先輩はもっと暗い色で、それに猫背だ」
不気味な人影に思わず立ち止まってしまった俺たちに、その人物が気づく。
そして俺たちを見ると、ハッとしたような表情を浮かべた。
「え?」
その人物が駆け寄ってくる。
そして唐突に俺たち四人の前でひざまずいた。
その格好は、まるで映画かなにかに出てくる中世の騎士のようだった。
俺たちはその行動に面食らう。緑青以外は。
そして彼女から発せられたそのセリフに、さらに混乱のるつぼに叩き落されるのであった。
「姫!」
「は?」
「「え?」」
「そうだねー」
部室に顔を出した俺は、しばらくくつろいだあと咲たちと一緒に帰り支度をはじめた。
そろそろ麗美もアイドル研の方から戻ってくるころの時間だ。
っていうか、向こうの活動はどうなってるんだろ。
麗美を引き込んで満足したのか香染もあんまり絡んでこなくなったし、ちょっと気になるな。
「いま戻りました」
部室の扉を開けて、麗美が入ってきた。
「おかえり」
「おかえり~」
出迎えの言葉をかけながら麗美の方を見た瞬間、思わずハッとする。
咲も同じように驚きの顔を浮かべていたが、緑青はなぜか俺を見てニヤニヤしていた。
「そんなに見ないでください。ちょっと照れくさいです」
俺と咲の表情の理由。それは、麗美の髪型にあった。
いつもは金髪縦ロールの麗美。
それが今日は……というか今は、ポニーテールになっていた。
「どうしたんだ、それ」
ストレートに尋ねてしまう俺。
咲が軽くエルボーを入れてきたのは、たぶん直截すぎてデリカシーがないという意味だろうが、こんなこと回りくどく聞いても仕方がない。
というか、麗美のことだからストレートに言ったほうが早いし向こうもそれでいいと思ってるはずだと多少の確信がある。
ってか、咲だってもし髪型いじったりしてたら、とっとと気づいて聞かないと機嫌悪くするくせに。
「衣装合わせだったんです。それで香染さんが、ステージに出るときはこの方がいいって」
「ほう」
向こうの活動はいつの間にやらそんなところまで進んでいたらしい。
もう衣装の準備までしてるってことは、ステージデビューも近かったりするんだろうか。
「歌とかダンスの練習もしてるの?」
咲が麗美に尋ねる。
この質問に麗美は苦笑いしながら、アイドル研究部の笑えない現状を話してくれた。
「実は、それはまだなんです」
「え?」
「それなのに衣装だけできてるのか?」
「曲の準備はできてるんですけど、歌詞と振り付けがまだで」
「そういうもんなのか」
「はい。私もよく知らなかったんですけど、そういう感じみたいです」
そもそもアイドルというものをよく知らなかった麗美。
聞いてる俺の方も詳しくはないけれども、若竹たちの活動を見ていて大変なんだろうなというのはわかる。
麗美のとこは学生のやるプロの真似事なんだろうから多少は楽だったりするのだろうが、あの香染のことだ。無駄に意識の高さを発揮してあらゆることをプロ並みにするのが勝利の秘訣よ! とかわけのわからないことを言ってそうだ。
「なんか、いろいろ大変なんだな」
「はい。でも、香染さんの言っていることもわかるんです。全部自分たちでやるのがいいんだって」
「あー、やっぱり」
そんなことを話しながら、俺たちは部室を出た。
そして俺と咲と麗美、そして緑青とで校門へと向かう。
その途中で……。
「ん?」
「あれ?」
俺たちは不審な人影を見つけた。
その人物はまるで誰かを待っているかのように、昇降口に立ちふさがっている。
制服の上にマントを羽織った姿は俺たちの見知ったエイィリ先輩に似てたが、背の高さから別人だということはなんとなくわかった。
「エイィリ先輩じゃないよね」
咲が俺に確認してくる。
「ああ。エイィリ先輩とはマントの色が違う。先輩はもっと暗い色で、それに猫背だ」
不気味な人影に思わず立ち止まってしまった俺たちに、その人物が気づく。
そして俺たちを見ると、ハッとしたような表情を浮かべた。
「え?」
その人物が駆け寄ってくる。
そして唐突に俺たち四人の前でひざまずいた。
その格好は、まるで映画かなにかに出てくる中世の騎士のようだった。
俺たちはその行動に面食らう。緑青以外は。
そして彼女から発せられたそのセリフに、さらに混乱のるつぼに叩き落されるのであった。
「姫!」
「は?」
「「え?」」
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