17 / 21
17話 青の試練③
しおりを挟む
「ヴェン!! ヴェン!?」
何度呼んでも反応は無い。私を押し飛ばし、救ってくれたヴェン。だが、彼はその拳の下敷きとなった。
番人の拳が地面から持ち上がる。その拳は赤く染まり、大量の赤い液体がしたたっていた。
「あっ……。あ、ああああっ……!」
私のせいだ。私が無理に押し返そうとなんて考えたから。無理せず、避けて体勢を整えていたら。
きっと、ヴェンは死ななかったのに。
『アリシア! しっかりしろ!』
呆然と座り込んだ私へ、番人は拳を振るう。避けることも何もしない私を守るために、カーバンクルがその拳を受け止める。壁に打ち付けられ、壁にもたれかからないと立てないぐらいなのに、私の為に。
『ぐううっ……。早く、長くは持たないっ……!』
番人の攻撃は重い。いくらカーバンクルでも長くは受けきれない。分かっている。分かっているけど、足が動かない。
「だ、だれか、誰か来て……!」
コンコン、コンコンと何度も地面をノックする。しかし、誰もそれに応えてはくれない。
頭が働かない。誰を呼んでいいのか、今誰を呼んでいるのかすら分からない。ただ、震える手でひたすら地面を叩く。
でも、誰も来ない。
『うううっ、ぐにゃあ! アリシア!』
「あっ……」
カーバンクルのサイコキネシスが弾かれる。止まっていた巨大な拳が再び動き出す。私を潰そうと迫る。
誰も呼べないし、まだ立つことすら出来ていない。
私、死ぬんだ。
あんなに速かった拳がゆっくりに見える。でも、私が早く動ける訳でもない。もう避けられない。
ごめんね、二人とも。私のせいで。
カーバンクル、頑張って逃げてね。あんたなら大丈夫だよね。
ヴェン、私のせいでごめんね。許されないだろうけど、謝りたい。私ももうそっちへ行くから。
目を瞑る。これから来る痛みを。これから来る死を受け入れるしかなかった。
……でも、それは来なかった。
代わりに感じるのは温かな熱。
そして、目を開けると、そこには、
「心配かけたな。だが、安心してくれ。俺の炎はこの程度で消えやしない。何度でも燃え上がるのさ!」
燃え盛る炎を纏ったヴェンの姿があった。
「はぁああ!!」
ヴェンが番人の拳を弾き返す。拳を弾き返された番人は大きくのけ反り、後退する。
「ヴェン!? なんで……!?」
「話は後だ。立てるかアリシア」
スッと私へ差し出された手。戸惑いながらその手を握る。私の手よりも大きく、硬い手は今、確かに私の手を握っている。私へ立ち上がる力をくれる。
「ラストダンスといこうじゃないか! 共に舞おう、アリシア!」
ヴェンは巨大な炎を纏い、番人へ突っ込む。その姿はまるで巨大な炎の鳥。その燃え盛る炎が番人を飲み込む。超高温の炎にもがき苦しむ番人。だが、炎は番人を拘束し、決して逃さない。
「さあ、クライマックスだ!」
炎によって拘束された番人。超高温の炎により体に歪みが出てきている。それなら、更なる炎で破壊する。
「来て! サラマンダー!!」
地面を叩く。
そして、現れるは、炎の化身たる竜、サラマンダー。
「燃やし尽くせ! 紅蓮の炎よ!!」
ヴェンが番人から離れる。しかし、炎は消えることなく番人を燃やし続ける。その上から更にサラマンダーの炎が包みこんだ。全てを焼き尽くすその炎は、対象が燃え尽きるまで決して消えることは無い。
炎は勢い衰えることなく燃え盛る。炎から逃れようともがいていた番人。しかし、徐々に動きが鈍くなり、そして、遂に番人は倒れ動かなくなった。
「倒、した……?」
番人は倒れたまま動かない。倒せた? 私達の勝ち?
「あっ! ヴェン! ヴェン! 大丈夫!?」
私は急いでヴェンへと駆け寄る。
「ああ、アリシア。問題ないさ」
「問題ないって、あんなぐしゃって……」
ヴェンは確かに番人の拳により、つ、潰れてしまったはず……。
「本当に? 本当に大丈夫なの?」
「大丈夫。どこも問題ないだろ?」
上から下まで隈無くヴェンを確認する。あんなに血が出てたのに、今は一滴たりともその後が見えない。ヴェンも服も全て傷一つ無いように見える。
「なんで……?」
「俺は不死なんだ。死んでも死なないのさ」
不死? 死んでも死なない?
