148 / 171
17章 十七日目 期末テスト
17-4 いつもより早い放課後
しおりを挟む「はいじゃあ今日はここまで。いつもの時間と違うから、気をつけて帰ってね」
「きりーつ、きをつけー、れい」
俺の一日目の戦いが終わった。
「どうだった悦郎」
俺と同じく憔悴した表情の近藤が俺に尋ねてきた。
「見ればわかるだろ?」
机に突っ伏したまま、近藤の問いかけに答える。
「そうか」
ポンポンと俺の肩を叩く近藤。
その手のひらから伝わってくる温かさが、近藤も俺と同じような戦果だったのだろうということが推察された。
今日の科目は数学と英語と世界史。
ヤマが当たった世界史はまだなんとかなった気がするが、数学と英語はこれっぽっちもできた手応えがない。
勘でどうにか解答欄はすべて埋めたが、あれだってどこまで意味があるか……。
「悦郎さん。今日はもう帰りなんですか?」
定期テストははじめての麗美が俺に尋ねてきた。
「ああ。今日はテストだけ。だからもうみんな帰る支度してるだろ」
「部活動とかそういった課外活動もなしですか?」
「そうだな。っていうか部活はもともと活動休止期間だろ」
「はい。あれはテストが終わるまで続くんですね」
「そういうこと。まあ、休止の理由がテスト勉強に集中するため、だしな」
「あ、麗美さん。委員会はあるからちょっと顔出してねー」
「はい」
通りすがりで咲の友達が麗美に声を掛けていった。
確かに試験中も委員会の活動はあったが、麗美はいつの間に委員に指名されてたんだ?
っていうか何委員だ?
「麗美、いつの間に委員になってたんだ?」
「先週からです。美化委員に欠員が出たとかで」
「あー」
そういえばこないだ中退した榎本さんって美化委員だったっけ。
あの子なんで学校辞めたんだ?
「っていうか麗美も何でも引き受けるなよ。忙しくなりすぎてないか?」
一学期の途中で転入してきた麗美。
もともと委員会には入っていなかったが、それでも部活の方は二つの部を兼部している。
俺の入っているオカルト研究部と、香染のやっているアイドル研究部。
まあ、うちはほとんどお茶会みたいなことしかしてないから兼部してても大丈夫だろうけど、そこに美化委員の活動なんか足したら大変なんじゃないのか?
いや……よく考えたら普通に部活と委員会を兼ねててる人なんかけっこういるか。
香染のお世話係の七瀬とか。
「ふふふ。大丈夫ですよ? ちゃんと全部楽しめてますから」
「そうか。麗美がそう思えてるならいい。でも、無理そうなら言えよな。自分で断りづらかったら、俺が言ってやるから」
「はい。ありがとうございます」
そして麗美は美化委員の集まりに顔を出しに行った。
「あれ? 麗美さんは?」
ちょうど入れ替わるように、女子の集団でトイレに行っていた咲が戻ってきた。
何をしているのかはよくわからないが、なぜか女子はトイレでよく盛り上がっている。
まあ、男子も違う意味でトイレで盛り上がったりしていることもあるが(デッキブラシと丸めた雑巾で野球をやって叱られた)。
「美化委員だって」
「え? 美化委員って……ああ。榎本さんだったっけ」
そんなに説明しなくても事情を理解する咲。
さすが有能。
「試験中でも集まりあるんだな。委員会は」
「でしょうね。学生としての活動がある以上、そこで発生するいろんなことを処理しないといけないんだろうし」
「よくわからんがわかった」
「あのねえ」
そのあとここに緑青と砂川も加わり、俺たちは麗美が戻ってくるまでの間、今日のテストの出来についてや明日のテストの科目についてなど、あまり俺が加わりたくないようなことを話しつつ時間を潰した。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる