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第一部:第十章 エラゼルとラーソルバール(中編)
(四)雪辱への序曲②
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「始め!」
開始の合図と共に、二人は動き始めた。
魔法の使用は後回しにして、様子を見つつの戦闘になるかと思われた。
しかし、グレイズがフォルテシアに接近し、一気に攻撃に入る。
フォルテシアも、応戦しグレイズの攻撃を受け流しながら、時折反撃を加える。
グレイズもそれを弾き返し、その隙を狙って剣を返して切り付ける。だが、フォルテシアもそれを読んでいたようで、後方にステップを踏み、ぎりぎりの所でかわした。
「ウェン・リルアタータ…風の力よ、大地の…」
フォルテシアは速度強化を使用しようと、詠唱を始めたが、グレイズはそれを許さなかった。
ちなみにシェラと詠唱が異なるのは、生活環境や成長過程、方言によってイメージや言葉遣いが異なるからである。強化するイメージが異なれば、詠唱も異なってくる。
学校では一律のものを教えるが、フォルテシアの場合、入学前から速度強化を使用していたため、使い慣れたものを使用したほうが都合が良かったからでもある。また、学校側もそういったケースを黙認している。
隙を突かれる形で受身に回ったフォルテシア。だが『誰かさん』との訓練で多少の剣の捌きが上達していたおかげで、何とかその攻撃を凌ぎきることができた。
間隙を突いて反撃をしようとした瞬間、グレイズの上からの一撃がやってきた。
(誘われた!)
身を低くして辛うじて受け止めたが、直後に剣に力を加えられ押し込まれる形となってしまった。
力の劣るフォルテシアは跳ね返すこともできず、ただ押し込まれるだけ。何とか抵抗していたところで一瞬、グレイズがわざと力を緩めたため、フォルテシアはバランスを崩してしまった。そして胴がガラ空きになったところに、狙い澄ましたようなグレイズの強力な一撃が襲う。
「グッ…!」
うめき声を上げながら、フォルテシアは弾き飛ばされた。
宙を舞ったあと、腰を打ちつけ頭部を強打したフォルテシアは、そのまま動かなくなった。
「フォルテシア!」
慌てて駆け寄ろうとしたラーソルバールを、審判員が静止する。
「勝者、グレイズ・ヴァンシュタイン!」
勝者が宣言されたが、グレイズは意に介さず、ラーソルバールを指差した。
「次は貴様だ!」
フォルテシアを見ることなく、ラーソルバールを睨みつけると、試合場から下りる。
「お前さんは、色々と狙われてるなあ」
背後からの声に、ラーソルバールが振り返ると、次の試合を控えたガイザが立っていた。
「彼女なら、ちゃんと手当てされるさ。程度が軽ければ、うちの救護室の回復魔法で何とかなるだろう」
冷静に話すガイザ。ラーソルバールとしては、ガイザの言葉通り手当てされる事を願うしかない。
試合がある生徒は、当日中の試合以外での魔法使用は当人の生命の危機に関わる問題を除き全面的に禁止されている。
何も出来ずに苛立つ様子を見せるラーソルバールの肩に、ガイザの手が乗せられる。落ち着かなければいけないと分かっていても、友人の事が心配でならないのだろう。
次の試合のガイザは、フォルテシアが担架で運ばれて行くまでラーソルバールの横で待たされることになった。
「入学試験であいつと何かあったんだっけか?」
「ん、ちょっとね。根に持たれるような事じゃないと思うんだけど」
フォルテシアが気になって仕方がないという様子で、ガイザの言葉にも半分上の空で答える。
「試合場から運び出されたら行ってやれ」
今にも泣き出しそうな顔をしたラーソルバールの頭をポンと叩くと、ガイザは大きく息を吐いた。
自身にも、グレイズに対する怒りがあることを自覚したからだ。
(そこは、お前さんの仕事だな)
