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9 カリエンテへの道中で
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僕達は、エカリオンの知り合いの商会に仕事の仲介を頼んでいる。
仕事はコルドハ国内が主で、土に魔法をかけて畑を耕したり、木になる果物を風を使って収穫する等で、お国柄農業の手伝いが多く、魔法を使う事で人力より早く楽にできる事をする。
水を撒いて欲しいとよく言われるが、川など水源があればそこから持って来れるが、僕の力だけでは到底足りないので、水が無い所では残念がられる。魔法で大規模にできるのは限られている。
コルドハは花の栽培も盛んで、日持ちのする花は、カリエンテの首都ミドルカリエンテへ運んでいる。
カリエンテの花祭りの時期が来て、エカリオンと共に需要の高い花を運ぶ際の護衛の仕事を初めて引き受けた。
花祭りも毎年決まっているし、品物が大量の花なので、馬車ごと盗られて、首都で売り捌かれる被害が、毎年ある為だ。
カリエンテに行くのは連れ出された日以来だ。僕はエカリオンのせいもあって、帝国やティアドラだけでなくカリエンテにも行けなかった。
離宮で、外を見る事も、ましてや祭りも見た記憶の無い僕が、有名な花祭りを見てみたいと毎年言っていたら、今年に限ってカリエンテへの護衛の仕事を引き受けたのだ。
出歩けるのは1日だけと制限されたが嬉しくて楽しみにしていた。
そうして勇んで護衛に臨んだのだが、早々に幌馬車の中に座っているとむせ返るような色々な草花の匂いで鼻がおかしくなりそうだった。後部の扉代わりに掛けてある布を半分ほど捲ると、端に腰掛けて深呼吸した。
一応後方も怪しい人影が無いか見ている。
エカリオンは御者の横に座っていて、周囲を警戒している。
異常が無さそうなので、そろそろ代わってもらえるかな、と布を下ろして前方へ行くと、エカリオンが気付いた。
「草花の匂いが凄くて、今後ろを少し開けて一息ついてた」
「そうだな、これだけあると。探知魔法を出すから、人影が無ければ代わろう」
エカリオンは片手のひらを上に向けるとグッと握ってから離した。
僅かに風が起こる。
「ちょっと人はいたけど、大したことはない。こっちへおいで」
僕は手を引かれて御者台に上がった。御者を挟んで2人が座っている。
「人って大丈夫なの?」
「ああ、3人くらいが前方から来ているが、敵意は無い」
「脅かさないで下さいよう、だんな」
エカリオンは素っ気なく言ったが次第に眉を顰めた。
「いや、駄目だ。全速力を出せ、人が見えても決して止まるな」
「ええ、やばいじゃないですか!それ!」
御者が馬に鞭を振るった。
「止まらなければいい!」
エカリオンは認識阻害の魔法を展開した。
「盗賊⁈」
「いや、もっとタチが悪い。まずい、向こうに魔法士がいた!こっちを認識されてしまった、もっと飛ばせ!」
「無理でさあ、年寄り馬なんだから」
「補助する!お前は中に入ってろ」
がたつく馬車に椅子の背の部分を掴んで落ちないよう必死で力を入れている僕はエカリオンの手を頭に感じた。
エカリオンは不安定な場に平然と立ち上がり、さらに馬に強化魔法をかけている。
頭にフードを掛けているが、放出される魔力で揺らめく紺髪と金色に煌めく目が、変身魔法までは余裕が無い事を表している。慌てて僕もフードを被った。おそらく髪は金色、目が素の紫色に戻っている。
