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26.先生以上に先生が好きで堪らない
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遠くで声が聞こえる。
「ユイだって、気持ち良かったはずだ」
「うん。すごく気持ちよかった。でも、それ以上に……怖かった」
「そんな……ユイ……」
「あっ、ちょっと……いやっ!」
その瞬間、俺は起き上がり肩を掴まれている先生を身体ごと引き寄せていた。
「隊長さん……」
急に起き上がり目眩がしたが、先生の身体を抱きしめる腕の力は弱めたくなかった。
しっかりと先生を抱きしめると、先生も俺を抱きしめ返してくれた。
「だいじょうぶですか?よかった……目が覚めて……」
涙ぐみながら心配そうに見つめる先生に笑いかけると、先生も嬉しそうに微笑んだ。
何か言ってやろうとラドフォードを見ると、腫らした顔を更に歪めて俺達を見つめていた。
「悪いが譲る気はない。先生は……ユイは俺のものだ」
俺の勝手なセリフに先生は何も言わなかったが、抱きしめる力が強くなったので、同じ気持ちでいてくれるんだろう。
「……」
ラドフォードはじっと俺たちを見つめると、何も言わずに部屋を出ていった。
「あの、大丈夫ですか?腕、動きますか?」
抱きしめたままの先生が心配そうに俺を見上げる。
怪我した方の腕をぐるぐる回しても、手を握ったり開いたりしても、特に違和感はなかった。
「ああ、何ともないようだ。先生のおかげだな」
あれだけの怪我だと、通常なら何かしらの後遺症が残ったかもしれない。
巫女の力で瞬時に治して貰ったからこそ、骨も綺麗にくっついたんだろう。
「よかった……でも、熱はあるみたいです。寝てなきゃダメです。ロベルト先生を呼んできますね」
先生は俺の頬に触れながらそう言うと、離れようとした。
「待ってくれ。もう少しだけ、先生を感じていたい」
逃さないように先生を強く抱きしめる。
「熱があるんだからダメ。ちゃんと寝てて」
「……これならいいだろう?少しだけだから」
先生を布団に引き込むと、抱きしめたまま横になる。
先生の柔らかな身体を全身で感じると、どうしようもなく幸せな気持ちになった。
「温かい……と言うより、熱いですね」
先生は俺の鼓動を確認するように胸に顔を寄せた。
「でも、よかった……隊長さんがいなくなったらと思ったら、私、こわくて……」
先生が俺を抱きしめたまま、胸に頭を擦りつけている。俺はそんな先生の背中をそっと撫でた。
「ああ、俺ももう、ユイがいないと駄目だ」
「セオ……」
嬉しそうに俺を見上げる先生の頬にキスをする。
本当はもっと激しいキスをしたいが、熱がうつるといけないから我慢だ。
「……そろそろ、ロベルト先生を呼んできますね」
先生も俺の口の端にそっとキスをすると、布団から出ていった。
「もう……大丈夫、なんですか?」
熱は一晩寝たら落ち着いた。
翌日、案内を任せられているので仕方なくラドフォードの元に行くと、ラドフォードは俺と視線を合わす事なく聞いてきた。
「ええ、先生に治して貰ったので。あなたも治して貰った方がいいのでは?」
ラドフォードの顔は赤黒く腫れていて、おそらく身体のどこかにも団長に蹴られた痕があるはずだ。
「……」
ラドフォードは何も答えない。
団長から魔物の怖さを忘れないよう、怪我はそのままにしておくよう言われていると先生が言っていた。
実際は魔物ではなく団長から受けた怪我な訳で、効果があるのかは疑問だ。
それでも、萎れた様子を見れば何かしらの反省はしているんだろう。
「行きましょう」
「どこへですか?」
「先生の所です。折角の色男が台無しですから」
俺の言葉に、ラドフォードは視線を外し俯いてしまった。
「ユイも、もう僕の怪我は治したくないんだ……」
「それはないでしょう。先生は痛いのが嫌いですから。団長の指示で治さなかっただけです」
「痛いのが嫌い……そう、ですね……」
急に物分かりが良くなって気持ち悪い。
大人しいラドフォードを連れて、俺は女子寮に向かった。
「ユイは、あなたが好きなんですね……」
無言で歩いていると、ラドフォードが暗い瞳を向けて俺に話しかけてきた。