ガイザはぐっと拳を握りしめると、慌ててフォルテシアの担架へと駆け寄るラーソルバールの背中を見つめた。
開始の合図と共に、二人は動き始めた。
魔法の使用は後回しにして、様子を見つつの戦闘になるかと思われた。
しかし、グレイズがフォルテシアに接近し、一気に攻撃に入る。
フォルテシアも、応戦しグレイズの攻撃を受け流しながら、時折反撃を加える。
グレイズもそれを弾き返し、その隙を狙って剣を返して切り付ける。だが、フォルテシアもそれを読んでいたようで、後方にステップを踏み、ぎりぎりの所でかわした。
「ウェン・リルアタータ…風の力よ、大地の…」
フォルテシアは速度強化を使用しようと、詠唱を始めたが、グレイズはそれを許さなかった。
ちなみにシェラと詠唱が異なるのは、生活環境や成長過程、方言によってイメージや言葉遣いが異なるからである。強化するイメージが異なれば、詠唱も異なってくる。
学校では一律のものを教えるが、フォルテシアの場合、入学前から速度強化を使用していたため、使い慣れたものを使用したほうが都合が良かったからでもある。また、学校側もそういったケースを黙認している。
隙を突かれる形で受身に回ったフォルテシア。だが『誰かさん』との訓練で多少の剣の捌きが上達していたおかげで、何とかその攻撃を凌ぎきることができた。
間隙を突いて反撃をしようとした瞬間、グレイズの上からの一撃がやってきた。
(誘われた!)
身を低くして辛うじて受け止めたが、直後に剣に力を加えられ押し込まれる形となってしまった。
力の劣るフォルテシアは跳ね返すこともできず、ただ押し込まれるだけ。何とか抵抗していたところで一瞬、グレイズがわざと力を緩めたため、フォルテシアはバランスを崩してしまった。そして胴がガラ空きになったところに、狙い澄ましたようなグレイズの強力な一撃が襲う。
「グッ…!」
うめき声を上げながら、フォルテシアは弾き飛ばされた。
宙を舞ったあと、腰を打ちつけ頭部を強打したフォルテシアは、そのまま動かなくなった。
「フォルテシア!」
慌てて駆け寄ろうとしたラーソルバールを、審判員が静止する。
「勝者、グレイズ・ヴァンシュタイン!」
勝者が宣言されたが、グレイズは意に介さず、ラーソルバールを指差した。
「次は貴様だ!」
フォルテシアを見ることなく、ラーソルバールを睨みつけると、試合場から下りる。
「お前さんは、色々と狙われてるなあ」
背後からの声に、ラーソルバールが振り返ると、次の試合を控えたガイザが立っていた。
「彼女なら、ちゃんと手当てされるさ。程度が軽ければ、うちの救護室の回復魔法で何とかなるだろう」
冷静に話すガイザ。ラーソルバールとしては、ガイザの言葉通り手当てされる事を願うしかない。
試合がある生徒は、当日中の試合以外での魔法使用は当人の生命の危機に関わる問題を除き全面的に禁止されている。
何も出来ずに苛立つ様子を見せるラーソルバールの肩に、ガイザの手が乗せられる。落ち着かなければいけないと分かっていても、友人の事が心配でならないのだろう。
次の試合のガイザは、フォルテシアが担架で運ばれて行くまでラーソルバールの横で待たされることになった。
「入学試験であいつと何かあったんだっけか?」
「ん、ちょっとね。根に持たれるような事じゃないと思うんだけど」
フォルテシアが気になって仕方がないという様子で、ガイザの言葉にも半分上の空で答える。
「試合場から運び出されたら行ってやれ」
今にも泣き出しそうな顔をしたラーソルバールの頭をポンと叩くと、ガイザは大きく息を吐いた。
自身にも、グレイズに対する怒りがあることを自覚したからだ。
(そこは、お前さんの仕事だな)
ガイザはぐっと拳を握りしめると、慌ててフォルテシアの担架へと駆け寄るラーソルバールの背中を見つめた。
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