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19話 誰かこいつら止めて!
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『ほう。あれが噂の彼ですの』
『そう。あれが噂の彼なんだぜ』
「………………」
飛び出した二人はある建物の角で止まって、そこから隠れてその先を見ていた。その先にはもちろん、噂の彼が。
「いいとも! お安い御用さ!」
大勢の人に囲まれているヴェンがいた。
『整った顔に、爽やかな笑顔、細身でありながら要所要所で主張してくる筋肉。……いいですわ!』
取り出したメモに嬉々として書き込んでいくリリィ。そんな目を輝せて書くようなことある?
『顔良し、体良し、声も良し。後は、中身ですわ。カーバンクル、彼の情報くださいまし』
『了解。あいつはヴェンニクス=アルト。世界で数人しかいないSランク冒険者でありながら、格安で便利屋もやってる。街の皆からも評判がよく、人気者なんだぜ。二十代ぐらいに見えるが、不死らしく長い時間を生きてきたらしい』
『ふむふむ。力がありながらそれに驕ることなく、見た目は若く見えるが成熟した殿方ということですわね』
ふむふむと熱心にメモを取るリリィ。こいつら、変に意気投合しやがって。
『あとは甘党みたいで、暇な時は色んなお菓子屋やカフェを巡ってるらしいぜ』
『甘いの大好き甘々男子ですわね。顔も甘い、性格も甘い、好物も甘い。普段は甘い尽くしの彼。でも、夜になると豹変するのですわ。その甘い声から発せられる嗜虐の言葉。甘かった顔は獲物へ狙いを定めた獣の顔へと。その豹変ぶりに驚きながらも、アリシアは頬を紅潮させ、『そんなあな……』
「もういいって」
カーバンクルも止めなよ。こいつ放っておいたら止まらないでしょ。
『……たも好きっ!』と彼の全てを受け入れるのですわ』
「まだ続けるの!?」
もう終わってよ! 今止めたじゃん! なんでそこで続けるのさ!
『おっ、対象に動きがあったぞ。行くぞリリィ』
『はいですわ!』
「もう止めようよぉ……」
私の願いなど無視して二人は移動してしまった。
『ふむふむ。だいたい彼のことが把握出来ましたわ』
結局、一日中ヴェンの後をつけていた私達。もう立派なストーカーじゃん……。
『彼は文句のつけようのないぐらい素晴らしいお方ですわね』
一日中ヴェンの後をつけていたけど、確かにその一言に尽きる。
『どんな依頼も嫌な顔せず、むしろ進んでやる。その性格、爽やかさで誰からも愛される人格者。非の打ち所がない、パーフェクトですわ』
ヴェンは今日便利屋として、複数の依頼を受けていた。足の悪いお婆さんの為に買い出しや、高い木の剪定作業、犬達の散歩代行など、およそSランクの冒険者が受けるような内容でないものをひたすらこなしていた。そして、そのすべての依頼者が笑顔でヴェンにお礼を言っていた。
『その様な方と小さな小屋で一夜を共にし、生死をかけた戦いまで共にしているなんて! やっぱりきてますわ!』
「だから、別にそんなんじゃないって……」
カーバンクルにも言ったけど、そんなんじゃないって。確かに、一夜を共にしたとも言えるけど、ただ寝ただけだし! それもそれぞれ違うベッドで! 何も起きてないし! カーバンクルもいたし!
『……ですが、後一つ知らないといけないことがありますわ』
「ええ……。もういいよ。帰ろうよ……」
もう十分だよ。もう十分立派なストーカーだよ。
『駄目ですわ! しかし、これを知るには……、行くしか、ないですわ!』
「は? え? ちょっと!?」
隠れて観察していたのに、リリィが突然走り出す。その先にはヴェンがいるのに!?
『ヴェンニクス様! ちょっとお時間よろしいでしょうか!?』
なんで話しかけてるの!?