僕はしがみつくので精一杯で、魔法の補助もできず、話しかけるにも舌を噛みそうで、情け無い姿を晒していた。
不測の事態になると、動揺して魔法を出すのに集中できない。
道の前方に3人の男が出てきた。二人はもう一人に肩を貸していた。
もう一人ローブを着た男がこちらに手を挙げたら、貸されていた方が座り込んでしまった。
「助けて下さい!止まって!」
御者はエカリオンを見上げた。
「止まるな!」エカリオンは一顧だにしなかった。
「待って、あの人怪我してるんだ、助けなきゃ!」
僕は座り込んだ人の服に血が滲んでいるのを見て慌てて言った。
「必要無い」
「兄さん!」
僕は非情なエカリオンが嫌だったし、助けを求めているのを見捨てて逃げるのも納得できなかった。
思い切って立ち上がると、御者越しにエカリオンの肩に手を置いて魔力を流した。
「馬鹿!何するんだ」
魔力が乱れてエカリオンが掛けていた魔法が遮断される。
馬の歩みは遅くなり、男達をだいぶ通り過ぎたが、遂に止まった。
「待て、あいつらは、関わると危ない」
僕は終いまで聞かずに御者台から飛び降りて、男達の方へ駆け寄った。
「どうしました?」
「すみません…強盗に、遭って、返り討ちにしたんですが、一人やられてしまって」
「強盗?」
「はい、なんとか止血はできたので、カリエンテまで乗せてもらえれば」
「そう言うお前らが強盗の手先じゃないのか?」
後ろから声がしたので振り向くと、茶色の髪と目に戻っていたが、相変わらずフードを被ったままのエカリオンが立っていた。
「違う」怪我人に肩を貸していた男が胸ポケットから手帳を出した。
その表面に付いていた紋章に衝撃で眩暈がした。
「ハウヴァハーン帝国の兵士ケラミ、怪我したのがタヤカンだ」
「僕は魔法士のノア」
やっぱり魔法士!
僕は被っていたフードの下からこっそり伺ったが、知らない顔だ。僕がいなくなってから入団したのだろうか。
エカリオンはあからさまに不機嫌な顔をしている。
ハウヴァハーン帝国の者だとわかったから、通り過ぎようとしていたのか。
でも、今更見捨てることなんてできない。
「僕達は護衛で…。花を届けに行く途中です」
「そうか、花祭りがありますもんね」ノアが明るい声で言った。
「国境を越えたら診療所がある。そこまでなら乗せる」
遮るように冷徹な声でエカリオンは言ったが、3人は軽く礼をした。
「十分です。お願いします。ここまで彼を運ぶのに魔法を使ってたので、もうギリギリで」
ノアがほっと一息ついた。
エカリオンは僕がやろうとしたのを押し除けて、ノアの代わりにタヤカンに肩を貸して補助魔法で体を浮かせた。そうすると僅かな力で歩かせることができる。
そうやって幌馬車まで連れて行き、僕は中の花束を何とか寄せて場所を作り、タヤカンを寝かせた。
あとの二人も中に残し、僕は再び御者台に座った。
御者はエカリオンを気にしながら馬車を動かした。
「ごめんなさい、見捨てられなくて」
「仕方無い。お前が優しいのは昔からだ」
間に御者がいるので、それ以上は話さなかった。エカリオンは国境を越えるまで何回か探索魔法を放ったが、何も引っ掛からなかった。
何事も無く、診療所まで3人を運び、そこで別れた。
ノアはお礼にとお金を渡そうとしたので丁重に断った。
「早く来い!遅くなる」
馬車から降りないエカリオンのイラついた声に「お大事に!」と最後に声を掛け、急いで馬車に戻った。
少し遅くなったが、何とか花の卸売店に納入でき、御者とはそこで別れた。彼はカリエンテ人なので花祭りの休みを家族と過ごすのだそうだ。