「そうですね。もっとも、私は先生以上に、先生が好きで堪らないですが」
折角なので惚気けておこう。
ラドフォードはショックを受けたような顔をして黙りこくってしまった。
ひょっとしたら、こいつもただ先生の事が好きなだけなんだろうか。色々歪んでいるが。
「私も昔、欲に溺れて大切なものを失った事があります。いや、本当に大切なら、もっと違う行動が取れたはずだ。自分の事しか考えられない、子供だったんですよ」
遠回しにお前もそうだと言ったのに、ラドフォードは項垂れたまま反応しなかった。
「お姉ちゃーん!おじちゃんがチュッチュしに来たよー!」
「人前では、エッチな事はダメなんだよー」
「私お母さんに言って、お部屋貸してもらってくる!」
女子寮の裏口から先生の所に行くと、小さな女の子達が楽しそうに囃し立ててきた。
「だから、しないって!部屋もいいから!」
先生が叫びながら慌てて駆け寄ってきた。
「隊長さん、もう歩き回って大丈夫なんですか?」
「ああ、早く視察を終わらせたいしな」
「女子寮の視察なら夜に表玄関から入った方がいいんじゃないですか?」
「いや、視察の前に怪我の手当てをと思って来ただけだ」
こんな所視察させる訳がない。俺は苦笑しながらラドフォードを指差した。
「治してもいいの?」
「見てるこっちが痛いからな」
俺の言葉に先生はほっとした顔を見せた。やはり怪我をしたまま放っておくのは気掛かりだったんだろう。
「中に入ってもいいか?」
「どうぞー。レインー、お客さん入れてもいいよねー?」
「おー」
家族のようなやり取りに頬が緩む。ここにいる先生はいつも楽しそうだ。
「ここは?」
ラドフォードが硬い表情で聞いてきた。
「砦で暮らす女性達が住む女子寮です。この時間だと寝てる者、働く者が大半なので、ほぼ子供たちしかいませんが」
説明をしながら中に入ると、レインが近づいてきた。
「チビ達を外に連れて行くんでごゆっくり。おーい、皆行くぞー!」
「レイン!戦いごっこしよう!」
「今日こそレインに勝つ!」
「ちょっと男子!おままごとの道具持つの手伝ってよ!」
子供達が外に出ていくと部屋はしんとなり、外から元気のいい声が聞こえだした。
「お茶どうぞー」
テーブルに座ると先生が間延びした声でお茶を出してくれた。
「ラド、顔以外にケガしてるところない?」
隣に座った先生が聞くと、ラドフォードは何も言わずゆっくりと上半身裸になった。細身だがしっかりと筋肉が付いていて、女性が好きそうな体型だ。
「うわ、おなかもすごいアザになってる。痛くない?」
「痛いのには慣れてる」
「……ラド、手を出して」
先生が手を差し出すとラドフォードはそっとその手を握り、あっと言う間に怪我が治っていった。
向かい合って手をつなぐ二人を見るのはあまり気分のいい物では無かったが、俺の隣に置かれた先生のお茶を見てやり過ごした。先生の場所は俺の隣だ。あいつの隣ではない。
「はい、終わり。もう痛くない?」
「ああ」
先生が手を離すと、ラドフォードは大人しく服を着だした。今までの傲岸不遜な態度が嘘のようだ。
「ラド……」
服を着終わったラドフォードの顔に先生が手を添えた。ゆっくりと先生の身体が後ろに動く。
「ユイ?……なっ!」
「いったあ」
間合いを取ってから繰り出された先生の頭突きに、ラドフォードは目を白黒させていた。不意を付かれると結構痛い。多分先生も相当痛いはずだ。
「ラドのせいで隊長さんは死にかけたんでしょ?ちゃんと反省して。謝罪とお礼はしたの?」
「いや……」
「今すぐしなさい」
「……」
「早く!」
突然怒り出した先生に驚きながらも、ラドフォードはぎこち無い動きで俺の方を向いた。
「僕のせいで、すみませんでした。助けていただいて、ありがとうございます」
「礼なら討伐隊全員に言うんですね。皆が仕留めてくれたから私達は助かったんです」
「そう、ですね」
「魔物の怖さは一度凶暴化すると、命を顧みず攻撃してくる所にあります。グロースの災厄が起こると、最後の一匹が死に絶えるまで、誰も止める事はできない」
俺の言葉にラドフォードは返事もせずにただ項垂れていた。
「隊長さん、少し席をはずしてもらってもいいですか?」
暫くの沈黙の後で、先生が俺に聞いてきた。
「……分かった。外で待っている。何かあったら呼んでくれ」
「ごめんなさい。ありがとう」