「それってどういうこと……?」
「ん? まあ、そういう体質だと思ってくれ」
体質? そんな体質あるの? だって、死なないなんてそんなのおかしい。生きてるなら誰だっていつかは死ん……
ふいに手に熱を感じた。温かな熱を。そして、確かな鼓動を。
「ほら。感じるだろ? 俺の鼓動を」
私の手を取り、自分の胸に当てるヴェン。手から感じるヴェンの鼓動。それは優しく、だけど、力強い鼓動と共に燃え盛る生命の熱。
「俺はちゃんと生きているぞ」
ヴェンは、ヴェンは生きている。手のひらから伝わるこの熱、この鼓動は間違いなく生きている証。本当に……、本当に生きているんだ……!
「……よかった。よかっ、ううっ……よがっだよお……!」
ヴェンが生きている。それが分かっただけで安心して、涙が出て来る。
「本当に、ほんどによかっだよぉ……。ひっく、わ、わだしのせいでっ、ヴェンが死んじゃったって……」
「アリシアのせいなんかじゃない。アリシアは俺達を守ろうとしてくれたんだろう? 俺達が立て直せるように、少しでも時間を稼ごうとしてくれたんだろう? 」
そっとヴェンの手が私の頭を撫でる。そして、私は優しく彼の胸の中へ。
「ありがとう。アリシア。君のおかげで俺達は助かったんだ」
「う、うううっ……、うええっ……!」
ヴェンの温かさが鼓動が私を包む。本当に生きているんだ。よかった……、よかったよ……!
私は泣き続けた。ヴェンに縋りつき、大声で、まるで赤ん坊の様に。私が泣き止むまでヴェンは優しく抱き締め、撫でていてくれた。
「うううっ、ひっく……。……ひっく。…………」
私はようやく泣き止んだ。そして、ようやくヴェンに抱き締められていたことに気づいた。
冷静になってくると、急に恥ずかしくなってきた。抱き締められてたこともそうだけど、人の目も気にせず盛大に泣いたことがものすごく恥ずかしい。あんなに泣いたこと自体初めてなのに。
「…………ん」
「うん? 落ち着いたか、アリシア?」
ぐいっとヴェンの胸を押して離れる。やばい、まともに顔も見れない。それに見せられる顔じゃない。
『終わったのか? お二人さん』
「カーバンクル……」
ニヤニヤしながら近づいてくるカーバンクル。ムカつく、よりも無事でよかった。まだダメージはありそうだけど、無事であることが分かり安心する。
『ニャッハハ! ぐっちゃぐちゃじゃないか! お前の顔!』
「……うるさい」
前言撤回。やっぱりムカつくな、この猫は。小憎たらしいなもう。
『それよりほら。奥のあそこにあったぜ。鍵』
カーバンクルが指した方向には小さな台座があった。急いで顔を拭い、皆と台座の元へ。
「青い鍵……」
台座の上にあったのは青い鍵。ヴェンが持っていた鍵と同じ形で色が青い。
「……さあ、アリシア。手に取ってみてくれ」
「……うん」
私は台座へ手を伸ばす。そして、鍵に触れた。
こ、これはっ……!
『なんだ? 何が見えたんだ?』
「……緑の猿?」
『緑の猿? ……他には?』
「……森?」
『森……。他は?』
「……分かんない」
見えたのは緑色の猿。背景が恐らく森。すごく木が生い茂っていた。それ以外よく分からなかった。
『……それ何も分からなくないか?』
「……そう言われても。あっ、でも、緑色の鍵持ってたよ」
尻尾に緑色の鍵が見えた気がする。
それ以外は、確かにほとんど分かってないけどさ。私に言われても困るんだけど。
「まあ、いいじゃないか。焦ることはない。まずは、この勝利を喜ぼうではないか!」
ヴェンはハッハッハッと笑い飛ばす。まあ、確かに急いでる訳でもないし、ゆっくりやればいいか。
『……それもそうだな。とりあえず、腹減ったぞ! 美味い飯寄越せよ!』
「もちろんさ! さあ、帰って宴にしよう!」
私達は青い鍵を手に入れた。
でも、これは始まりに過ぎなかった。
この時の私達はまだそれを知らなかった。
何度呼んでも反応は無い。私を押し飛ばし、救ってくれたヴェン。だが、彼はその拳の下敷きとなった。
番人の拳が地面から持ち上がる。その拳は赤く染まり、大量の赤い液体がしたたっていた。
「あっ……。あ、ああああっ……!」
私のせいだ。私が無理に押し返そうとなんて考えたから。無理せず、避けて体勢を整えていたら。
きっと、ヴェンは死ななかったのに。
『アリシア! しっかりしろ!』