ミドルカリエンテは首都だけに、飾り花があちこちにあり、噴水にも花が浮かんでいた。
街行く人々は花束を抱えて歩いていく。商店はそれぞれ花にまつわる商品を全面に押し出して売っていた。
僕とエカリオンは、既に出ている屋台で夕飯のおかずを手早く買うと、コルドハの商店主の知り合いの宿屋に行った。この時期は予約が無いと泊まれないからツテがあると助かる。
小さなテーブルに食べ物を置くと、一先ずベッドに横たわった。
「疲れたー。護衛って何もなかったけど、思ったより気を抜けないし大変な仕事だったね」
「モノが花だったからまだ気楽だったが、まさかコルドハまでハウヴァハーン帝国の兵が堂々と入り込んで
いるとはな」
「何しに来てたんだろう」
「お前を探して、コルドハまで調べに来たのかもしれない」
「まさか、まだ本気で探してるの?」
「魔法士と言っていた奴は帝国の使者で正式に依頼しに行ったのかもしれん。用心のためコルドハには戻らない。東のザルツガルドへ行き、そのまま南下するか…」
「そこまで行かなくても」
「帝国がカリエンテに手を出したらすぐだ。用心すべきだ。だが、花祭りも少しは味わいたいだろう?昼に出て周辺を少し回って旅に要る物を調達したら出立する」
「み、短い…でも、僕のせいだし」
エカリオンはテーブルのそばの椅子に座っていたが、立ち上がるとベッドまでやってきて、僕に覆い被さった。
「エカリオン⁈」
焦る僕に何回もキスした。
「昼前に出るのだから、たっぷり時間がある」
「ええ⁈ここは駄目だよ、声が漏れそうだし、裸の時襲われたらどうするの?」
エカリオンは珍しく大声で笑って僕に抱きついた。
「可愛いなあ、ルカス、魔法で何とかするから気にするな」
「…それだけじゃないよ」
「他には?」
僕はムッとして毎回言う。
「わかってるでしょう?僕達は兄弟だ!こんな事しちゃ駄目だ」
「良いだろう?愛し合っているのだから」
「エカリオン、僕はあなたが好きだけど、時々理解できない事がある。これもそう」
エカリオンは興奮して僕の首筋を甘噛みした。
手はもう僕の服を脱がせにかかっている。
今日は止められないか…背中を撫でながら諦めた。
仕事はコルドハ国内が主で、土に魔法をかけて畑を耕したり、木になる果物を風を使って収穫する等で、お国柄農業の手伝いが多く、魔法を使う事で人力より早く楽にできる事をする。
水を撒いて欲しいとよく言われるが、川など水源があればそこから持って来れるが、僕の力だけでは到底足りないので、水が無い所では残念がられる。魔法で大規模にできるのは限られている。
コルドハは花の栽培も盛んで、日持ちのする花は、カリエンテの首都ミドルカリエンテへ運んでいる。
カリエンテの花祭りの時期が来て、エカリオンと共に需要の高い花を運ぶ際の護衛の仕事を初めて引き受けた。
花祭りも毎年決まっているし、品物が大量の花なので、馬車ごと盗られて、首都で売り捌かれる被害が、毎年ある為だ。
カリエンテに行くのは連れ出された日以来だ。僕はエカリオンのせいもあって、帝国やティアドラだけでなくカリエンテにも行けなかった。
離宮で、外を見る事も、ましてや祭りも見た記憶の無い僕が、有名な花祭りを見てみたいと毎年言っていたら、今年に限ってカリエンテへの護衛の仕事を引き受けたのだ。
出歩けるのは1日だけと制限されたが嬉しくて楽しみにしていた。
そうして勇んで護衛に臨んだのだが、早々に幌馬車の中に座っているとむせ返るような色々な草花の匂いで鼻がおかしくなりそうだった。後部の扉代わりに掛けてある布を半分ほど捲ると、端に腰掛けて深呼吸した。
