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第一部:第十二章 幕開け
(四)大忙しの一日③
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普段、安酒しか買わない私が、高価な酒を価格も聞かずに買うと言ったのだから、それは誰だって驚くだろう。
「金貨三枚だぜ、大丈夫かい?」
慌てるおじさんに、私は笑顔を返す。
デラネトゥス家と比べるわけにはいかないが、フェスバルハ伯爵からも大金を頂いている。
それに比べれば、金貨三枚など安いものだと思う。
伯爵はこれから大臣になられ、私などが気安く話しかけたりできるような存在ではなくなる。
だから、せめてもの気持ちをお送りしたい。
おじさんも、絶対に容器が割れないようにと丁寧な梱包で対応してくれた。
まさかの商品が、まさかの客に売れたおじさんは、私が店を出るときに小躍りしていた。
「さて、買い物が終わりましたね。急いで家に帰りましょう」
そう言ったエレノールさんの目が、妖しげに光った気がした。
新年会は夕方から始まり、食事も用意されるとあって、昼食は抜き。
家に帰った私は若干の空腹を感じながら、エレノールさんによる拷問……いや、ドレスアップに耐えていた。
あの時見た妖しい目の輝きは、私の気のせいではなかった。
オーダーメイドの服を取り出すと、エレノールさんの顔に気合が満ちた。
当然出来上がりの確認の為に試着はしたのだが、今度は本番。
どこから持ち出したのか、コルセットを装着させて私を締め上げた。
ああ、この苦痛。エラゼルの誕生日もこんなだった気がする。と、ちょっと思い出した。
思えばこんな物を着けてよく暗殺者と戦ったな、私。
「ぐえ…」
さらにきつく締め上げられて変な声が出た。
「ちょっとは容赦してください」
と言ったところで容赦する人ではないのは分かっている。
「さーて…」
エレノールさんは、一段と嬉しそうな楽しそうな顔で私を見る。
この後、メイクと着付けとヘアセット。ばっちりと決められました。
お決まりの「完璧です!」の言葉も今日は気合が違った。
「今日のお嬢様の美しさは、相手がどこの国の姫君だろうと負けません!」
とか大層な事を言って、私と父を苦笑いさせた。
でも、そんなエレノールさんが大好きです。
お城に向かう時間になると、手配していた馬車がやってきた。
エレノールさんはお城に着いたら、フェスバルハ家の馬車に移動して、王都の別邸に戻る事になっていたそうです。
短い道中ですが、賑やかな方が有難い。
そんな時間もすぐ終わり、すぐにお城の降車所に着いてしまった。
そこには立派な馬車がずらりと並び、貴族階級の生活水準の高さを思い知らされた。
「私はこれで失礼します。楽しんでいらしてくださいね」
そう言ってエレノールさんは笑うが、私にはそんな気持ちの余裕が無い。
「エレノールさん、有り難うございました。色々と助かりました」
父が頭を下げたので、私もそれに合わせる。
エレノールさんはそれに応えるように、仰々しくお辞儀をすると、私達を見送ってくれた。
「またお会いしましょう」
エレノールさんの声が聞こえた気がする。
城の受付ロビーには、既に多くの人が居り、受付を行っていた。
と、突然白いものが飛び付いてきた。
「ラーソルバール! 遅いではないか」
そう言ってエラゼルは頬を膨らませた。
何だろう、この子猫感。
ふと周囲を見渡すと、イリアナ様と目が合った。
イリアナ様はにっこり笑って軽くお辞儀をしてくれた。
私はくっついている子猫が邪魔で、礼ができず、頭を軽く下げるに留めた。
「あれ…」
頭をあげると、イリアナ様の横に佇む女性が居る事に気づいた。
(あれが次女のルベーゼ様だろうか)
少し気になった。が、後でエラゼルに聞けば分かることだろう。
