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何でも奪いたがる人っていますよね。
それが今、目の前にいる妹です。
「ぷぷぷ、お姉ちゃんの婚約者のレオン様寝取っちゃった~。ごめんね~、あたしの方が魅力的で」
と、そういう人は100パーセント自己中心的な考え方しかできず、自分が世界の中心とか思ってる。
私はそういう人哀れだと思うんですよね。結局、自分しか見えてないから、痛い目見ますから。
でも、私は優しいので、忠告してあげようと思います。
「ねぇマリン。悪いことは言わないから、あの人はやめておきなさい。あの人はロクでもない人間だから、関わらない方がいい。嫌でしょう? 見知らぬところで変な保証人になって、自分名義で借金されるの」
「何それ~。寝取られたからって負け惜しみするとか、お姉ちゃんみっともなさすぎ! そんなにあたしに取られちゃったのが悔しいんだ~。可哀想~!」
……やっぱりこうなるよね。人の不幸が三度の飯より好きなマリンが今さら人の話をちゃんと聞くわけない。
だから、もう知らない。行くところまで行っちゃえばいい。そして、思い知りなさい。
――大人は怖いわよ。
あれから数ヶ月が経過して、妹のマリンが家から勘当された。それもそうだろう。
私はまったく気にしてないけど、姉の婚約者を寝取っただけでも罪なのに、あり得ないほどの借金をたった数ヶ月で作る馬鹿娘をこのまま近くに置いておくわけない。
いくらだったっけ? 最終的なあの子の借金。確か……2000万ぐらいだったかな。
2000万あれば、う~んそうだな……数年は豪遊できるんじゃないかしら?
だって、10センあったら美味しいパンが一つ買えちゃうんだもの。
しかし、まあよく2000万も借金したものです。いや、あんな性生活を送っていたら、こうもなるか。
毎日最低5人と避妊もせずにやって、万が一赤ちゃんができてしまったらその分の中絶代金。
そして、口封じのための代金。その他もろもろを含めると、まぁ妥当だろう。
ちなみにこのことを婚約者に突きつけると、私にも口封じのお金を渡そうとしてきた。
あの男は本当にクズである。しかも、そのお金は妹のようなお馬鹿さん名義で借りたお金。
全員を把握しているわけじゃないけど、少なくとも妹以外に2、3人はいるだろう。
そのことをほかの貴族に報告することも可能だけど、それで何か逆恨みでもされたら嫌だし面倒。
そもそも私は他人に興味がないから、自分さえ無事ならそれでいい。
妹は血が繋がってるから、やめておいた方がいいとは言ってあげたけど。
……で、話は戻って妹の借金だけど、あの金額はまともに働いて返せる金額じゃない。
だから、妹はどこか遠い場所に連れて行かれてしまった。多分、良くない場所からお金を借りていただろうから、それはもう劣悪な環境だと思う。
きっと、私と妹が話すことは……二度とないだろうな。
「私は別に何とも思わないけど」
そうボソリと呟いて、ふわふわのベッドの上でぐーっと体を伸ばした。
「あの子がいなくなって、奪われてた私の安眠ベッドがようやく帰ってきたんだから、もう私の前に現れないでよ……」
と、久方ぶりの極上の心地よさに包まれて、私は夢の中へと落ちていくのだった。
~完~
それが今、目の前にいる妹です。
「ぷぷぷ、お姉ちゃんの婚約者のレオン様寝取っちゃった~。ごめんね~、あたしの方が魅力的で」
と、そういう人は100パーセント自己中心的な考え方しかできず、自分が世界の中心とか思ってる。
私はそういう人哀れだと思うんですよね。結局、自分しか見えてないから、痛い目見ますから。
でも、私は優しいので、忠告してあげようと思います。
「ねぇマリン。悪いことは言わないから、あの人はやめておきなさい。あの人はロクでもない人間だから、関わらない方がいい。嫌でしょう? 見知らぬところで変な保証人になって、自分名義で借金されるの」
「何それ~。寝取られたからって負け惜しみするとか、お姉ちゃんみっともなさすぎ! そんなにあたしに取られちゃったのが悔しいんだ~。可哀想~!」
……やっぱりこうなるよね。人の不幸が三度の飯より好きなマリンが今さら人の話をちゃんと聞くわけない。
だから、もう知らない。行くところまで行っちゃえばいい。そして、思い知りなさい。
――大人は怖いわよ。
あれから数ヶ月が経過して、妹のマリンが家から勘当された。それもそうだろう。
私はまったく気にしてないけど、姉の婚約者を寝取っただけでも罪なのに、あり得ないほどの借金をたった数ヶ月で作る馬鹿娘をこのまま近くに置いておくわけない。
いくらだったっけ? 最終的なあの子の借金。確か……2000万ぐらいだったかな。
2000万あれば、う~んそうだな……数年は豪遊できるんじゃないかしら?
だって、10センあったら美味しいパンが一つ買えちゃうんだもの。
しかし、まあよく2000万も借金したものです。いや、あんな性生活を送っていたら、こうもなるか。
毎日最低5人と避妊もせずにやって、万が一赤ちゃんができてしまったらその分の中絶代金。
そして、口封じのための代金。その他もろもろを含めると、まぁ妥当だろう。
ちなみにこのことを婚約者に突きつけると、私にも口封じのお金を渡そうとしてきた。
あの男は本当にクズである。しかも、そのお金は妹のようなお馬鹿さん名義で借りたお金。
全員を把握しているわけじゃないけど、少なくとも妹以外に2、3人はいるだろう。
そのことをほかの貴族に報告することも可能だけど、それで何か逆恨みでもされたら嫌だし面倒。
そもそも私は他人に興味がないから、自分さえ無事ならそれでいい。
妹は血が繋がってるから、やめておいた方がいいとは言ってあげたけど。
……で、話は戻って妹の借金だけど、あの金額はまともに働いて返せる金額じゃない。
だから、妹はどこか遠い場所に連れて行かれてしまった。多分、良くない場所からお金を借りていただろうから、それはもう劣悪な環境だと思う。
きっと、私と妹が話すことは……二度とないだろうな。
「私は別に何とも思わないけど」
そうボソリと呟いて、ふわふわのベッドの上でぐーっと体を伸ばした。
「あの子がいなくなって、奪われてた私の安眠ベッドがようやく帰ってきたんだから、もう私の前に現れないでよ……」
と、久方ぶりの極上の心地よさに包まれて、私は夢の中へと落ちていくのだった。
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