今のラドフォードの様子なら危険も無いだろう。俺は立ち上がり外へ向かった。
「ユイだって、気持ち良かったはずだ」
「うん。すごく気持ちよかった。でも、それ以上に……怖かった」
「そんな……ユイ……」
「あっ、ちょっと……いやっ!」
その瞬間、俺は起き上がり肩を掴まれている先生を身体ごと引き寄せていた。
「隊長さん……」
急に起き上がり目眩がしたが、先生の身体を抱きしめる腕の力は弱めたくなかった。
しっかりと先生を抱きしめると、先生も俺を抱きしめ返してくれた。
「だいじょうぶですか?よかった……目が覚めて……」
涙ぐみながら心配そうに見つめる先生に笑いかけると、先生も嬉しそうに微笑んだ。
何か言ってやろうとラドフォードを見ると、腫らした顔を更に歪めて俺達を見つめていた。
「悪いが譲る気はない。先生は……ユイは俺のものだ」
俺の勝手なセリフに先生は何も言わなかったが、抱きしめる力が強くなったので、同じ気持ちでいてくれるんだろう。
「……」
ラドフォードはじっと俺たちを見つめると、何も言わずに部屋を出ていった。
「あの、大丈夫ですか?腕、動きますか?」
抱きしめたままの先生が心配そうに俺を見上げる。
怪我した方の腕をぐるぐる回しても、手を握ったり開いたりしても、特に違和感はなかった。
「ああ、何ともないようだ。先生のおかげだな」
あれだけの怪我だと、通常なら何かしらの後遺症が残ったかもしれない。
巫女の力で瞬時に治して貰ったからこそ、骨も綺麗にくっついたんだろう。
「よかった……でも、熱はあるみたいです。寝てなきゃダメです。ロベルト先生を呼んできますね」
先生は俺の頬に触れながらそう言うと、離れようとした。
「待ってくれ。もう少しだけ、先生を感じていたい」
逃さないように先生を強く抱きしめる。
「熱があるんだからダメ。ちゃんと寝てて」
「……これならいいだろう?少しだけだから」
先生を布団に引き込むと、抱きしめたまま横になる。
先生の柔らかな身体を全身で感じると、どうしようもなく幸せな気持ちになった。
「温かい……と言うより、熱いですね」
先生は俺の鼓動を確認するように胸に顔を寄せた。
「でも、よかった……隊長さんがいなくなったらと思ったら、私、こわくて……」
先生が俺を抱きしめたまま、胸に頭を擦りつけている。俺はそんな先生の背中をそっと撫でた。
「ああ、俺ももう、ユイがいないと駄目だ」
「セオ……」
嬉しそうに俺を見上げる先生の頬にキスをする。
本当はもっと激しいキスをしたいが、熱がうつるといけないから我慢だ。
「……そろそろ、ロベルト先生を呼んできますね」
先生も俺の口の端にそっとキスをすると、布団から出ていった。
「もう……大丈夫、なんですか?」
熱は一晩寝たら落ち着いた。
翌日、案内を任せられているので仕方なくラドフォードの元に行くと、ラドフォードは俺と視線を合わす事なく聞いてきた。
「ええ、先生に治して貰ったので。あなたも治して貰った方がいいのでは?」
ラドフォードの顔は赤黒く腫れていて、おそらく身体のどこかにも団長に蹴られた痕があるはずだ。
「……」
ラドフォードは何も答えない。
団長から魔物の怖さを忘れないよう、怪我はそのままにしておくよう言われていると先生が言っていた。
実際は魔物ではなく団長から受けた怪我な訳で、効果があるのかは疑問だ。
それでも、萎れた様子を見れば何かしらの反省はしているんだろう。
「行きましょう」
「どこへですか?」
「先生の所です。折角の色男が台無しですから」
俺の言葉に、ラドフォードは視線を外し俯いてしまった。
「ユイも、もう僕の怪我は治したくないんだ……」
「それはないでしょう。先生は痛いのが嫌いですから。団長の指示で治さなかっただけです」
「痛いのが嫌い……そう、ですね……」
急に物分かりが良くなって気持ち悪い。
大人しいラドフォードを連れて、俺は女子寮に向かった。
「ユイは、あなたが好きなんですね……」
無言で歩いていると、ラドフォードが暗い瞳を向けて俺に話しかけてきた。
「そうですね。もっとも、私は先生以上に、先生が好きで堪らないですが」
折角なので惚気けておこう。
ラドフォードはショックを受けたような顔をして黙りこくってしまった。
ひょっとしたら、こいつもただ先生の事が好きなだけなんだろうか。色々歪んでいるが。