「エラゼルはイリアナ様達と一緒じゃなくていいの?」
「構わない。姉上には姉上の付き合いがある」
キリッとした声で、子猫が言った。
「金貨三枚だぜ、大丈夫かい?」
慌てるおじさんに、私は笑顔を返す。
デラネトゥス家と比べるわけにはいかないが、フェスバルハ伯爵からも大金を頂いている。
それに比べれば、金貨三枚など安いものだと思う。
伯爵はこれから大臣になられ、私などが気安く話しかけたりできるような存在ではなくなる。
だから、せめてもの気持ちをお送りしたい。
おじさんも、絶対に容器が割れないようにと丁寧な梱包で対応してくれた。
まさかの商品が、まさかの客に売れたおじさんは、私が店を出るときに小躍りしていた。
「さて、買い物が終わりましたね。急いで家に帰りましょう」
そう言ったエレノールさんの目が、妖しげに光った気がした。
新年会は夕方から始まり、食事も用意されるとあって、昼食は抜き。
家に帰った私は若干の空腹を感じながら、エレノールさんによる拷問……いや、ドレスアップに耐えていた。
あの時見た妖しい目の輝きは、私の気のせいではなかった。
オーダーメイドの服を取り出すと、エレノールさんの顔に気合が満ちた。
当然出来上がりの確認の為に試着はしたのだが、今度は本番。
どこから持ち出したのか、コルセットを装着させて私を締め上げた。
ああ、この苦痛。エラゼルの誕生日もこんなだった気がする。と、ちょっと思い出した。
思えばこんな物を着けてよく暗殺者と戦ったな、私。
「ぐえ…」
さらにきつく締め上げられて変な声が出た。
「ちょっとは容赦してください」
と言ったところで容赦する人ではないのは分かっている。
「さーて…」
エレノールさんは、一段と嬉しそうな楽しそうな顔で私を見る。
この後、メイクと着付けとヘアセット。ばっちりと決められました。
お決まりの「完璧です!」の言葉も今日は気合が違った。
「今日のお嬢様の美しさは、相手がどこの国の姫君だろうと負けません!」
とか大層な事を言って、私と父を苦笑いさせた。
でも、そんなエレノールさんが大好きです。
お城に向かう時間になると、手配していた馬車がやってきた。
エレノールさんはお城に着いたら、フェスバルハ家の馬車に移動して、王都の別邸に戻る事になっていたそうです。
短い道中ですが、賑やかな方が有難い。
そんな時間もすぐ終わり、すぐにお城の降車所に着いてしまった。
そこには立派な馬車がずらりと並び、貴族階級の生活水準の高さを思い知らされた。
「私はこれで失礼します。楽しんでいらしてくださいね」
そう言ってエレノールさんは笑うが、私にはそんな気持ちの余裕が無い。
「エレノールさん、有り難うございました。色々と助かりました」
父が頭を下げたので、私もそれに合わせる。
エレノールさんはそれに応えるように、仰々しくお辞儀をすると、私達を見送ってくれた。
「またお会いしましょう」
エレノールさんの声が聞こえた気がする。
城の受付ロビーには、既に多くの人が居り、受付を行っていた。
と、突然白いものが飛び付いてきた。
「ラーソルバール! 遅いではないか」
そう言ってエラゼルは頬を膨らませた。
何だろう、この子猫感。
ふと周囲を見渡すと、イリアナ様と目が合った。
イリアナ様はにっこり笑って軽くお辞儀をしてくれた。
私はくっついている子猫が邪魔で、礼ができず、頭を軽く下げるに留めた。
「あれ…」
頭をあげると、イリアナ様の横に佇む女性が居る事に気づいた。
(あれが次女のルベーゼ様だろうか)
少し気になった。が、後でエラゼルに聞けば分かることだろう。
「エラゼルはイリアナ様達と一緒じゃなくていいの?」
「構わない。姉上には姉上の付き合いがある」
キリッとした声で、子猫が言った。
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