呆然と座り込んだ私へ、番人は拳を振るう。避けることも何もしない私を守るために、カーバンクルがその拳を受け止める。壁に打ち付けられ、壁にもたれかからないと立てないぐらいなのに、私の為に。
『ぐううっ……。早く、長くは持たないっ……!』
番人の攻撃は重い。いくらカーバンクルでも長くは受けきれない。分かっている。分かっているけど、足が動かない。
「だ、だれか、誰か来て……!」
コンコン、コンコンと何度も地面をノックする。しかし、誰もそれに応えてはくれない。
頭が働かない。誰を呼んでいいのか、今誰を呼んでいるのかすら分からない。ただ、震える手でひたすら地面を叩く。
でも、誰も来ない。
『うううっ、ぐにゃあ! アリシア!』
「あっ……」
カーバンクルのサイコキネシスが弾かれる。止まっていた巨大な拳が再び動き出す。私を潰そうと迫る。
誰も呼べないし、まだ立つことすら出来ていない。
私、死ぬんだ。
あんなに速かった拳がゆっくりに見える。でも、私が早く動ける訳でもない。もう避けられない。
ごめんね、二人とも。私のせいで。
カーバンクル、頑張って逃げてね。あんたなら大丈夫だよね。
ヴェン、私のせいでごめんね。許されないだろうけど、謝りたい。私ももうそっちへ行くから。
目を瞑る。これから来る痛みを。これから来る死を受け入れるしかなかった。
……でも、それは来なかった。
代わりに感じるのは温かな熱。
そして、目を開けると、そこには、
「心配かけたな。だが、安心してくれ。俺の炎はこの程度で消えやしない。何度でも燃え上がるのさ!」
燃え盛る炎を纏ったヴェンの姿があった。
「はぁああ!!」
ヴェンが番人の拳を弾き返す。拳を弾き返された番人は大きくのけ反り、後退する。
「ヴェン!? なんで……!?」
「話は後だ。立てるかアリシア」
スッと私へ差し出された手。戸惑いながらその手を握る。私の手よりも大きく、硬い手は今、確かに私の手を握っている。私へ立ち上がる力をくれる。
「ラストダンスといこうじゃないか! 共に舞おう、アリシア!」
ヴェンは巨大な炎を纏い、番人へ突っ込む。その姿はまるで巨大な炎の鳥。その燃え盛る炎が番人を飲み込む。超高温の炎にもがき苦しむ番人。だが、炎は番人を拘束し、決して逃さない。
「さあ、クライマックスだ!」
炎によって拘束された番人。超高温の炎により体に歪みが出てきている。それなら、更なる炎で破壊する。
「来て! サラマンダー!!」
地面を叩く。
そして、現れるは、炎の化身たる竜、サラマンダー。
「燃やし尽くせ! 紅蓮の炎よ!!」
ヴェンが番人から離れる。しかし、炎は消えることなく番人を燃やし続ける。その上から更にサラマンダーの炎が包みこんだ。全てを焼き尽くすその炎は、対象が燃え尽きるまで決して消えることは無い。
炎は勢い衰えることなく燃え盛る。炎から逃れようともがいていた番人。しかし、徐々に動きが鈍くなり、そして、遂に番人は倒れ動かなくなった。
「倒、した……?」
番人は倒れたまま動かない。倒せた? 私達の勝ち?
「あっ! ヴェン! ヴェン! 大丈夫!?」
私は急いでヴェンへと駆け寄る。
「ああ、アリシア。問題ないさ」
「問題ないって、あんなぐしゃって……」
ヴェンは確かに番人の拳により、つ、潰れてしまったはず……。
「本当に? 本当に大丈夫なの?」
「大丈夫。どこも問題ないだろ?」
上から下まで隈無くヴェンを確認する。あんなに血が出てたのに、今は一滴たりともその後が見えない。ヴェンも服も全て傷一つ無いように見える。
「なんで……?」
「俺は不死なんだ。死んでも死なないのさ」
不死? 死んでも死なない?
「それってどういうこと……?」
「ん? まあ、そういう体質だと思ってくれ」
体質? そんな体質あるの? だって、死なないなんてそんなのおかしい。生きてるなら誰だっていつかは死ん……
ふいに手に熱を感じた。温かな熱を。そして、確かな鼓動を。
「ほら。感じるだろ? 俺の鼓動を」
私の手を取り、自分の胸に当てるヴェン。手から感じるヴェンの鼓動。それは優しく、だけど、力強い鼓動と共に燃え盛る生命の熱。
「俺はちゃんと生きているぞ」
ヴェンは、ヴェンは生きている。手のひらから伝わるこの熱、この鼓動は間違いなく生きている証。本当に……、本当に生きているんだ……!