「私も昔、欲に溺れて大切なものを失った事があります。いや、本当に大切なら、もっと違う行動が取れたはずだ。自分の事しか考えられない、子供だったんですよ」
遠回しにお前もそうだと言ったのに、ラドフォードは項垂れたまま反応しなかった。
「お姉ちゃーん!おじちゃんがチュッチュしに来たよー!」
「人前では、エッチな事はダメなんだよー」
「私お母さんに言って、お部屋貸してもらってくる!」
女子寮の裏口から先生の所に行くと、小さな女の子達が楽しそうに囃し立ててきた。
「だから、しないって!部屋もいいから!」
先生が叫びながら慌てて駆け寄ってきた。
「隊長さん、もう歩き回って大丈夫なんですか?」
「ああ、早く視察を終わらせたいしな」
「女子寮の視察なら夜に表玄関から入った方がいいんじゃないですか?」
「いや、視察の前に怪我の手当てをと思って来ただけだ」
こんな所視察させる訳がない。俺は苦笑しながらラドフォードを指差した。
「治してもいいの?」
「見てるこっちが痛いからな」
俺の言葉に先生はほっとした顔を見せた。やはり怪我をしたまま放っておくのは気掛かりだったんだろう。
「中に入ってもいいか?」
「どうぞー。レインー、お客さん入れてもいいよねー?」
「おー」
家族のようなやり取りに頬が緩む。ここにいる先生はいつも楽しそうだ。
「ここは?」
ラドフォードが硬い表情で聞いてきた。
「砦で暮らす女性達が住む女子寮です。この時間だと寝てる者、働く者が大半なので、ほぼ子供たちしかいませんが」
説明をしながら中に入ると、レインが近づいてきた。
「チビ達を外に連れて行くんでごゆっくり。おーい、皆行くぞー!」
「レイン!戦いごっこしよう!」
「今日こそレインに勝つ!」
「ちょっと男子!おままごとの道具持つの手伝ってよ!」
子供達が外に出ていくと部屋はしんとなり、外から元気のいい声が聞こえだした。
「お茶どうぞー」
テーブルに座ると先生が間延びした声でお茶を出してくれた。
「ラド、顔以外にケガしてるところない?」
隣に座った先生が聞くと、ラドフォードは何も言わずゆっくりと上半身裸になった。細身だがしっかりと筋肉が付いていて、女性が好きそうな体型だ。
「うわ、おなかもすごいアザになってる。痛くない?」
「痛いのには慣れてる」
「……ラド、手を出して」
先生が手を差し出すとラドフォードはそっとその手を握り、あっと言う間に怪我が治っていった。
向かい合って手をつなぐ二人を見るのはあまり気分のいい物では無かったが、俺の隣に置かれた先生のお茶を見てやり過ごした。先生の場所は俺の隣だ。あいつの隣ではない。
「はい、終わり。もう痛くない?」
「ああ」
先生が手を離すと、ラドフォードは大人しく服を着だした。今までの傲岸不遜な態度が嘘のようだ。
「ラド……」
服を着終わったラドフォードの顔に先生が手を添えた。ゆっくりと先生の身体が後ろに動く。
「ユイ?……なっ!」
「いったあ」
間合いを取ってから繰り出された先生の頭突きに、ラドフォードは目を白黒させていた。不意を付かれると結構痛い。多分先生も相当痛いはずだ。
「ラドのせいで隊長さんは死にかけたんでしょ?ちゃんと反省して。謝罪とお礼はしたの?」
「いや……」
「今すぐしなさい」
「……」
「早く!」
突然怒り出した先生に驚きながらも、ラドフォードはぎこち無い動きで俺の方を向いた。
「僕のせいで、すみませんでした。助けていただいて、ありがとうございます」
「礼なら討伐隊全員に言うんですね。皆が仕留めてくれたから私達は助かったんです」
「そう、ですね」
「魔物の怖さは一度凶暴化すると、命を顧みず攻撃してくる所にあります。グロースの災厄が起こると、最後の一匹が死に絶えるまで、誰も止める事はできない」
俺の言葉にラドフォードは返事もせずにただ項垂れていた。
「隊長さん、少し席をはずしてもらってもいいですか?」
暫くの沈黙の後で、先生が俺に聞いてきた。
「……分かった。外で待っている。何かあったら呼んでくれ」
「ごめんなさい。ありがとう」
今のラドフォードの様子なら危険も無いだろう。俺は立ち上がり外へ向かった。
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