一応後方も怪しい人影が無いか見ている。
エカリオンは御者の横に座っていて、周囲を警戒している。
異常が無さそうなので、そろそろ代わってもらえるかな、と布を下ろして前方へ行くと、エカリオンが気付いた。
「草花の匂いが凄くて、今後ろを少し開けて一息ついてた」
「そうだな、これだけあると。探知魔法を出すから、人影が無ければ代わろう」
エカリオンは片手のひらを上に向けるとグッと握ってから離した。
僅かに風が起こる。
「ちょっと人はいたけど、大したことはない。こっちへおいで」
僕は手を引かれて御者台に上がった。御者を挟んで2人が座っている。
「人って大丈夫なの?」
「ああ、3人くらいが前方から来ているが、敵意は無い」
「脅かさないで下さいよう、だんな」
エカリオンは素っ気なく言ったが次第に眉を顰めた。
「いや、駄目だ。全速力を出せ、人が見えても決して止まるな」
「ええ、やばいじゃないですか!それ!」
御者が馬に鞭を振るった。
「止まらなければいい!」
エカリオンは認識阻害の魔法を展開した。
「盗賊⁈」
「いや、もっとタチが悪い。まずい、向こうに魔法士がいた!こっちを認識されてしまった、もっと飛ばせ!」
「無理でさあ、年寄り馬なんだから」
「補助する!お前は中に入ってろ」
がたつく馬車に椅子の背の部分を掴んで落ちないよう必死で力を入れている僕はエカリオンの手を頭に感じた。
エカリオンは不安定な場に平然と立ち上がり、さらに馬に強化魔法をかけている。
頭にフードを掛けているが、放出される魔力で揺らめく紺髪と金色に煌めく目が、変身魔法までは余裕が無い事を表している。慌てて僕もフードを被った。おそらく髪は金色、目が素の紫色に戻っている。
僕はしがみつくので精一杯で、魔法の補助もできず、話しかけるにも舌を噛みそうで、情け無い姿を晒していた。
不測の事態になると、動揺して魔法を出すのに集中できない。
道の前方に3人の男が出てきた。二人はもう一人に肩を貸していた。
もう一人ローブを着た男がこちらに手を挙げたら、貸されていた方が座り込んでしまった。
「助けて下さい!止まって!」
御者はエカリオンを見上げた。
「止まるな!」エカリオンは一顧だにしなかった。
「待って、あの人怪我してるんだ、助けなきゃ!」
僕は座り込んだ人の服に血が滲んでいるのを見て慌てて言った。
「必要無い」
「兄さん!」
僕は非情なエカリオンが嫌だったし、助けを求めているのを見捨てて逃げるのも納得できなかった。
思い切って立ち上がると、御者越しにエカリオンの肩に手を置いて魔力を流した。
「馬鹿!何するんだ」
魔力が乱れてエカリオンが掛けていた魔法が遮断される。
馬の歩みは遅くなり、男達をだいぶ通り過ぎたが、遂に止まった。
「待て、あいつらは、関わると危ない」
僕は終いまで聞かずに御者台から飛び降りて、男達の方へ駆け寄った。
「どうしました?」
「すみません…強盗に、遭って、返り討ちにしたんですが、一人やられてしまって」
「強盗?」
「はい、なんとか止血はできたので、カリエンテまで乗せてもらえれば」
「そう言うお前らが強盗の手先じゃないのか?」
後ろから声がしたので振り向くと、茶色の髪と目に戻っていたが、相変わらずフードを被ったままのエカリオンが立っていた。
「違う」怪我人に肩を貸していた男が胸ポケットから手帳を出した。
その表面に付いていた紋章に衝撃で眩暈がした。
「ハウヴァハーン帝国の兵士ケラミ、怪我したのがタヤカンだ」
「僕は魔法士のノア」
やっぱり魔法士!
