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本編
day 28
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なんだか頭が痛くて身体が重だるい。正直、この日記を書くのもしんどいくらいだ。
そろそろヒートが近づいてきたのを知っている圭ちゃんは、近くに自分のつがい(となる予定だったクソ)がいないからなんだか不安げ。……俺がαだなんて微塵も思ってないみたいだ。それはまぁ無理もない。
第二の性はあまり大っぴらにはしないものだけど、そんなこと言ったって知らされるのは思春期真っ最中。検査結果を受け取った中学生はもちろんその話題で持ちきりになる。多くの生徒が自分はβと知って白ける中で、下校中の圭ちゃんは真っ青になってた。
聞かなくてもわかる。俺は何も言わずに親友を抱きしめた。その瞬間、圭ちゃんはビクリと身体を震わせた。
「大丈夫、俺はβだから」
腕の中で緊張が解けていった。後にも先にも、自分の第二の性がαでないことに感謝した唯一の出来事。
あの時は、ただ隣に居られたらよかったのに。……それも叶わなかった。
兄の治療のために海外へ渡航してから、日々圭ちゃんへの想いが募った。兄にしか興味を持たない両親は俺のことなんてお構いなし。親からの無関心に、海外での文化的ギャップに、ひたすら疲弊していった。そんな中で心の支えだった、出発際にもらったピアスとメッセージアプリの通知。
それも、高校までは良かったけど、互いの受験を機にやりとりも激減。そして、圭ちゃんは大学で出会ってしまったのだ。
本能的に惹かれる相手に。
……こう鬱々としているとつい、昔のことを思い出してしまう。過去には戻れない、考えるだけ無駄だとわかっているのに。
そろそろヒートが近づいてきたのを知っている圭ちゃんは、近くに自分のつがい(となる予定だったクソ)がいないからなんだか不安げ。……俺がαだなんて微塵も思ってないみたいだ。それはまぁ無理もない。
第二の性はあまり大っぴらにはしないものだけど、そんなこと言ったって知らされるのは思春期真っ最中。検査結果を受け取った中学生はもちろんその話題で持ちきりになる。多くの生徒が自分はβと知って白ける中で、下校中の圭ちゃんは真っ青になってた。
聞かなくてもわかる。俺は何も言わずに親友を抱きしめた。その瞬間、圭ちゃんはビクリと身体を震わせた。
「大丈夫、俺はβだから」
腕の中で緊張が解けていった。後にも先にも、自分の第二の性がαでないことに感謝した唯一の出来事。
あの時は、ただ隣に居られたらよかったのに。……それも叶わなかった。
兄の治療のために海外へ渡航してから、日々圭ちゃんへの想いが募った。兄にしか興味を持たない両親は俺のことなんてお構いなし。親からの無関心に、海外での文化的ギャップに、ひたすら疲弊していった。そんな中で心の支えだった、出発際にもらったピアスとメッセージアプリの通知。
それも、高校までは良かったけど、互いの受験を機にやりとりも激減。そして、圭ちゃんは大学で出会ってしまったのだ。
本能的に惹かれる相手に。
……こう鬱々としているとつい、昔のことを思い出してしまう。過去には戻れない、考えるだけ無駄だとわかっているのに。
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