「うん? 君は?」
『わたくしはリリィですわ!』
「リリィか。俺はヴェンニクス=アルト。便利屋をしている。よろしくな!」
『はい! よろしくですわ!』
いや、よろしくじゃないんだけど!?
「ん? おお! アリシアにカーバンクルじゃないか! こんな所で奇遇だな!」
「う、うん。キグウダネー」
リリィが飛び出して行ったので、思わずその後を追いかける。すると当然ヴェンに見つかる。
すごーい。ぐうぜーん。きぐうだねー。一日中尾行なんかしてないよー?
『ヴェンニクス様! お聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?』
「聞きたいこと? ああ! 何でも聞いてくれ!」
ちょっとリリィ、変なこと聞かな……
『では、ズバリ! アリシアのことをどう思ってますの!?』
「はぉぅあああああぁぁぁっ!??」
なに聞いてんじゃこのバカは!?
「アリシアのこと? そうだな……。彼女は自分の芯を持った良い人だと思うぞ」
真面目に答えなくていいから!
『なるほど。確かに、アリシアはマイペースで自己中なところがありますわね』
あんたなんか湾曲してない!?
「ハハッ。それも良い所さ。それにそれだけじゃなくて、しっかり周りを見ていて、合わせようとする所もあるぞ」
ちょっともう止めて! 恥ずかしいから! っていうか、なんでこいつら本人の目の前で普通にそんな事言えるの!?
『ふむふむ。では、アリシアのことをす……』
「もうちょっとリリィ黙ってえ!!!」
無理矢理リリィの口を塞ぐ。もう耐えきれない! なんで目の前でこんなことされないといけないの!? 私への嫌がらせ!?
『もめままみいももろめすのみ』
「これからいいところじゃないんだよ! こっちはもういっぱいいっぱいなんだよぉ!」
何がこれからいいところですのにだよ! もう無理だよ! 限界だよ! 顔から火が出るよ!
「ハハハ。仲がいいんだなあの二人は」
『まあ、あいつ精霊だしな』
「なに? 精霊だったのか。いったい何の精霊なんだ?」
『お菓子の精霊』
「お菓子!? なんと、お菓子か! それはぜひ話をしてみたいな!」
『クッキー作りが終わった後ならいいんじゃないか』
「なに? クッキーを作っているのか?」
『そう。アリシアがヴェンにあげるんだってよ』
「俺に?」
『…………あ』
もうこのバカ帰ってもらおうかな!? いらんことばっか言って、とんでもないこと……
『……アリシア』
え? なにカーバンクル?
『ごめん。ヴェンに言っちゃった』
「は? 何を?」
『アリシアがクッキー作って、ヴェンにあげること』
「はああああぁ!?」
このアホ猫おおぉ!? あんたも何してくれてんの!?
「あの、その、ち、違うの、いや、違わないんだけど、その、えーとえーと、クッキーまだ出来てないの!」
それはそうだ。
「じゃなくて、その、この前杖貰って、調査の時も色々ご迷惑をおかけいたしましたので、その、お礼、お詫びというか……」
あたふたと色々言ってるが伝わってるんだろうか。なんか何一つ伝わってない気がする。
「えっと、その、自分で作ろうとしたんだけど、上手く出来なくて……。リリィに教えて貰って作ろうとしたんだけど、ちょっとリリィに……じゃなくて、レシピに問題があって、それで、ヴェ、ヴェンの好みとか聞こうかなってことになって……」
嘘じゃない、はず。直接聞く気はなかったけれども。
「……そうか。そんなの気にしなくていいのに」
あっ……。これ遠回しに要らないって言われたのかな。……そっか。迷惑だったかな。
「だが、アリシアが作ってくれるなら、その、食べてみたいな。作ってくれないか?」
ヴェンがはにかみながらこちらを見てくる。嫌じゃないの……? 作っていいの?
「う、うん! 作る、作るよ!」
よかった……! じゃあ、頑張って作るよ! 美味しいって言ってもらえるに頑張るよ!
『……お前、何も言わないんだな』
『ちょっと黙ってくださいまし。今二人の未来を思い描くので忙しいですの。あっ、三人目が産まれましたわ』
『……あっそ』
『そう。あれが噂の彼なんだぜ』
「………………」
飛び出した二人はある建物の角で止まって、そこから隠れてその先を見ていた。その先にはもちろん、噂の彼が。
「いいとも! お安い御用さ!」
大勢の人に囲まれているヴェンがいた。
『整った顔に、爽やかな笑顔、細身でありながら要所要所で主張してくる筋肉。……いいですわ!』
取り出したメモに嬉々として書き込んでいくリリィ。そんな目を輝せて書くようなことある?
『顔良し、体良し、声も良し。後は、中身ですわ。カーバンクル、彼の情報くださいまし』
『了解。あいつはヴェンニクス=アルト。世界で数人しかいないSランク冒険者でありながら、格安で便利屋もやってる。街の皆からも評判がよく、人気者なんだぜ。二十代ぐらいに見えるが、不死らしく長い時間を生きてきたらしい』
『ふむふむ。力がありながらそれに驕ることなく、見た目は若く見えるが成熟した殿方ということですわね』
ふむふむと熱心にメモを取るリリィ。こいつら、変に意気投合しやがって。
『あとは甘党みたいで、暇な時は色んなお菓子屋やカフェを巡ってるらしいぜ』
『甘いの大好き甘々男子ですわね。顔も甘い、性格も甘い、好物も甘い。普段は甘い尽くしの彼。でも、夜になると豹変するのですわ。その甘い声から発せられる嗜虐の言葉。甘かった顔は獲物へ狙いを定めた獣の顔へと。その豹変ぶりに驚きながらも、アリシアは頬を紅潮させ、『そんなあな……』
「もういいって」
カーバンクルも止めなよ。こいつ放っておいたら止まらないでしょ。
『……たも好きっ!』と彼の全てを受け入れるのですわ』
「まだ続けるの!?」
もう終わってよ! 今止めたじゃん! なんでそこで続けるのさ!
『おっ、対象に動きがあったぞ。行くぞリリィ』
『はいですわ!』
「もう止めようよぉ……」
私の願いなど無視して二人は移動してしまった。
『ふむふむ。だいたい彼のことが把握出来ましたわ』
結局、一日中ヴェンの後をつけていた私達。もう立派なストーカーじゃん……。
『彼は文句のつけようのないぐらい素晴らしいお方ですわね』
一日中ヴェンの後をつけていたけど、確かにその一言に尽きる。
『どんな依頼も嫌な顔せず、むしろ進んでやる。その性格、爽やかさで誰からも愛される人格者。非の打ち所がない、パーフェクトですわ』
ヴェンは今日便利屋として、複数の依頼を受けていた。足の悪いお婆さんの為に買い出しや、高い木の剪定作業、犬達の散歩代行など、およそSランクの冒険者が受けるような内容でないものをひたすらこなしていた。そして、そのすべての依頼者が笑顔でヴェンにお礼を言っていた。
『その様な方と小さな小屋で一夜を共にし、生死をかけた戦いまで共にしているなんて! やっぱりきてますわ!』
「だから、別にそんなんじゃないって……」
カーバンクルにも言ったけど、そんなんじゃないって。確かに、一夜を共にしたとも言えるけど、ただ寝ただけだし! それもそれぞれ違うベッドで! 何も起きてないし! カーバンクルもいたし!
『……ですが、後一つ知らないといけないことがありますわ』
「ええ……。もういいよ。帰ろうよ……」
もう十分だよ。もう十分立派なストーカーだよ。
『駄目ですわ! しかし、これを知るには……、行くしか、ないですわ!』
「は? え? ちょっと!?」
隠れて観察していたのに、リリィが突然走り出す。その先にはヴェンがいるのに!?
『ヴェンニクス様! ちょっとお時間よろしいでしょうか!?』
なんで話しかけてるの!?
