魔女との遭遇

白玉しらす

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小話『ラナ・サンフォードと言う人物』

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 ラナ・サンフォードは目立つ生徒だった。
 無造作に纏められた髪は白に近い見事な金髪で、晴れた日の空を閉じ込めたような蒼い瞳はいつもキラキラと光り輝いていた。
 見た目はまあ整っているから、入学当初はモテていたと思う。しかし見た目以上に目立つ奇行のせいで、すぐにそんな話は聞かなくなった。

「なんか飛べそうな気がする!」と言って箒に跨り下から突風を起こし、すっ転んで怪我をしたのを皮切りに、ふわふわの生クリームができるはずと言って、生クリームが入ったボウルの中に小さな竜巻を起こして周りを生クリームまみれにしたり、蒸し料理ができるかもしれないと言って水蒸気爆発を起こしたり、とにかく次々と珍事件を起こしていた。

 恐らく問題児だったからだろう。一年の後期になり実技の授業が始まると、級長だった俺はラナとペアを組まされた。
「よろしくね!」
 ニコニコと笑いながら差し出された手を、俺はどうしたのか覚えていない。
 それまでラナの魔法を見る機会はあったものの、学校内と言う事でラナも加減していたんだろう。学科も並の成績のようだったし、完全に見くびっていた。


 最初の本格的な実技の授業は、最大火力で火球を飛ばすと言うものだった。
 俺達の番になり、先に俺が火球を放った。演習場の盛り土に着弾すると爆発して、土埃が舞う。
「じゃあ次は私の番」
 それまでの誰よりも大きな爆発にどよめきが起こる中、ラナは軽く言うと片膝をついて杖を肩に担いだ。
 何をするつもりだと思う間もなく、ラナは杖の先を的に向け、大きな声で叫んだ。

「オールグリーン。発射準備完了。イグニッション!」
 は?
 恐らく、その場にいた全員がそう思ったはずだ。
 普通魔法を使う時は、魔法言語で術式を強く念じる必要がある。別に無詠唱にそれ程価値は無いので、集中するためにも普通は術式をそのまま口にする。
 それなのに、ラナは雑念だらけのセリフを言いながら魔法を発動させた。オールグリーンって、何がグリーンなんだ。

「よしっ!」
 ラナが立ち上がり振り返った瞬間、火球が盛り土に着弾し、爆風が巻き起こった。
 土埃の中、髪とローブをはためかせながら笑うラナの姿を俺は一生忘れないだろう。
 たとえラナが俺から離れていって、忘れてしまいたいと思っても、きっと逃れることはできない。そんな気がした。
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