「……よかった。よかっ、ううっ……よがっだよお……!」
ヴェンが生きている。それが分かっただけで安心して、涙が出て来る。
「本当に、ほんどによかっだよぉ……。ひっく、わ、わだしのせいでっ、ヴェンが死んじゃったって……」
「アリシアのせいなんかじゃない。アリシアは俺達を守ろうとしてくれたんだろう? 俺達が立て直せるように、少しでも時間を稼ごうとしてくれたんだろう? 」
そっとヴェンの手が私の頭を撫でる。そして、私は優しく彼の胸の中へ。
「ありがとう。アリシア。君のおかげで俺達は助かったんだ」
「う、うううっ……、うええっ……!」
ヴェンの温かさが鼓動が私を包む。本当に生きているんだ。よかった……、よかったよ……!
私は泣き続けた。ヴェンに縋りつき、大声で、まるで赤ん坊の様に。私が泣き止むまでヴェンは優しく抱き締め、撫でていてくれた。
「うううっ、ひっく……。……ひっく。…………」
私はようやく泣き止んだ。そして、ようやくヴェンに抱き締められていたことに気づいた。
冷静になってくると、急に恥ずかしくなってきた。抱き締められてたこともそうだけど、人の目も気にせず盛大に泣いたことがものすごく恥ずかしい。あんなに泣いたこと自体初めてなのに。
「…………ん」
「うん? 落ち着いたか、アリシア?」
ぐいっとヴェンの胸を押して離れる。やばい、まともに顔も見れない。それに見せられる顔じゃない。
『終わったのか? お二人さん』
「カーバンクル……」
ニヤニヤしながら近づいてくるカーバンクル。ムカつく、よりも無事でよかった。まだダメージはありそうだけど、無事であることが分かり安心する。
『ニャッハハ! ぐっちゃぐちゃじゃないか! お前の顔!』
「……うるさい」
前言撤回。やっぱりムカつくな、この猫は。小憎たらしいなもう。
『それよりほら。奥のあそこにあったぜ。鍵』
カーバンクルが指した方向には小さな台座があった。急いで顔を拭い、皆と台座の元へ。
「青い鍵……」
台座の上にあったのは青い鍵。ヴェンが持っていた鍵と同じ形で色が青い。
「……さあ、アリシア。手に取ってみてくれ」
「……うん」
私は台座へ手を伸ばす。そして、鍵に触れた。
こ、これはっ……!
『なんだ? 何が見えたんだ?』
「……緑の猿?」
『緑の猿? ……他には?』
「……森?」
『森……。他は?』
「……分かんない」
見えたのは緑色の猿。背景が恐らく森。すごく木が生い茂っていた。それ以外よく分からなかった。
『……それ何も分からなくないか?』
「……そう言われても。あっ、でも、緑色の鍵持ってたよ」
尻尾に緑色の鍵が見えた気がする。
それ以外は、確かにほとんど分かってないけどさ。私に言われても困るんだけど。
「まあ、いいじゃないか。焦ることはない。まずは、この勝利を喜ぼうではないか!」
ヴェンはハッハッハッと笑い飛ばす。まあ、確かに急いでる訳でもないし、ゆっくりやればいいか。
『……それもそうだな。とりあえず、腹減ったぞ! 美味い飯寄越せよ!』
「もちろんさ! さあ、帰って宴にしよう!」
私達は青い鍵を手に入れた。
でも、これは始まりに過ぎなかった。
この時の私達はまだそれを知らなかった。
53
あなたにおすすめの小説
聖女なのに王太子から婚約破棄の上、国外追放って言われたけど、どうしましょう?
もふっとしたクリームパン
ファンタジー
王城内で開かれたパーティーで王太子は宣言した。その内容に聖女は思わず声が出た、「え、どうしましょう」と。*世界観はふわっとしてます。*何番煎じ、よくある設定のざまぁ話です。*書きたいとこだけ書いた話で、あっさり終わります。*本編とオマケで完結。*カクヨム様でも公開。
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く
腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」
――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。
癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。
居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。
しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。
小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。
婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」
チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。
だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。
魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。
だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。
追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。
訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。
そして助けた少女は、実は王国の姫!?
「もう面倒ごとはごめんだ」
そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。
本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?
今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。
バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。
追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。
シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。
聖女を追放した国が滅びかけ、今さら戻ってこいは遅い
タマ マコト
ファンタジー
聖女リディアは国と民のために全てを捧げてきたのに、王太子ユリウスと伯爵令嬢エリシアの陰謀によって“無能”と断じられ、婚約も地位も奪われる。
さらに追放の夜、護衛に偽装した兵たちに命まで狙われ、雨の森で倒れ込む。
絶望の淵で彼女を救ったのは、隣国ノルディアの騎士団。
暖かな場所に運ばれたリディアは、初めて“聖女ではなく、一人の人間として扱われる優しさ”に触れ、自分がどれほど疲れ、傷ついていたかを思い知る。
そして彼女と祖国の運命は、この瞬間から静かにすれ違い始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる