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第一章
さあ、出発だ!
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あー、もう。新しいパーティーでの初仕事の比日なのに、ベルムさんのおかげで最悪な気分だ。
大体、何なんだよ、あのパーティーだけはダメだ、っていうのは?
たしかに、あいつらの実力は、ベルムさんのパーティーに比べたらまだまだだ。それでも、僕をパーティーに入れて、戦力を補強しようとしてるのに……。
「フォルテ! 待たせたな!」
「フォルテ、おっ待たせー!」
「お待たせいたしました、フォルテさん」
気がつくと、マルスたちが戻ってきていた。
「あ、お帰り、みんな」
「ん? どうしたんだ、フォルテ。なんか浮かない顔してんな?」
マルスが眉をひそめながら首を傾げる。
「大丈夫? 緊張して、お腹痛くなっちゃった?」
「依頼に出られないくらい、体調が悪くなってしまったのですか?」
続いて、ヘレナとアメリアも不安そうな表情を浮かべる。僕のことを頼ってくれてるヤツらに、あんまり心配かけるわけにはいかないか。
「いや、別に大したことじゃないよ。ただ、さっきベルムさんに、バッタリ会っちゃって」
「ベルムさんに……、会った?」
「フォルテが前いたパーティーの……、リーダーさんだよね?」
「あの、王都最強パーティーの代表の方ですか……」
三人の顔は、なぜかますます不安げになっていった。
一体、どうしたんだ? ベルムさんに会ったってだけで、三人に不都合は……、あ、そうか。
「大丈夫だよ。戻ってこいって話はなかったし、もしも、頼まれてたって……」
「じゃあ、どんな話をしてたんだよ!?」
「わっ!?」
マルスが上げ大声のせいで、周囲の視線がこっちに集まった。一体、急に何なんだよ……?
「あ……、悪い。せっかくお前が入ってくれたのに、元のパーティーに戻るとか言われたら、どうしようかと思って……」
「あははは、マルスは心配性だな。別に、いまさらあのパーティーに戻るつもりはないよ」
「そうか……」
「うん。なんか、相当目の敵にされちゃったみたいで、このパーティーをすぐに抜けろ、とか脅されたけど……、ちゃんと、追い払ったから」
本当は追い払ったというか、勝手にどっかに行ったんだけど……、三人が安心してるからいいか。
「そうか、それなら良かった! しっかし、フォルテはすごいな。あのベルムさんに脅されても、ちゃんと言い返せるなんて!」
「本当、本当! アタシなら、絶対にびびっちゃうもん!」
「どなたに対しても毅然に振る舞えるなんて、フォルテさんはやっぱり素敵です……」
……うん、やっぱりコイツらは本当に、素直で良いやつらだ。
「まあ、ベルムさんの威圧的な態度には、慣れてるからね。それよりも、早く依頼に向かおう。僕がいれば、絶対に依頼は成功するから!」
「おう! 頼りにしてるぜ、フォルテ!」
「うん! 期待してるよ、フォルテ!」
「フォルテさんなら、絶対に活躍してくださいますよ!」
……コイツらと一緒なら、僕も実力を充分発揮できそうだ。たとえ、依頼場所があの「魔の森」だとしても。
それから、僕らはギルドを出て、「魔の森」の入り口にたどり着いた。
奇妙な形をした木々の葉が日光をさえぎり、足下にシダ植物が鬱蒼と繁る森。
奥からは、ギャアギャアという鳴き声が絶えず聞こえてくる。
周りの季節に関係なく、いつもジメジメと蒸し暑い。
……王都からそれほど離れていない場所にあるのに、いつ来ても異様な場所だ。
「ここも、俺らが子供のころは、普通の森だったのになぁ……」
「うん、そうだよね。でも、どっかのパーティーが、奥にある遺跡の攻略に失敗してこうなったんだよね……」
「そのパーティーのメンバーは、全員むごたらしい最期を迎えたんでしたっけ……」
マルス、ヘレナ、アメリアはそう言うと、同時に半歩後ずさった。まあ、弱小パーティーなら、不安になるのも仕方がないか。でも、不安になりすぎて、サポートが雑になられても困るな……。よし、ここは、僕が活を入れてやるとしようか。
「そんなに、ビクビクするなって! ほら、この僕が一緒だから、大丈夫だよ!」
僕の言葉に、三人は笑顔を浮かべた。
「ああ、そうだな!」
「そうだね、そ、そのために、フォルテに来てもらったんだからね!」
「ええ、そうでしたね。フォルテさんがいれば、あ、安心ですよね!」
うん。まだ、ちょっと緊張してるみたいだけど、気力は戻ったみたいだ。これなら、あいつらでも、しっかりサポートができるはずだ。
それから、マルスを先頭に、森の中に足を踏み入れた。
なるべく足音を立てないよう、慎重に獣道を進む。
「おい、みんな止まれ、いたぞ……」
マルスに指示され、足を止めて指さされた方向に顔を向ける。
鋭い足の爪。
ウロコに覆われた脚。
白い羽毛に覆われた身体。
腕の代わりに生えた、小さな翼。
とさかの生えた頭には、鋭い牙が生えたクチバシがついている。
そんな姿のモンスターが二十匹近く、少し開けた場所に集まっていた。
「うん、間違い無い。テラストリアルワイバーンだね……」
「ええ、いつ見ても恐ろしいですね……」
ヘレナとアメリアが震えた小声でそう言いながら、頷き合う。
「大丈夫だよ二人とも、あいつらは魔術を使わないかぎり、襲ってこないから」
僕の言葉に、マルスも、ああ、と言いながら頷いて、剣と革製の円い盾を構えた。
「だからまずは、あいつらを集めるために……、フォルテ、頼んだぞ」
「……ああ、任せてくれ」
サポートさえちゃんとしてれば、中型モンスターの群れなんて、僕の敵じゃないんだから。
大体、何なんだよ、あのパーティーだけはダメだ、っていうのは?
たしかに、あいつらの実力は、ベルムさんのパーティーに比べたらまだまだだ。それでも、僕をパーティーに入れて、戦力を補強しようとしてるのに……。
「フォルテ! 待たせたな!」
「フォルテ、おっ待たせー!」
「お待たせいたしました、フォルテさん」
気がつくと、マルスたちが戻ってきていた。
「あ、お帰り、みんな」
「ん? どうしたんだ、フォルテ。なんか浮かない顔してんな?」
マルスが眉をひそめながら首を傾げる。
「大丈夫? 緊張して、お腹痛くなっちゃった?」
「依頼に出られないくらい、体調が悪くなってしまったのですか?」
続いて、ヘレナとアメリアも不安そうな表情を浮かべる。僕のことを頼ってくれてるヤツらに、あんまり心配かけるわけにはいかないか。
「いや、別に大したことじゃないよ。ただ、さっきベルムさんに、バッタリ会っちゃって」
「ベルムさんに……、会った?」
「フォルテが前いたパーティーの……、リーダーさんだよね?」
「あの、王都最強パーティーの代表の方ですか……」
三人の顔は、なぜかますます不安げになっていった。
一体、どうしたんだ? ベルムさんに会ったってだけで、三人に不都合は……、あ、そうか。
「大丈夫だよ。戻ってこいって話はなかったし、もしも、頼まれてたって……」
「じゃあ、どんな話をしてたんだよ!?」
「わっ!?」
マルスが上げ大声のせいで、周囲の視線がこっちに集まった。一体、急に何なんだよ……?
「あ……、悪い。せっかくお前が入ってくれたのに、元のパーティーに戻るとか言われたら、どうしようかと思って……」
「あははは、マルスは心配性だな。別に、いまさらあのパーティーに戻るつもりはないよ」
「そうか……」
「うん。なんか、相当目の敵にされちゃったみたいで、このパーティーをすぐに抜けろ、とか脅されたけど……、ちゃんと、追い払ったから」
本当は追い払ったというか、勝手にどっかに行ったんだけど……、三人が安心してるからいいか。
「そうか、それなら良かった! しっかし、フォルテはすごいな。あのベルムさんに脅されても、ちゃんと言い返せるなんて!」
「本当、本当! アタシなら、絶対にびびっちゃうもん!」
「どなたに対しても毅然に振る舞えるなんて、フォルテさんはやっぱり素敵です……」
……うん、やっぱりコイツらは本当に、素直で良いやつらだ。
「まあ、ベルムさんの威圧的な態度には、慣れてるからね。それよりも、早く依頼に向かおう。僕がいれば、絶対に依頼は成功するから!」
「おう! 頼りにしてるぜ、フォルテ!」
「うん! 期待してるよ、フォルテ!」
「フォルテさんなら、絶対に活躍してくださいますよ!」
……コイツらと一緒なら、僕も実力を充分発揮できそうだ。たとえ、依頼場所があの「魔の森」だとしても。
それから、僕らはギルドを出て、「魔の森」の入り口にたどり着いた。
奇妙な形をした木々の葉が日光をさえぎり、足下にシダ植物が鬱蒼と繁る森。
奥からは、ギャアギャアという鳴き声が絶えず聞こえてくる。
周りの季節に関係なく、いつもジメジメと蒸し暑い。
……王都からそれほど離れていない場所にあるのに、いつ来ても異様な場所だ。
「ここも、俺らが子供のころは、普通の森だったのになぁ……」
「うん、そうだよね。でも、どっかのパーティーが、奥にある遺跡の攻略に失敗してこうなったんだよね……」
「そのパーティーのメンバーは、全員むごたらしい最期を迎えたんでしたっけ……」
マルス、ヘレナ、アメリアはそう言うと、同時に半歩後ずさった。まあ、弱小パーティーなら、不安になるのも仕方がないか。でも、不安になりすぎて、サポートが雑になられても困るな……。よし、ここは、僕が活を入れてやるとしようか。
「そんなに、ビクビクするなって! ほら、この僕が一緒だから、大丈夫だよ!」
僕の言葉に、三人は笑顔を浮かべた。
「ああ、そうだな!」
「そうだね、そ、そのために、フォルテに来てもらったんだからね!」
「ええ、そうでしたね。フォルテさんがいれば、あ、安心ですよね!」
うん。まだ、ちょっと緊張してるみたいだけど、気力は戻ったみたいだ。これなら、あいつらでも、しっかりサポートができるはずだ。
それから、マルスを先頭に、森の中に足を踏み入れた。
なるべく足音を立てないよう、慎重に獣道を進む。
「おい、みんな止まれ、いたぞ……」
マルスに指示され、足を止めて指さされた方向に顔を向ける。
鋭い足の爪。
ウロコに覆われた脚。
白い羽毛に覆われた身体。
腕の代わりに生えた、小さな翼。
とさかの生えた頭には、鋭い牙が生えたクチバシがついている。
そんな姿のモンスターが二十匹近く、少し開けた場所に集まっていた。
「うん、間違い無い。テラストリアルワイバーンだね……」
「ええ、いつ見ても恐ろしいですね……」
ヘレナとアメリアが震えた小声でそう言いながら、頷き合う。
「大丈夫だよ二人とも、あいつらは魔術を使わないかぎり、襲ってこないから」
僕の言葉に、マルスも、ああ、と言いながら頷いて、剣と革製の円い盾を構えた。
「だからまずは、あいつらを集めるために……、フォルテ、頼んだぞ」
「……ああ、任せてくれ」
サポートさえちゃんとしてれば、中型モンスターの群れなんて、僕の敵じゃないんだから。
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