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レラニア・アボット(毒薔薇視点)
しおりを挟む私の名前はレラニア・アボット。
伯爵家の長女よ!
私のお母様は亡くなってしまったのだけど、その昔“社交界の薔薇”と呼ばれるほどの美貌を持った人だった。
そんな誰もが見惚れるほどのお母様の結婚相手が、これまたなーんの特徴も無い、すっごく“平凡”って言葉がお似合いなお父様だったんだから笑っちゃう!!
お父様って見た目も冴えないけど、運だけは良かったみたいね。
だけど、運が良いのは私よ! だって私は恵まれたわ! 私の容姿はお母様に似たんだもの!!
それに比べて、妹と来たら……これもまた笑っちゃう!
私には2つ下の妹、リラジエがいるんだけど、これがまた……
容姿はお父様に似て、冴えない! なんなの? あの地味っぷり。
本当に私の妹かしら? って言いたくなっちゃう。
見た目も中身も、本当に平凡! つまらない子。
お母様に似なかった事だけはちょ~っとだけ可哀想だとは思うけどね!
社交界デビューがこれからだとはいえ、家で大人しくしてるだけのつまらない妹が私は嫌いなのよね。
あんなのが妹だなんて私の価値が下がるでしょ。
だから、あの子が幼馴染のグレイルの事を好きだと知った時、思いついたのよ。
──あの子の好きなものを奪ってやったらどんなに気分が良いかしらってね。
グレイルは何でかは知らないけど、リラジエをやたらと可愛がっていたわ。
妹だとでも思っていたのかしら?
見た目も中身もお父様みたいに冴えない男だけど、私にかかればイチコロよね!
そう思って、グレイルを呼び出した。
「レラニア? 何だよ。珍しいな。改めて話があるって何の用だ?」
「あぁ、グレイル。ごめんなさいね、急に呼び出したりして」
私はニッコリ微笑む。
男なんて笑っておけばたいてい頬を染めて……ふふ。ほらグレイルったら単純ね!
「い、いや? 構わないが……」
「そう? 良かったわ。…………それで、あのね? こんな事、私から言うのも恥ずかしいのだけど……」
「?」
「グレイルに私の恋人になって欲しいの! ……ダメかしら?」
あら、嫌だ。グレイルが驚きで固まったわ。面白~い!
バカな男よねぇ……
「な、な、な!?」
「私ね……実はずっとあなたの事が好きだったの……」
「は? 本当に!?」
「本当よ。でも、あなたどちらかと言うと……リラジエを可愛がっていたから……」
私が伏し目がちにそう口にするとグレイルは慌て出した。
「いや、リラジエは単に妹のように可愛がってただけで……!」
「なら……私とお付き合いしてくれる?」
「喜んで!!」
グレイルは秒で乗ってきたわ。
うふふ、あはは! 男って単純ね~
これで良いわ。後は……リラジエにこの事を報告して……
と思ったら私が話す前にグレイルが伝えてたみたい。
何も知らないって罪ね~。残酷な男!
ふふふ、リラジエのあの絶望した顔! 愉快だわぁ……この顔が見たかったのよ!
日に日に元気の無くなるリラジエを見て私は一人で楽しんだ。
そうして私は数日後、計画通りグレイルに別れを告げたわ。
あのグレイルの驚いた顔ったらもう!
やっぱり残念な男だわ。
リラジエの好みって分かんないわ。
そして、さらに数日後、別れ話に納得していなかったグレイルを「もう一度話をしましょう?」と言って我が家に呼び出した。
「ごめんなさいね? グレイル。リラジエがどうしてもって聞かなくて……私はやめなさいって言ったのだけど」
こうして私は予め決めていたセリフを言う。
「リラジエはあなたの事が好きだったみたいなの……だから、私……」
言外に私があなたに別れを告げたのはリラジエの気持ちを知ったから……と匂わせる。
すると、単純なグレイルは、リラジエにお前のせいか! って視線を向けたわ。
その時のリラジエの顔!!
私が笑いを堪えて震えているのを、悲しくて泣いていると思ったグレイルがリラジエを詰り問い詰め責め出した時はどうしようかと思ったわ。笑いが止まらなくて。
やっぱり極めつけはグレイルのこの言葉よね!
「俺がお前なんかを選ぶわけないだろ!」
当然だけど、この言葉にリラジエはかなりのショックを受けたみたい。
あぁ、面白い!!
グレイルのこの言葉を聞いて私は思ったわ。
──もっとこの気持ちをリラジエに味合わせてやりたい、ってね!
だから、私は私に寄ってくるバカな男達を使ってみる事にしたの。
そしたら、みーんな私の予想通りの行動を取るんだもの。最高よね!
まぁ、そんなバカな男達の相手をしていたせいで、“社交界の毒薔薇”なんて呼ばれるようになってしまったけど!
何よ、毒薔薇って。お母様みたいに薔薇だけでいいのに。失礼しちゃうわ!
まぁ、おそらくこの名は私の美貌に嫉妬した愚かな女達が呼び始めた事なのでしょうけど。
嫌ね、醜いわねぇ、女の嫉妬は。
──ただ、ちょっと迷惑。このままじゃ、私に釣り合った最高の男が近寄って来ないじゃないの。困るわ。
寄ってくるのは格下の雑魚ばかり。
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そんなある日の事よ。
「失礼……君が、レラニア・アボット嬢?」
「……!!」
とあるパーティーで私にそう話しかけて来たのは、
「え! ジークフリート・フェルスター様……?」
「そうです。初めまして」
まさかのフェルスター侯爵家令息のジーク様だった。
さすが私ね! “釣れたわ!” そう思った。
その時は。
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