4人の世界から外されたもの達

ユウ

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1章これまでの4人の人生

今までの人間の子の人生

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僕は縁側で座ってる。
笑顔でおばあちゃんと。
3歳の頃、おばあちゃんが言った。
「ルクアはここの家系じゃないんだろうね。
きっと、神様の子なんだろうね。
うちはパンダだから。」
何故そういうことを言うのだろう。
僕はパンダのような耳を持っている。

感覚は無いけど。

僕の耳は肌色の横についている奴だ。
でも、お父さんもお母さんもおばあちゃんも、無い。
「僕は…パンダだよ?みんなそうだから僕もいずれか生えるんでしょ?それで、肌色のは消えるんだよね?」
「いずれか…大きくなったら何もかもが分かる。それまで覚悟を決めておくのよ。」
優しい口調で僕の頭を撫でて、そう答えた。



でももうその優しい口調も暖かい手も味わえなくなってしまった。

おばあちゃんが死んだ。
病気だった。 言ってくれたら良かったのに、誰にも言わないでひっそりと息を引き取った。
おばあちゃんは結局、何も教えてくれないで、行ってしまったのだ。
おばあちゃんはとても暖かく優しい顔をしていた。まるで、寝てるみたいに。

僕の親戚には嫌いな奴がいる。
僕より2歳年上のクンラというお兄さん。
奴は小さい頃から僕をいじめてきた。
正直ムカつく。
その奴に僕がいつも被っているパーカーのフードを外されそうになったのだ。
僕がとても心の底からイラついた瞬間だった。
親が慌てて僕を抱え、急いで家に帰った。
「急用ができた。」と親戚には謝るように言っていた。
部屋でさっきの怒りと戦っていると、親の話し声が聞こえてきた。
…なんか嫌な予感がしたのだ。
「やっぱりあの子を連れてくるんじゃなかった。」
「でも、ものすごくおばあちゃんに懐いていたから…」
「あの子は呪いの子なんだ。産まれた時から不吉なものがあるんだよ。」
「そうね。きっと呪われてしまうわ。きっと私たちまでも… あの子はお面も付けられないの。家系の印である特注品の人生でとても必要なものが。つけると身体中が、真っ赤に腫れるのよ。」
「お面をつけて学校に行かないと、行けないのに。これじゃまともな子にもならない。」
「お義母さんがいなくなってほんとに良かった。これであの子を追い出せる。」

…え?

「でも追い出すのなら15からだ。それは遺言にも書いてあることなんだ。」
僕が獣人でないのは知っている。
何となく気づいていた。けど。
そこまでも親が僕を愛してくれていないなんて。
胸が痛い、苦しい、辛い。
おばあちゃんは何もかも知っていたんだ。
親が僕をどう思っていたのかも。
だから、だから『覚悟を決めておくのよ。』
って。
言ってよ。言っておいてくれれば…
僕は静かに泣き、ベットに転がった。
無理だ。無理だよ。そんな…
パーカーのフードには嘘耳がある。
それでバレなかったのはずっとわかっていた。
けど。正直現実を突きつけられると
無理になる。
世界から追放された、たった1人の…『人間』
髪の色も違うのだ。それは嫌になる。
僕は赤。みんなは白。
前までは染めてたけど、親はある日、何かが切れたように、そういうことをやめた。

それでも。こんな僕でも愛してくれていると思ってた。親は子を一生愛すって言うから。
けど、この親は違う。
僕のことを愛してはいなかった。
僕はだ。
おばあちゃんも小さい僕を傷つけないように変な嘘を言っていだけで、僕は呪われているのだ。

もう、誰も僕に嘘をつかないでくれよ。


━━━━助けて。━━━━



僕の誕生日の日、僕は捨てられた。
親戚の家まで、お使いと頼まれたのだ。
とても遠いけど、「15なんだからこれくらい行けるでしょ?」って。
誕生日なのに、おめでとうもなかった。
家に帰る頃には、夕方になっていた。
酷く疲れた。 から、優しく「お疲れ様」
なんて言ってくれたら。なんて馬鹿げたことを考えいた。
だってもう15だぞ?もう捨てられんだぞ?
なのに反抗期もなかったことも感謝して欲しいくらいだ。
鍵が閉まっていた。嫌な寒気がした。
閉まってる。なんてことは1度もなかったから。
鍵を開けて中に入ると、なんにもなかった。
全部空っぽ。親のものも全て。…愛もホントに消えた。
僕のものだけがあるのが妙に心が痛んだ。
「ホントに呪われてるな。」
とかわいた声で1人寂しく呟いた。
机に手紙があった。
『お帰りなさい。私達はもう、あなたに懲り懲りなのよ。もうみんなに身を隠すのも疲れたのよ。ごめんなさい。私達を赦してね。
お金はたっくさんあるから。大人になるまでそれを使いなさい。そして、身を潜めて生きていくのよ。