「うん? 君は?」
『わたくしはリリィですわ!』
「リリィか。俺はヴェンニクス=アルト。便利屋をしている。よろしくな!」
『はい! よろしくですわ!』
いや、よろしくじゃないんだけど!?
「ん? おお! アリシアにカーバンクルじゃないか! こんな所で奇遇だな!」
「う、うん。キグウダネー」
リリィが飛び出して行ったので、思わずその後を追いかける。すると当然ヴェンに見つかる。
すごーい。ぐうぜーん。きぐうだねー。一日中尾行なんかしてないよー?
『ヴェンニクス様! お聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?』
「聞きたいこと? ああ! 何でも聞いてくれ!」
ちょっとリリィ、変なこと聞かな……
『では、ズバリ! アリシアのことをどう思ってますの!?』
「はぉぅあああああぁぁぁっ!??」
なに聞いてんじゃこのバカは!?
「アリシアのこと? そうだな……。彼女は自分の芯を持った良い人だと思うぞ」
真面目に答えなくていいから!
『なるほど。確かに、アリシアはマイペースで自己中なところがありますわね』
あんたなんか湾曲してない!?
「ハハッ。それも良い所さ。それにそれだけじゃなくて、しっかり周りを見ていて、合わせようとする所もあるぞ」
ちょっともう止めて! 恥ずかしいから! っていうか、なんでこいつら本人の目の前で普通にそんな事言えるの!?
『ふむふむ。では、アリシアのことをす……』
「もうちょっとリリィ黙ってえ!!!」
無理矢理リリィの口を塞ぐ。もう耐えきれない! なんで目の前でこんなことされないといけないの!? 私への嫌がらせ!?
『もめままみいももろめすのみ』
「これからいいところじゃないんだよ! こっちはもういっぱいいっぱいなんだよぉ!」
何がこれからいいところですのにだよ! もう無理だよ! 限界だよ! 顔から火が出るよ!
「ハハハ。仲がいいんだなあの二人は」
『まあ、あいつ精霊だしな』
「なに? 精霊だったのか。いったい何の精霊なんだ?」
『お菓子の精霊』
「お菓子!? なんと、お菓子か! それはぜひ話をしてみたいな!」
『クッキー作りが終わった後ならいいんじゃないか』
「なに? クッキーを作っているのか?」
『そう。アリシアがヴェンにあげるんだってよ』
「俺に?」
『…………あ』
もうこのバカ帰ってもらおうかな!? いらんことばっか言って、とんでもないこと……
『……アリシア』
え? なにカーバンクル?
『ごめん。ヴェンに言っちゃった』
「は? 何を?」
『アリシアがクッキー作って、ヴェンにあげること』
「はああああぁ!?」
このアホ猫おおぉ!? あんたも何してくれてんの!?
「あの、その、ち、違うの、いや、違わないんだけど、その、えーとえーと、クッキーまだ出来てないの!」
それはそうだ。
「じゃなくて、その、この前杖貰って、調査の時も色々ご迷惑をおかけいたしましたので、その、お礼、お詫びというか……」
あたふたと色々言ってるが伝わってるんだろうか。なんか何一つ伝わってない気がする。
「えっと、その、自分で作ろうとしたんだけど、上手く出来なくて……。リリィに教えて貰って作ろうとしたんだけど、ちょっとリリィに……じゃなくて、レシピに問題があって、それで、ヴェ、ヴェンの好みとか聞こうかなってことになって……」
嘘じゃない、はず。直接聞く気はなかったけれども。
「……そうか。そんなの気にしなくていいのに」
あっ……。これ遠回しに要らないって言われたのかな。……そっか。迷惑だったかな。
「だが、アリシアが作ってくれるなら、その、食べてみたいな。作ってくれないか?」
ヴェンがはにかみながらこちらを見てくる。嫌じゃないの……? 作っていいの?
「う、うん! 作る、作るよ!」
よかった……! じゃあ、頑張って作るよ! 美味しいって言ってもらえるに頑張るよ!
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