僕は被っていたフードの下からこっそり伺ったが、知らない顔だ。僕がいなくなってから入団したのだろうか。
エカリオンはあからさまに不機嫌な顔をしている。
ハウヴァハーン帝国の者だとわかったから、通り過ぎようとしていたのか。
でも、今更見捨てることなんてできない。
「僕達は護衛で…。花を届けに行く途中です」
「そうか、花祭りがありますもんね」ノアが明るい声で言った。
「国境を越えたら診療所がある。そこまでなら乗せる」
遮るように冷徹な声でエカリオンは言ったが、3人は軽く礼をした。
「十分です。お願いします。ここまで彼を運ぶのに魔法を使ってたので、もうギリギリで」
ノアがほっと一息ついた。
エカリオンは僕がやろうとしたのを押し除けて、ノアの代わりにタヤカンに肩を貸して補助魔法で体を浮かせた。そうすると僅かな力で歩かせることができる。
そうやって幌馬車まで連れて行き、僕は中の花束を何とか寄せて場所を作り、タヤカンを寝かせた。
あとの二人も中に残し、僕は再び御者台に座った。
御者はエカリオンを気にしながら馬車を動かした。
「ごめんなさい、見捨てられなくて」
「仕方無い。お前が優しいのは昔からだ」
間に御者がいるので、それ以上は話さなかった。エカリオンは国境を越えるまで何回か探索魔法を放ったが、何も引っ掛からなかった。
何事も無く、診療所まで3人を運び、そこで別れた。
ノアはお礼にとお金を渡そうとしたので丁重に断った。
「早く来い!遅くなる」
馬車から降りないエカリオンのイラついた声に「お大事に!」と最後に声を掛け、急いで馬車に戻った。
少し遅くなったが、何とか花の卸売店に納入でき、御者とはそこで別れた。彼はカリエンテ人なので花祭りの休みを家族と過ごすのだそうだ。
ミドルカリエンテは首都だけに、飾り花があちこちにあり、噴水にも花が浮かんでいた。
街行く人々は花束を抱えて歩いていく。商店はそれぞれ花にまつわる商品を全面に押し出して売っていた。
僕とエカリオンは、既に出ている屋台で夕飯のおかずを手早く買うと、コルドハの商店主の知り合いの宿屋に行った。この時期は予約が無いと泊まれないからツテがあると助かる。
小さなテーブルに食べ物を置くと、一先ずベッドに横たわった。
「疲れたー。護衛って何もなかったけど、思ったより気を抜けないし大変な仕事だったね」
「モノが花だったからまだ気楽だったが、まさかコルドハまでハウヴァハーン帝国の兵が堂々と入り込んで
いるとはな」
「何しに来てたんだろう」
「お前を探して、コルドハまで調べに来たのかもしれない」
「まさか、まだ本気で探してるの?」
「魔法士と言っていた奴は帝国の使者で正式に依頼しに行ったのかもしれん。用心のためコルドハには戻らない。東のザルツガルドへ行き、そのまま南下するか…」
「そこまで行かなくても」
「帝国がカリエンテに手を出したらすぐだ。用心すべきだ。だが、花祭りも少しは味わいたいだろう?昼に出て周辺を少し回って旅に要る物を調達したら出立する」
「み、短い…でも、僕のせいだし」
エカリオンはテーブルのそばの椅子に座っていたが、立ち上がるとベッドまでやってきて、僕に覆い被さった。
「エカリオン⁈」
焦る僕に何回もキスした。
「昼前に出るのだから、たっぷり時間がある」
「ええ⁈ここは駄目だよ、声が漏れそうだし、裸の時襲われたらどうするの?」
エカリオンは珍しく大声で笑って僕に抱きついた。
「可愛いなあ、ルカス、魔法で何とかするから気にするな」
「…それだけじゃないよ」
「他には?」
僕はムッとして毎回言う。
「わかってるでしょう?僕達は兄弟だ!こんな事しちゃ駄目だ」
「良いだろう?愛し合っているのだから」
「エカリオン、僕はあなたが好きだけど、時々理解できない事がある。これもそう」
エカリオンは興奮して僕の首筋を甘噛みした。
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今日は止められないか…背中を撫でながら諦めた。
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