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そんなに嫌いなら~
未来への誓い
しおりを挟む「アリーチェ。綺麗だ! 最高だ!! あぁ、ようやく……ようやくこの日が来た!」
「エド様……」
歓喜の声を上げたエド様が、そっと私を抱きしめた。
おそらく、私の髪型やドレスに気を使ってくれている。
トクントクン……
その優しい温もりに私の胸は盛大にときめく。
「アリーチェが俺の可愛い妻、可愛い嫁、可愛いお嫁さん、可愛い奥さん……うーん? 他になんて呼べばいいんだ?」
「ふふ、落ち着いて下さい、エド様」
「落ち着いてなどいられるか! 俺が何年この日を夢見て……うぅ……」
えーー!?
今度は泣き出した?
「籍だけでも早く入れたいと言ったのに皆、必死に止めて来たし……」
「そ、それは……」
(あぁ、言えないわ!)
もし、先に籍だけ入れて形式上“夫婦”になってしまったら、箍が外れたエド様がここぞとばかりに私を愛で倒して、いざ結婚式の頃にはウェディングドレスが着られなくなるかも……
そんな心配を周囲がしたから反対した……なんて言えない!
「アリーチェ……」
「はい」
「だが、今日からアリーチェはもう俺の可愛い妻だ」
「はい、エド様」
私が微笑んで答えるとエド様の目からはどんどん涙が……
エド様はそんな溢れてくる自分の涙を拭いながら言う。
「好きだ!」
「はい」
「大好きだ!」
「ふふ、知ってます」
「愛している!」
「私もですよ?」
「アリーチェ……」
エド様の顔が泣き笑いになった。
そんなエド様の顔を見ているだけで私も幸せな気持ちになる。
(長かったわ)
たくさん、回り道をしてようやく想いを通じ合わせて、
そして今日! ようやく、私達は夫婦になる。
「ん?」
そんな事を考えていたら、エド様の顔が近付いてくる。
「エド様! ダメです! これから結婚式ですよ? お化粧が落ちてしまいます」
「直せばいい」
「簡単に言わないで下さい! エド様にだって口紅が…………んんっ」
私の抗議の声はエド様からのキスであっという間にかき消されてしまった。
チュッ……チュッ……
「……」
「あ……エド……様」
エド様は何度も何度も角度を変えては、私にキスをする。
「アリーチェ……」
「……エド様」
そうして、何度目かのキスを交わしていたら───
「アリーチェ、支度は出来たか?」
「エドワード、なかなか出て来ないが何かあったか? 準備は───」
ノックの音と共にガチャリと控え室のドアが開く。
入室して来たのは私のお父様とエド様のお父様。
「「「「……」」」」
あ! と思った時にはもう遅い。
「エ、エドワードォ! お前はまたかぁ!! 式の前までがっつくのかぁぁ!」
最初に我に返って雷を落としたのはエド様のお父様の伯爵様だった。
────
「────病める時も健やかなる時も互いを愛する事を誓いますか?」
「「誓います」」
こうして二人で永遠の愛を誓い合ってようやく夫婦として歩み始める事になった私達。
式の後、控え室に訪ねた来てくれたのは……
「おめでとう。ようやくエドワードも結婚か」
「とっても綺麗だったわ!」
この国の王太子夫妻。
ルフェルウス殿下とその妃のリスティ妃殿下。
「「ありがとうございます」」
私とエド様、揃って頭を下げる。
「いや、なんだ……お前達がいつでもどこでもイチャイチャしているのは知っているが……あれは無いだろう? エドワード!」
「何がでしょう?」
王太子殿下は突然、エド様に苦情を入れた。
エド様は何に怒られているのか分からないといった表情で首を傾げている。
「決まっているだろう? 誓いのキスだ! 何だ、あの長さは!!」
(!!)
王太子殿下のその言葉に私の顔が赤くなる。
そう、エド様との誓いのキスはとっても長かった。
軽くチュッと唇を重ねるだけのはずだったキスはとても長く、式の参列者もザワザワしていたわ。
「アリーチェとのキスが一瞬だなんて耐えられない」
「耐えろ! そこは、耐えてくれ。後でいくらでも出来るだろう!?」
「あの場でのウェディングドレスを着た可愛い可愛いアリーチェとのキスはあの時しか出来ない」
「えぇい! なぜお前は時々そうも頑固なんだ!!」
エド様はこの国の王太子殿下に対してたまに大丈夫かしら? って対応をする事がある。
私はハラハラして二人のやり取りを見守った。
「大丈夫よ、ルー様はあれはあれで楽しんでいるから」
「リスティ様……」
リスティ様が私の隣にやって来て笑いながらそう語る。
「ルー様はエドワード様を信頼しているのよ」
「そうなんですか……」
かつてピンク色の頭をした迷惑な女とやらに側近達を籠絡されてしまったという過去を持つ王太子殿下にとってエド様は数少ない心許せる友人なのだと聞いたけれど……
「ふふ、改めて結婚おめでとう! アリーチェ様」
「ありがとうございます」
リスティ様がとても美しい笑顔で微笑む。
本当にこの方はいつ見ても綺麗で美しい。思わず見蕩れてしまう。
「エドワード様のしつこい想いが叶って本当に良かったわ」
「え? しつこかったのは、私の方ですよ?」
ずっとずーーっとエド様の事が大好きだったのだから!
私の言葉にリスティ様は目を丸くする。
「ふふ、似た者夫婦なのね? 素敵だわ」
「……」
(夫婦……という響きに胸が高鳴った)
「私、本当にエド様と夫婦になったんですね」
「あらあら? もう! なんて可愛い反応なの! やっぱりエドワード様には勿体ない!」
リスティ様がギューッと私に抱き着く。
すると、目ざとい夫達はそんな私達を見て慌てたようにこちらに向かって来た。
「リスティ! 女性であっても私以外に抱き着かないでくれ!」
「アリーチェ! リスティ様であっても俺以外の人に抱き着かれないでくれ!」
「……」
「……」
私とリスティ様は顔を見合わせて静かに笑った。
───そして、夜。
(あぁぁぁ、遂に……遂にこの時が!)
エド様の奥さんとなって、二人の寝室に案内された私は先程から全く落ち着かない。
部屋をウロウロと歩き回ったり、ベッドに突っぷしてみたりと一箇所に落ち着いていられない。
(私、本当にエド様と……今夜……!!)
これまでエド様はギューって抱きしめたり、人前でキスをする事はたくさんあってもそれ以上触れてくる事は無かった。
(エド様!)
エド様の顔を思い浮かべたその時、ガチャッとドアが開く。ノックもせずに入って来るのはもちろん、夫となったエド様のみ───
「アリーチェ……アリーチェがいる……」
「……い、いますよ!」
部屋に入り、私の元へと近付いて来たエド様がそっと私を抱きしめる。
(あ……心臓の音……凄い!)
エド様も緊張しているのね……そう思うと何だか自然と笑顔が溢れた。
「アリーチェ……俺はアリーチェのその笑顔が可愛くて大好きだ」
「エド様」
「これからもこの先もずっとアリーチェを笑顔にさせると誓うよ……もう泣かさない」
「エド様……」
嬉しくて私からも抱きしめ返した。
「アリーチェ……」
「エド様……」
そうして互いの顔が近付きそっと、唇を重ね───……
────こうして、変に拗れて回り道して壊れかけた事もある、私達は互いの初恋を実らせて夫婦となりました。
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