ニゲロ

黒タコ

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毒を飲むだけの話

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「死にたい」
暇さえあればそう呟いてばかり
うつ病になってから3年目だが一向によくならない症状。
わけの分からない薬を毎回毎回、大量に貰ってはじゃらじゃらと飲み込む。

飲んだ薬の数だけ頭の中が華やかになり
少しだけ楽しい気分になる。



私の最近のマイブームは風薬を少し多めに飲むことだ。
これをすると、抗うつ剤なんかよりもずっと楽しい気分になれるんだ。

効き目が切れると体がだるくなったりするから、またしばらくしたら飲む。
その繰り返し。

今日も小さなガラスのビンから白いつるりとした粒を出す。


医者が出す薬なんか症状はよくならないしただの毒ね

私は病院へ行くのを辞めた。




私に彼氏ができた。
彼は私のことをとてもよく分かってくれてとても優しい人だ。
今日も私の悩みを聞いてくれた。

「…だからそのクラスメイトが酷くてね」
彼はずっと真剣にあいずちをうちながら聞いてくれる。
私が発狂して暴れだしたときには、風邪薬を買ってきてくれていつもよりたくさん飲ませてくれる。


私にとって彼は無くてはならない存在になっていた。


久しぶりに母が来た。
「調子は、どうなの?」
すっかり白髪だらけになった髪で疲れているのがよく分かる。

「うん 最近はね彼の支えもあってすごく調子がいいんだよ」
「彼…??」
「うん。私の彼氏」
私は彼を指して母に紹介する。
「え…? どこにいるのかしら」
「見えないの!?ほらここにいるじゃ…」







私の指したところにはあのガラスのビンがあった。










その後彼女はガラスビンを抱いて線路に飛び込んだらしい
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