は。そんな事。書くなよ。そんな事書かれたら踏み出したくても、踏み出せないじゃないか。
最後の最後まで嘘をつくんだな。
僕は前に倒れ込み、情けなく泣いた。
僕はホントに呪われてる。
最後の誕生日さえも、祝ってもくれなかったから。

僕はいつも通りフードを深く被り、買い物をしている。
僕はあの日から生きる意味が、なくし続けて、心が空っぽになっている。
いや、生きる意味が無くなったのは、愛さていないことを知った時だったっけ。
でも鏡を見ると、強く心が揺れる。
だから、全ての鏡を捨てた。
 ここは素敵な町だ。暖かくて、柔らかい。
みんなが笑顔で明るく話してる。
うわあ。素敵だ。もっと聞いていたくて、
フードを取った。もう周りになんて言われたってどうでもいいから。
…笑い声が聞こえる。優しい。
急に泣き出したくなってくる。

「…あの。」
急に声をかけられた。
なんだと思って振り向くと、
茶髪のストレートのウサギ少女と、
背がちっこい、金髪のクマ少女がいた。
…なんだ。
僕にとって、獣人は皆
「とても悲しそうな顔をしていたから。」
…え?
「ねえ、あなた愛してた人に捨てられたんでしょ?」
心がえぐり取られた気分だ。
…なんで。なんで。そんな事を。
「えっと…違った?ごめんなさい。人違い…だったのかも。失礼するわ。ホントにごめんなさい。」
「……待って。」
何故呼び止めたのだろう。
敵なのに。
彼女達は驚いている。

「なんで、なんで僕に話し、かけたの?」
「ひとりぼっちだったから。」
そういうとふんわりと笑った。
ああ、僕は普通に構って欲しかったのかもしれない。話しかけて欲しかったのかもしれない。
━━━━━━━━大丈夫?━━━━━━━って。
そして、のかもしれない。
「…僕は愛する人に捨てられた。
あっちは愛しては…なかったんだ。」
泣きながらそう答えていた。口が勝手に。
「辛かったのね。ねえ一緒に住もうか。
あなたを救ってあげる。」
僕なりのSOSがやっと……


それから僕は家を捨て、暖かい森で過ごした。何故かと言うと、不便だけど、こっちの方が断然心地がいいから。
通帳を見ると驚く大金があったので、
そこの森を買って、家を建てようと思う。
そしたら、やっと僕たちの居場所ができるから。

家を捨てた時、機械系は全て持ってきた。
この森主を探し出して、買う交渉をする予定だ。
「でも見つからないんじゃない?あと勝手に住んでることを知られたら出てけとか言われそう。」

そう呟いたのはラムアだ。
僕もそれは思ってた。けど。
「でも希望がなくちゃ…僕は生きていけなそうだから。」
「そうね。そうよね。私も希望がなくちゃ生きていけないわ。」
「それは僕もだよ。みんな無理だ。」
「みんなっていうか、世界中の人が生きていけないと思う。」
ラムアが、ウルカが、ニスラがそう言ってくれた。
僕は彼女達と繋がれた…気がした。
そして、僕の心に秘めている怒りをぶつせようとしたのだった。そう、僕の人生を。

「あの…聞いてくんない?」
「待って。」
ラムアが止めた。
「どうしたの。」
僕はみんなと繋がりたくてもう壊れそうで辛くて。こんな人生を変えてくれそうな人がいるから。だから早く僕のすべてを打ち明けたくて。仕方がなかったのに。
…みんなは獣人で、僕みたいな嫌悪の目で見られなかったんだろ?

「私から、話を聞いて。お願い。」
彼女の声は震えていた。ものすごく。
今までの事を話す。それはとても辛い。
また鮮明に思い出さなくちゃいけないから。
彼女にも、みんなにも、何か、とてつもなく痛くて苦しいことが…
「うん。聞くよ。何があったの教えて。」
「聞かないわけないわよね。」
「ゆっくり話してね。」
一緒に話を聞くふたりは、とても青ざめていた。

「えっと、その、私は…ね…
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